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登山とダイエット⑤


絶景やなぁー

掬星台っていうんやで。せっかくだから写真撮ろうや。

うん。

なんだろう。今までの苦しく悔しい気持ちがスーっと消えてた。憎らしかった友人が、また元の良い奴に戻った。

飯にしようや。

登山口に着く前にコンビニで買っておいたカップラーメンとおにぎりを出した。すると友人がリュックから丸くて可愛いガスボンベと傘のような鉄製の道具を繋ぎだして、手際よく火をつけた。
そして自分のリュックから新しい2リットルの水を出して、手慣れた感じで簡易型のお鍋で、2人分のお湯を沸かし始めた。

そうか。そうだったのか。昼飯のために水を持ってきてくれたんだ。それだけでも重いのに、こんな道具まで準備してくれて。俺は道もわからず、友人の背中を見て登っただけだ。彼は、スマホで道の確認を分岐ごとに確認までしてくれて、道案内や励ましの言葉もかけてくれたのに。それなのに俺は、恨み辛みのオンパレードの言葉を並べて、友達をやめようとか、こんな奴だとは思わなかったとか…勝手でわがままだったのは…俺の方だった。

美味かった。山頂で食べたカップラーメンは、人生で一番美味いカップラーメンだった。

ごめんなさい。許して欲しい。俺はあの時、こんなことを考えてしまっていたんだ。独り善がりのどうしようもない奴は俺の方だ。この通り、これからも友達でいて欲しい。

本当にありがとう。

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