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【今年度ベスト級】「デューン砂の惑星PART2」と「ブレードランナー」の呪縛

IMAXの没入感と独特な世界観

年初からアカデミー賞ノミネート作品を見まくった影響で映画鑑賞自体に食傷気味な筆者です・・笑

そんな中、疲れた心にムチ打って「デューン砂の惑星PART2」をIMAXで見てきました。

これがまたIMAXのシアターそのものが違う惑星になってしまったかのような凄まじい体験で、早くも今年のベスト級の映画となりました。

(アカデミー賞のマトメとその後の騒動に関してはまた別の機会に書きたいと思います。)

この映画を家の小さなテレビとスピーカーで見るのは全く別の体験になってしまうので、可能なうちにIMAXで観ることを強くお勧めします。

何がそんなに異次元の体験だったのかというと、それは前作から引続くレトロフューチャーな美術もさることながら、音響デザインとサントラに尽きます。

ストーリーはよくある「善悪対決モノ」で珍しくはないのですが、とにかく美術と音楽の没入感が尋常ではなく、2時間40分の長尺も(あまり)気になりませんでした。(長いのは否めないのですが・・)

個人的には、「この世界にずっと浸っていたい」と思わせてくれる映画は近年稀ですね。

音楽担当ハンス・ジマーの自己ベスト更新

サントラも前作に引き続きハンス・ジマーなのですが、ここにきて自己ベストを更新してるのではないでしょうか。

本作のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が撮った「ブレードランナー2」でもハンス・ジマーが起用されているのですが、そこでは残念ながら「ブレードランナー」オリジナルの音楽を担当したヴァンゲリスの音色に寄せられることはなく、少し寂しく感じました。

(それでも凄まじく良いスコアが提供されてはいるのですが・・)

ところが今回は、ヴァンゲリスにオマージュが捧げられてると思わしき曲が一曲ありまして、主演シャラメ君と助演ゼンデイヤちゃんの、とても胸アツなシーンとなりました。

なぜブレードランナーの続編ではなく、この映画でヴァンゲリス追悼なのかは、謎ですが・・

監督ドゥニ・ヴィルヌーヴと「ブレードランナー」

また、「ブレードランナー」といえば、このシーンのみならず全編が「ブレードランナー」の影響下にあるような印象があるんですよね。

(「ブレードランナー」自体が未見でしたらSF必修科目として観ることをお勧めします。)

監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは、「ブレードランナー」を撮ったリドリー・スコット監督の「グラディエーター」にもオマージュを捧げている気がします。(オースティン・バトラー(!)演じるフェイド・ラウサと奴隷の円形競技場の戦闘シーン)

「ブレードランナー」超えをしているのか?という究極の問い

ここまでこの映画を褒めておきながら、最後にどうしても気になってしまうのが、ヴィルヌーブ監督が強い影響下にある「ブレードランナー」を超えられてるかどうか、という点です。

結論から言うと、「デューン」は美術や音楽で独自の世界観が構築されているのは確かですが、「ブレードランナー」の、ある意味ハードボイルドな文学性には欠けている気がして、物足りなさを感じずにいられません。

「ブレードランナー」は、バウンティハンターに狩られる運命のアンドロイドの悲しみ、またバウンティハンター自身がアンドロイドである可能性も示唆されているという物語自体に強く文学性を感じる映画です。

「デューン」の原作は6つのパートからなる、かなり難解で長尺のSF大作らしく、SFにありがちな勧善懲悪の世界に縛られている限りはどうしようもないのかもしれませんね。

「デューン」は今回で完結するわけではなく、今後も続編が作られてフランチャイズ化するようです。

それでも通常のスーパーヒーロー映画とは違い、このシリーズはあらゆる面でクオリティが高いので、フランチャイズ化したとしても個人的には大歓迎です。









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