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【9253:スローガン】2023年2月期 第2四半期決算説明会(書き起こし)

今回の決算説明会におけるハイライト

  • 2023年2月期第2四半期の売上高は前年同期比8.7%、業績予想比96.9%と概ね計画通りの進捗。営業損益は主に販管費の節減により期初計画を達成

  • 2022年2月期の通期連結業績予想数値を下方修正

  • 要因①Goodfindの2024年卒向けサービスの受注進捗遅延

    • 2023年卒会員の利用率低下に伴いマッチング数の期待割れが発生し、2024年卒において既存顧客からの継続発注金額が減少

    • これに対して、学生の行動変容を生み出すコンテキスト及びコンテンツの見直しと、サービスUXの抜本的な改善により対応を図る

  • 要因②:Goodfind Careerの入社決定人数の減少

    • キャリアエージェントの育成不足と転職候補者の集客力不足により、入社決定人数が減少

    • これに対して、キャリアエージェントの育成を推進するため個マネジメント強化と、Goodfindとの連携をはじめとした集客戦略及び施策の改善を行うことで、対応を図る

  • Goodfindでのマッチングが減少したものの、スタートアップ・ベンチャーの採用ニーズは引き続き旺盛であり、マス向けの紙媒体やスカウト型サービスなどを利用しても採用が困難という状況は継続

  • その中で、スタートアップ・ベンチャーにおいて当社の代替となるような採用チャネルが出てきている状況ではないため、学生の行動変容を促すためのコンテンツを磨き込む等、当社の経営改善によって再び大きく成長することは十分に可能だと考える

  • 社会人3年目までの人材に特化した転職支援サービス「G3」は、初年度でGoodfind Careerと並ぶほどの成長を遂げており、来期以降さらに大きく成長する見込み


北川 裕憲氏(以下、北川):本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。スローガン取締役執行役員CFOの北川と申します。本日は、冒頭で代表の伊藤よりご挨拶とともに本日の第2四半期の概況をご説明した後、詳細について説明し、最後はお時間の許す限りQ&Aの時間とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは、伊藤さん、よろしくお願いします。

 

伊藤 豊氏(以下、伊藤):皆さんこんばんは。スローガンの代表取締役社長、伊藤豊でございます。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。

通期連結業績予想の下方修正について

まず、決算発表と同時に発表した通期業績予想の下方修正についてご説明いたします。
前回の決算で発表した通期業績予想について、売上高は1,773百万円から1,552百万円、そして営業利益についても354百万円から260百万円にそれぞれ下方修正いたしました。
当社に期待していただいていた皆様に対しては本当に申し訳なく思っております。これは当社の経営力や組織力の問題でありまして、市場環境など言い訳にできるようなものではありませんので、ここから本当に改めて気を引き締めてしっかりと改善していきたいと考えております。
後ほど詳しく説明いたしますけども、大きく二つの要因がありまして、いずれも期初において見通しが甘かったというところが根底にはあります。
なので、改めて業績を適切にコントロールしていくためのKPI管理等を強化する必要があると認識しており、各事業、あるいは全社的にそのあたりを徹底して強化していくことを進めている最中でございます。

まず簡単に業績修正の理由についてご説明いたします。
学生向けのサービスですが、コロナ以降就活がオンライン化している中で、学生の利用者数及び利用率の低下が起こっておりまして、それに伴って新年度の採用活動の提案や受注の進捗が思うように進まなかったことが原因となっております。
基本的に就活をする学生は毎年入れ替わりますから、「ちょっと今年の学生は動きが悪いな」といったように学生の就活の状況を注視し、毎年試行錯誤しながらうまく学生に訴求できるようなコンテンツを当てていくことをやってきたので、今回も少し学生の動きが芳しくない状況にあった状況下で、そこに向けてしっかりチューニングしていけるんじゃないかといった読みを持っておりました。しかしながら、なかなかそのあたりの改善がうまく進まなかったということがあります。
また、社内での学生側の動向等を掴むのがうまいメンバーが別の事業部に異動していたりしたこともあったので、改めてエース級の人材を投入しながらここの立て直しに着手しようとしております。

当社の顧客企業の皆様からすると、スローガンの代替となるような採用チャネルが何か他に出てきているとか、頼れるものがあるというわけではないので、引き続きお客様からすると不可欠な採用パートナーという立ち位置ではあります。
なので、しっかりと顧客企業の皆様の期待に応えるべく、お客様と一緒に学生向けのアプローチをいろいろ試行錯誤しながら変革していくところを進めていきたいと考えております。

2点目、社会人向けの転職支援のサービスにおける減収ですが、こちらは集客において外部のデータベースに依存する、あるいは広告に依存するというモデルでしたので、元々少し不安定な部分があり、なかなか社内でも業績をコントロールするのが難しい部分がありました。
それに加えて、今回経験あるエージェントの退職と入れ替わりに新しい人員を投入したことで、育成が追いつかず、思ったような売上を上げられなかったという事態になりました。
ここについても、外部データベースや広告に依存する不安定なモデルからしっかり脱却するために、改めて自社のメディアであるFastGrowとの連携強化を進めて立て直しを図っております。

また、中途領域について、今年の1月にリリースしている「G3」というサービスがありますが、こちらは学生向けのサービスとのシナジーが生まれやすい若手向けのサービスでして、今年から非常に順調に立ち上がってきており、ほぼ予算通り進んできておりますので、今後中途領域に関してはこのG3も一つの柱として成長していくことを見込んでおります。

以上が下方修正の内容となります。次のページで改めてこれまでの通期業績の推移についてもまとめています。

連結業績の推移

今期下方修正とはなりましたが、引き続き売上高および営業利益については増収増益を維持する見込みでして、これまでの当社の創業以来の過去最高の売上高および営業利益となることを予定しております。

成長率についても、21年から22年の8.2%の成長というところから9.5%の成長というところでトップラインの成長率も着実に上げていけると考えております。まだまだこの成長率は物足りない水準ではありますが、今回事業が少しこけている中でも、着実に成長率を上げていくということは実現できると思っています。

後ほど詳細を説明いたしますが、下方修正後のクォーターごとの数字について、非常に悔しいですが、3Qが対前年比で減収減益となる予定です。4Qについては、対前年比で増収増益を見込んでいますので、3Qは少しへこんでいくものの、4Qにかけて、そして来期に向けて増収増益の基調をもう一度取り戻すというところで、クォーター毎の推移を見込んでおります。
通期での営業利益に関しても260百万円の黒字の見込みです。なお、現在のBSを見ていただくとお分かりかと思いますが、現預金残高については現時点で17億円弱となっており、財務的な健全性については問題ない状態であると考えております。

ただ、上場から1年も経たない状態でこのような下方修正を出すことになりまして、期待していただいてた、注目していただいていた投資家の皆様には大変申し訳なく思っております。
私自身も気分が落ち込む部分も少しありましたが、過度にネガティブに捉えることなく、むしろ会社を強くするチャンスになるのではないかと捉えておりまして、今まさにそれぞれの事業責任者と現場のメンバーと共に様々な変革を進め始めておりまして、経営陣、社員一同、前を向いてこれからもやっていければと思っております。


改めて私どものミッションの紹介もさせていただければと思いますが、私どもは長期的な目標を持った事業を行っておりまして、社会的に必要なことだと信じて事業を展開しております。「人の可能性を引き出し、才能を最適に配置することで新産業を創出し続ける」ということは、社会にとって必要で、かつ長期的に間違いなくアップトレンドとなるような領域での事業展開をできている会社だと思っています。


昨今の重要テーマでもある人的資本への投資と新産業領域の掛け合わせというような捉え方もできると思いますので、間違いなくこれからの社会で重要性が高まる事業テーマであると思います。


既にご案内の通り、岸田政権においても重点政策としてスタートアップ周りの政策推進を掲げられておりますが、これらは私どもが作りたいと思っている社会と、そのために行っている事業ととてもマッチする内容だと思っていますので、今回このような社会的な背景としても追い風がある状況の中で自分たちの組織的な要因で少し業績がもたついてしまっている状態について、とても悔しく思っております。この悔しさをバネに改善改革の一手を着実に積み上げて、来期以降に向けて業績の向上に繋げていきたいと考えております。

私からは以上となりますが、この後業績の詳細等についてCFOの北川の方からご説明させていただきます。

北川:それではここから、私から業績などの概要についてご説明いたします。まず伊藤からもありましたが、今回の下方修正につきまして、CFOとしても非常に悔しい部分はございますけれども、こちらは私含め経営陣一同の責任だと考えております。改めて申し訳ございませんでした。

ここからは中身について説明いたします。

会社概要

まず会社概要です。現在当社は今表示している通りのマネジメントチームで経営しております。こちらのチームで一丸となって、これから更に業績を伸ばしていくところ、そして業績の予測精度を上げていくところも含めて強く経営をしていきながら皆様の信頼獲得に努めてまいりたいと考えております。


ビジネスモデルにつきましては、基本的には顧客企業の皆様からお金をいただくモデルでして、個人ユーザーからはお金をいただかないモデルになっています。
大きくキャリアサービス分野とメディアSaaS分野で区分しておりますが、人を軸にして、

  • キャリアのマッチングを学生向け、社会人向けに行うようなサービス

  • メディアを通じて新産業の魅力を伝える、採用ブランディングを含めたメディアとしてのFastGrow

  • 1on1の仕組みをつくるHRSaaS、TeamUp 

といったビジネスを展開しております。


こちらが現在展開しているサービス一覧となっています。右側の売上高の構成比をご覧いただけるとお分かりになりますが、現在7割程度が学生向けサービスで構成されております。Goodfindが一番の主力事業でありまして、次いでメディア・SaaSのところが2割程度の構成比を占めているようになっています。

特にGoodfindにつきましては、やはり今後の成長の軸になっていく事業ですので、本日初めてご参加する方もいらっしゃいますのでこちらについて少しご説明させていただきます。

 

まず、Goodfindでは、スタートアップ・ベンチャーのような新興成長企業に対して、挑戦意欲や成長志向のある学生を紹介することを行っています。

一般的な人材紹介のビジネスモデルは、競合のサービスなども含めて、基本的には「顕在化したニーズをマッチングしている」という特徴があります。

しかし、スタートアップ・ベンチャー企業の採用における一番の課題として、マス向けの紙媒体やスカウト型のサービスなどを利用してもなかなか採用しきれない、採りたい学生が採れないというところがあります。
普通にしていてもなかなか採れないところを、当社のGoodfindが介在することで若手の学生の皆さんを動機付け、行動変容を起こしながら新興成長企業にご紹介していくということをやっています。
非常にここが難しいところでもあり、一方で付加価値が高いところであると考えております。当社では、これらを可能にする3つのケイパビリティがございます。


1つ目が「顧客の目利き力」、2つ目が「行動変容を生み出す力」、3つ目が「マッチング力」です。
後ほど下方修正の要因のところでも触れますが、顧客企業様のニーズ自体は日々非常に強くなっており、市場としては大きくなっていると思いますが、「行動変容を生み出す力」と「マッチング力」に大きく課題がある認識で、そこをより強化していく必要があると考えています。 

第2四半期連結業績サマリー

ここからは第2四半期の業績についてご説明いたします。

まず第2四半期までの連結業績ハイライトです。売上高は予想通りの推移で、一方でコストを節減しながら営業利益は計画を達成した形で着地いたしました。

Goodfind Careerが大幅な減収および計画未達になっておりまして、冒頭ご説明した通り業績予想の修正にも関係しておりますが、エージェントの育成求職者の集客が大きな課題となっております。そういった課題がありながらも、引き続き来期以降の成長に向けて人的資本の投資は継続しておりまして、新卒も来年11名の入社を予定しています。

 

具体的な数字についてです。左側が2Qの会計期間(6〜8月)、右側が2Qの累計期間(3〜8月)となっています。売上高については、会計期間、累計期間ともに前年同期比で成長、対業績予想達成率も累計で96.9%と、おおむね計画通りで進行してきました。

一方営業利益につきましては、121.3%の達成率ということで、コストの削減なども影響しながら、前年同期比ではマイナスとなりつつもしっかり計画は達成してきたような状況でございます。
一点、累計期間における経常利益の前年同期比マイナス幅が営業利益よりも大きくなっておりますが、これは前年度の第2四半期に有価証券の売却益が発生していたところ、当期は発生していないためによるものでございます。

 

具体的に売上高の構成比を分野別、サービス別にご覧いただきますと、こちらの通りとなっております。
メディア・SaaS分野は引き続き予算をしっかり達成しながら、前年同期比でも大きく成長してきている分野になっております。
また、キャリアサービス分野における学生向けサービスは、第2四半期累計期間では概ね計画通りで、前年同期比でも成長してきている状況になっております。

この赤くハイライトしている部分が今回の重要なポイントになりますが、主にGoodfind Careerの影響によって、社会人向けサービスが前年同期比45.1%の減収、累計期間における対業績予想達成率が52%と大きくビハインドしております。

こちらのGoodfind Careerが減収となった理由について、少し詳細にご説明いたします。まず、今年の4月に開示した通期業績予想の前提についてご説明いたします。


新人のキャリアエージェントは、入社から、候補者の入社決定という成果を出すまでに大体4ヶ月〜5ヶ月間かかることを想定しています。
こちらは過去の実績を踏まえて予想策定時のときに考慮している数字になるのですが、2021年の退職人員を補填する形で1月〜2月に中途採用で新人を増員しました。これにより、4ヶ月〜5ヶ月間の期間を経て、5月以降継続的な入社決定を生むであろうという前提のもとで計画を立てておりました。

しかし、2021年に育成経験のあるキャリアエージェントが離職したことによって、組織としての新人育成のケイパビリティが減少していたというところがあり、さらにこの新人育成が属人的な仕組みとなっていたために一人一人の育成に手が回りきらず、成果を出すまでの期間が想定より大幅に遅延したという状況がございます。

さらに中途の転職マーケットは厳しい競争環境にございまして、特に転職者、転職候補者の集客に関する戦略立案や施策実行が後手に回ってしまった結果、集客における競争力が低下していたという実態がございます。

こういっと育成の問題と集客の問題が重なった結果、悪循環を伴いながら大きく減収をしてしまったという状況になっています。5月以降本来は継続的な入社決定と売上高の成長を見込んでいましたが、それが大きく外れたことで、第2四半期まででも減収となり、将来の計画もマイナス修正することになった経緯でございます。


一方で、第1四半期から継続開示させていただいている連結の顧客数と顧客単価については、売上高、顧客数及び顧客単価についてそれぞれプラスでしっかり成長してきている部分がございます。
このように、マーケット自体が成長してきている中でしっかりとサービスデリバリーできる部分があれば、そこに対する伸びしろは引き続き存在するものと考えております。

 

続きまして四半期営業損益の推移となります。
売上高に対して営業利益はしっかりと計画を達成してきております。コスト側の方は経営サイドでコントロールできる要素が多くありますので、業績の進捗を見ながらしっかりとコントロールしており、この第2四半期については元々30百万円の営業損失の計画でしたが、結果的には5百万円の営業損失となり、25百万円損失幅を圧縮することができました。
累計期間でも、185百万円の計画から225百万円まで予想比でプラスとしていくことができました。

 

続いて販管費の四半期会計期間の推移でございます。コスト構造について第1四半期から大きく変化はなく、引き続き人的資本投資が当社の販管費の構成比で大きくなっています。その他のところもしっかりと削れるところは削りながらも、人のところはやはり中長期的な当社の成長ドライバーでもありますので、200百万円程度の水準を維持しながら今後も継続していきたいと考えています。
コスト構造につきましては、おそらく第3四半期以降も同じような構造で推移する想定でございます。


そういった人的資本の状況の中で、職種別構成比としてはビジネス職が8割、クリエイティブ職が約2割というような構成になっております。引き続き新卒採用を中心とした人材獲得戦略を継続しておりまして、特にGoodfindは新卒向けのサービスでもありますので、当社としても新卒の人材を投入しながら、次に来る世代にしっかりフィットするサービス改善を継続的に図っていきたいと考えております。
また、クリエイティブ職も過去から比べると少しずつ増やしてきておりまして、中長期戦略の中でも、プラットフォーム型・プロダクト型事業の強化を推進しているところでございます。

 連結業績予想の修正について

続きまして、こちらが通期業績予想の修正に関するハイライトとなっております。連結業績の推移につきましては、冒頭伊藤からご説明した通りですので、こちらの方は詳細は割愛させていただきます。


まず、こちらが連結PLのサマリーとなっています。大きくはやはり売上高の下方修正の部分が影響しております。一方で、コストの削減もしながら、営業利益としては昨対比で少しでも伸ばせる部分を伸ばしていく見込みとなっています。

 

こちら、先ほどの説明と重複しますけれども、経常利益が前期比でマイナスになっている部分につきましては、前期に営業外収益として発生した有価証券の売却益が今期は発生してないことの影響によるものでございます。

 

では、より具体的に、キャリアサービス分野が下方修正となった2つの要因についてご説明できればと思います。前回発表予想比で、学生向けサービスが94百万円のマイナス修正、社会人向けサービスで96百万円のマイナス修正となっています。
要因①について、前回どのような前提で予想計画が立てられていたのかという点と、なぜそこから外れてしまったのかという点からご説明できればと思います。


まず、新卒採用の事業は、基本的には卒年度単位であらゆるプロジェクトや受注等が動いていく構造にあります。その中で、継続のお客様については、前年度の紹介実績が一定程度翌卒年度の受注に影響を与えるという構造にあり、例えば2023年卒、つまり来年の4月に入社する方の紹介をこの1Q、2Qと進めてきましたが、ここで結果が出ると当然2024年卒年度において受注しやすくなるという構造が一定あります。

一方、ここが苦戦すると、翌卒年度の営業活動において向かい風になるというような構造にあります。そんな中、第2四半期の終わり頃から今の時期までで2023年卒の内定承諾のピーク迎えておりますが、内定承諾数が顧客期待をしっかり超えていくことを前提としながら受注計画を立て、その受注計画に基づいた売上高の計画を立てていたというのが当時の前提でした。
そんな中で、内定承諾の数がお客様の期待を下回るような実績となり、翌卒年度の受注が遅延してしまう可能性が第2四半期の終わり頃から色濃く出てきました。

ここが、業績予想を外してしまったポイントの一つで、内定承諾の難化を甘く見すぎていたというところがあります。加えて、受注計画自体が甘すぎたのではないかというご指摘もあるかと思いますが、そういった顧客期待のボラティリティを踏まえた受注計画を立てることができなかったことが、予想を外してしまったもう一つの要因だと思います。

このように、受注計画が未達に終わっているので、それを踏まえて第3四半期以降売上高が減少していくというところが、今回の下方修正の背景にございます。


なお、「2024年卒のサービス受注の進捗が想定を下回った」ということが今回の直接的な下方修正の要因となっておりますが、こちらの背景としては、2023年卒会員のマッチング数が期待割れしたということがあります。
その要因として、2023年卒会員の利用率が低下していたというところがございます。
2023年卒の学生は、コロナ禍で入学している世代がかなり多く、就活もオンラインでやっていくという中で、志向性や行動がかなり変化している世代と言えるのですが、当社のコンテンツがこの世代にフィットしきれておらず、学生の利用率が低下したことで、結果として顧客企業様に対するマッチングの期待を下回ってしまったという状況でございます。
これに対しては、学生の行動変化にフィットするようにしっかりとコンテクストやコンテンツを見直しながら、サービスのUX、コンテンツの抜本的な改善・強化を行なっていくことがまずは重要だと思っており、既に改善を進めているところであります。

 

続きまして、Goodfind Careerの前回発表した業績予想の前提と乖離要因についてご説明いたします。
まず、第2四半期以降売上貢献と決定数の増加を見込んでいた部分がありますけれども、これが育成及び集客力の不足で、売上貢献が想定より大きく下回り、第3四半期以降も苦しい状況が継続することが見込まれる状況となっております。この新人キャリアエージェントの立ち上がりや育成状況について、当時の予想が楽観的だったというところが修正の要因となっております。

 

こちらはGoodfind Careerの入社決定人数の減少というところで、キャリアエージェントの育成不足、転職候補者の集客力不足というところが大きく背景としてございます。
競争が激しい転職市場の中においては、良質な候補者をしっかり集めてくること、そして集めた候補者をしっかり決めていくことの両輪をまわすことで成果を出していけるところではありますが、今回はこの二つが両方とも弱かったということになります。

 

これらを踏まえて、当社として大きく2つの重点課題へ取り組んでまいります。
一つ目が、Goodfindのコンテンツの改善・強化、二つ目が転職市場における競争優位性の向上です。競争環境が激しい中にあるので、Goodfindの強みを生かした形で転職市場で戦っていくところをより強化していくところになります。

現時点で、Goodfindの課題は「学生への行動変容の促進」にあると整理しております。スタートアップ・ベンチャー企業における求人ニーズは引き続き増加しておりますし、より一層採用が難化している状況にございます。
つまり、Goodfindでのマッチングが減ったという事実はあるものの、全体としては現在のマーケットにおいて採用することはなかなか難しく、採りたいけどなかなか採れないという状況は引き続き継続していると認識しております。
その中で、引き続きブランド力や知名度のある企業様、オンラインでのプロモーションが上手い企業様に学生からの注目が集まりやすくなる傾向が加速しており、マッチングが難化している状況にございます。
しかしながら、このような状況下でGoodfindの利用率が低下していること、故に期待を超えるマッチングが生み出せていないことが課題となっています。


ここに対しては、当社のケイパビリティの肝にもなっている「行動変容を生み出すコンテクスト及びコンテンツ」を更に磨き込み、学生に合った形に変えていくことで、利用率の向上とマッチング数の増加を図ってまいります。

 

もう一点、転職市場の戦い方のところです。「G3」という社会人向けの転職サービスを今年1月にリリースしておりまして、このG3とGoodfind Careerの2つで社会人向けのサービスを展開しております。
G3は社会人3年目まで、Goodfind Careerは社会人4年目以降を対象としたサービスとなっております。

当社の強み、価値の源泉の一つに、学生時代にGoodfindを使う学生が1万人超いる中で、卒業後に社会人データベースが累積されていくところがあります。
実はGoodfindに登録している学生の中でも、当社の紹介でスタートアップ・ベンチャーに入社する学生様の割合はまだまだ少なく、多くの方が大手企業等に入社している現状がございますので、そういった当社が逃してしまっている学生が社会人になった後、「やっぱりスタートアップ・ベンチャーにチャレンジしよう」と思ったタイミングでしっかりニーズをキャッチすることができれば、大きなポテンシャルがあると捉えています。

そのため、卒業して3年以内の方とG3を通じて接点が持てるよう、Goodfindとの連携強化をしっかりと図っていきたいと思っていますし、Goodfind Careerにおいてもしっかりと連携を横展開していけるといいと考えています。
ただし、Goodfindから当社の顧客企業様にご紹介した方を2年以内に転職勧誘することは法律上も規制されておりますし、当社のポリシーとしても、ご支援しているお客様からさらに学生を引き抜いて他社にご紹介するというところは当然ながら非常に慎重になっているところですので、そういったリスクをしっかりとケアしながら事業を伸ばしていきたいと考えております。


こちらは四半期会計期間の売上高推移です。
冒頭でも伊藤からご説明があった通り、基本的には下方修正後も第3四半期以外はしっかりと増収する計画になっておりまして、この第3四半期はGoodfindの受注進捗が遅れたことや、Goodfind Careerの立ち上がりが遅延したことで大きく減収している状況となっています。

 

続いて四半期会計期間の営業損益推移です。
第1、第2四半期は当初の計画を上回る利益を出してきましたが、第3四半期は売上高の減収の影響を受け、減益となりました。しかし、第4四半期は昨年と比べてしっかり利益を出せる計画となっております。

ここまで通期業績予想のご説明をさせていただきました。ここからは、事業トピックスと長期の経営方針について、概要をご説明させていただきます。

事業トピックス及び経営方針

まず、Goodfindの強みについてです。Goodfindを卒業した方が社会に出て活躍し、今度は新卒採用を依頼する取引先となるような事例も生まれてきております。


これは第1四半期に発生したものですが、プロジェクトカンパニーの土井社長は、Goodfindを利用しながら社会に出て、そこから自身で起業し、今度はGoodfindに発注する側になったという事例がございます。こちらは新卒から関与しているからこその当社の事例だと思っております。


もう一点、クロスセルによる取引拡大というところで、常々取引単価の向上についてどのように考えているのかという点を投資家の皆様からご質問いただくことがありますが、当社自身、人に関する領域で、新卒・中途・長期インターンの採用、採用ブランディング、人材の育成・定着といった「人にまつわるあらゆる課題」を取り扱ってるが故に、一つの入り口から入られた方が他のサービスに横展開されて、結果として取引単価が向上するというような事例が実際にございます。

右側のグラフは実際の事例について金額も含めながら参照したものですが、この会社様の場合、まず1年目で中途採用からスタートし、2年目で長期インターンや採用ブランディングへと展開していきながら、最終的に3年目で新卒採用を開始して、約2100万円まで取引規模が拡大いたしました。
このようなクロスセルによる取引拡大の余地はまだまだあると考えておりまして、例えばGoodfindだけを見ると、他のサービスとクロスセルしている割合がまだ20%にも満たない状況となっているので、伸びしろもかなり大きくあると思っております。


こちらは長期インターンについてです。政府も長期インターンの活躍促進について積極的な姿勢を取っているので、こちらもまだまだ規模的には大きくはないですけれども、学生を抑える上で一つ重要なサービスとして今後も強化していきたい領域と捉えています。

 

続いて新規事業についてです。今回の業績予想修正にも当然この新規事業の開発によって発生するコストは織り込んでおりまして、業績が苦しいながらもしっかりと新規事業への投資、種まきをしながら、来期以降の成長を目指していきたいと考えておりまして、今のところ計画通り来年の2月頃のサービス提供開始を予定して進行しております。

 

こちらですが、スタートアップの創出というところで、「UT創業者の会投資事業有限責任組合」というファンドに対し、スタートアップの創出に向けた活動や事業シナジーを目的として投資を実行しております。こちらは今年の5月に開示している当社発表資料にも詳細がございますので、ご覧いただければと思います。

 

経産省が実施するスタチャレの認定サービスに当社の社会人向けサービスが採択されておりまして、こちらも活用しながら、中途領域・転職領域の強化を図って参りたいと考えております。 

最後に長期的な経営方針をご説明して、一旦ご説明を終わらせていただきたいと思います。


まず、人に纏わる産業の構造が今後10年で大きく変わっていくと思っておりまして、挑戦意欲や成長志向を持つ人材の志向性が変化し、新卒・中途採用市場における一般論が変わる、そしてそれに応じて大手企業における採用動向も変わるといったことが起こると考えています。
このように環境が10年で変化していく中で、若くて挑戦意欲・成長志向を持つ人材の価値は飛躍的に高まっていくと考えられます。そのため、ここで優秀な若手人材をしっかりとマッチングしていくことで当社自身のサービスの価値も大きく育っていくと考えています。

 

当社は今、大きく成長分野への人材移動と労働市場の健全な流動化、そしてそれを通じたダイバーシティの推進といったところに取り組んでいますが、大企業はマクロトレンドの影響を受けやすい中でアップサイドを取っていくことがかなり厳しい状況となっていることが考えられます。
そんな中でやはりスタートアップベンチャー企業は、マクロトレンドに関係なくアップサイドを作りやすいという状況もありますし、今後の未来社会を担っていく大きな鍵になっていくとすると、こういった環境に優秀な若手が少しでも移動していくことは、イノベーションの形成を増やすという意味でも、社会的に非常に重要だと考えています。
ただ、現在はまだブランド力や知名度によって就職先を選択していく環境もございますので、当社が介在することでこういったところをしっかり変えていきたいと考えております。


新卒採用自体は少しずつ変わってきている認識で、スタートアップ・ベンチャーにおいても新卒採用が増加している状況にあります。「スタートアップは待遇が良くない」と昔は言われていましたが、賃金・福利厚生待遇も向上しており、給与面での競争力も上がってきています。加えて、長期インターンや学生起業等を通じてビジネスを経験する学生も増えてきており、こういった変化が、当社自身の事業機会を生み出していく構造にあると考えております。

 

市場ポテンシャルについてですが、こちらは引き続き大きくあると考えております。
スタートアップ・ベンチャー企業自体は、経団連等が公表している資料によると約1万社程度存在すると言われていますが、そのうち人的資本投資に積極的な企業が25%程度であると見積もっても、少なくとも2,500社は存在するであろうと考えています。
一社当たりの取引金額も、先ほどの取引拡大の事例なども踏まえて、直近の取引金額上位10社の平均金額が3,400万円まで成長している点に鑑みて、1社当たり4,500万円を獲得できるポテンシャルは十分にあるのではないかと考えております。


当社は、現状のフェーズから、17年目〜19年目の持続的成長フェーズに行きます。これまで成長率は伸ばしてきているものの、まだ目標として掲げている水準には届いていない状況となっています。こちらについては、次の持続的成長フェーズに向けて、高収益・高成長を実現するために成長投資をしながら伸ばしていきたいと思っております。

 

営業利益率も30%超の実現を目指すと当社の経営目標に掲げておりますが、現在は(2023年2月期予想ベースでは)約16%の水準になっています。この目標を実現するための3つの事項を掲げていますが、まず、Goodfind自体の高収益力を引き続き維持して参ります。実績としても既に50%を超えるような事業利益率で推移しております。

また、新規事業の利益率上昇という点について。メディア・SaaSのところを新規事業としてスタートしたところではございますが、着実に成長を重ねる中で利益を出していくフェーズに徐々に移っていき、全体の利益率の向上にも寄与していくことを考えています。

また、本社共通費率の低減という点について。売上高がまだ大きく成長しているわけではない中で短期的に改善していくものではないという側面もありますが、中長期でしっかりと規模の経済を働かせながら本社共通費率を低減させ、利益率を高めていくところにコミットしていきたいと考えております。

 

最後に財務方針についてです。
引き続きまずは事業を強く成長させるために、成長投資を継続していきたいと考えております。
当社は2月に期末を迎えますが、現預金が潤沢にある中で利益自体はしっかりと計上されていくので、現預金はしっかり留保されていく構造にあります。その中で、配当や自己株式の取得を通じた株主の皆様への還元の実現も図っていきたいと考えております。

それでは、こちらにて私からのご説明は以上とさせていただきます。ここからは、質疑応答に入らせていただきます。

質疑応答の内容は、こちらからご覧いただけます


最後に、伊藤より一言締めのご挨拶をさせていただければと思います。

伊藤:上場翌期という中で業績予想を外してしまったことについて反省するところは非常に多く、自分たちとしても変わっていく必要があるということに気付けたいいきっかけだったと思います。今は、ここから当社メンバーが一致団結して立て直していきながら来期以降の成長につなげていくための正念場だと捉えておりますので、今期の3Qは苦しくなることが予想されていますが、しっかりと4Qで浮上して来期も成長軌道に乗せていくことを実現していければと思っております。

メディア・SaaS、FastGrow、TeamUp、G3などは非常に高い成長率を出せているので、この部分は活かしつつ、Goodfindの改革をこの半年でどれだけ進められるかが再度成長軌道に乗せていくにあたって非常に重要になってくると考えております。そのため、私も改めて腕をまくってしっかりと経営して参りたいと思います。

改めて、本日は当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございました。

以上