【ストーリーネタバレなし】百英雄伝をクリアしたので感想書く

4月はPS独占のステラーブレイドが話題作でしたが、私はアクションゲームはフロムゲー他で諸々やり尽くしたので、あえて百英雄伝を選択しました。

百英雄伝はクラウドファウンディングで開発資金を募ったゲームです。
私はバッカーではありませんが、幻想水滸伝は2をプレイしたことがあり、どういう内容かは知っていましたので、その精神的続編である百英雄伝の発売を、かねてから心待ちにしておりました。

今回は、そんなRPG好きな私が百英雄伝をクリアした感想を書きたいと思います。

エンディングまでプレイした私の結論から申し上げますと、往年のJRPG好きならば充分満足出来る作品、だと感じました。

私はPS5版でプレイし、本編クリアまでの時間はPS5版で63時間です。(エッグフットレース、カードバトル、釣り、宝箱全回収、英雄の試練場などはほぼ未消化状態)。RPGとしてはかなりのボリュームです。

発売から一か月以上経過した5月末時点でのPS5版でのクリア率は20.8%。トロコン率は0.8%となっています。
一般的なPS系ゲームのクリア率は低いもので10%台、平均30%台、高い物で50%前後で、発売から1カ月ほどで、このボリューム感にしてはクリア率は高い方と言えるでしょう。

PSストア上の世界のプレイヤーの評価は4.30

星5 72%
星4  9%
星3  5%
星2  3%
星1 10%

新規IPとしてはまずまずの評価で、発売直後に進行不能バグが発覚した影響もあり、少し星1評価が多く入ってしまったようです。進行不能系バグや炎上したりすると、どうしてもネガティブな評価が入ってしまいがちですので、これはしょうがないですね。

幻想水滸伝のスタッフが集結して手掛けたゲームですので、幻想水滸伝を知っていることが前提で、遊んだことがない、という人には楽しみ方が解りづらいかもしれませんが、少なくとも幻想水滸伝2を履修済の私は充分楽しめました。

【ゲーム全体の難易度】

今作は戦闘の難易度をイージーとノーマルから選べます。ですが初めてJRPGを遊ぶ人はともかく、そこそこゲーム慣れ、JRPG慣れしている人なら、ノーマルを選択して問題ありません。というか、ノーマルにしてください。
序盤、ハイシャ―ン編をクリアするまでとセイ編だけは適度な歯ごたえがありますが、中盤以降、仲間集めが本格的に始まり、ゲームとしての遊びの幅が広がってきて、かつ強力な仲間達も次々集まり、仲間達だけがどんどん強くなっていき凄い攻略が容易になってくるからです。
しかも本拠街で英雄たちの試練場を設営しプレイしてしまうと、仲間達のレベルが一気に上がってしまい、完全にヌルゲー化してしまいますので、高難易度を楽しみたい人は、一週目クリアするまでは試練場は設営しない方がよいぐらいです。
最後に仲間になるキャラの加入時のレベルが50ですので、公式のクリア推奨レベルは、恐らく50前後辺りを想定しているのだと思われます。
ですが試練場をやってしまうと、自分が使っている仲間のレベルが60を軽く超えてしまい、ラスダンやラスボスが雑魚化してしまいますので、歯ごたえのある戦闘を楽しみたい、という方は、試練場はクリア後にプレイすることを推奨します。

仲間集めも、幻想水滸伝に比べるとかなり容易になってます。幻想水滸伝2にはチンチロリンというギャンブルの、100%運で勝たないと仲間にならないキャラクターがいたんですが、今作の百英雄伝では、ベーゴマ、料理対決、カード、シャークレース等、プレイヤーの実力で容易に仲間できる良心的な設計になっており、占いバババという、仲間がどこにいるかのヒントをくれるキャラもいるので、仲間集めも簡単です。
強いて言うならベーゴマのリードがちょっと大変かな、というぐらいですかね。ミニゲームのべーゴマは、各地にいるベーゴマトレーナを倒して強いベーゴマを入手していくとか、ベーゴマを使い込むと強くなっていくなど、成長要素は一切なくて、単に強いベーゴマを集めて力でゴリ押すだけの、力、イズパワー、な超絶作業ゲームなんです。ですのでゲームを中盤以降まで進めて、Drコキトをサポートに入れておけば、雑魚敵が強いベーゴマを勝手に落としてくれて、力こそパワーでごり押しが出来ます、というか、ベーゴマに関しては、それ以外の攻略の選択肢がありませんので、リードを仲間にしたいという人は、素直にゲームを終盤辺りまで進めてからにした方がいいでしょう。

私は一週目で全員仲間を集めてしまったんですが、百英雄伝も幻想水滸伝同様、シナリオ分岐がありますので、百英雄伝が好きで、本気でやり込みたいという人は、一週目ではあえて仲間を全員集めないようにし、仲間集めと真エンドは二週目で行った方がよいでしょう。
最終決戦直前までに仲間を114人集めると真エンドルートにいきます(残り6人はストーリー進行で仲間になる)ので、直前に113人集めた状態のセーブデータを別に保存して用意しておけば、周回せずとも、もう一つのエンディングを観ることは可能ですので、2周する時間的余裕がない、とか、効率よく進めたい、という方は頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

【テンポはイマイチだが手間のかからない戦闘】

 百英雄伝は往年のJRPGをそっくりそのまま、原液のまま令和に持ってきたようなRPGですので、正直PS初期のレトロRPGを遊ぶような気分で遊ばないといけせん。そのため多少戦闘のテンポが悪かったり、正直今の時代にこの仕様はどうなの? と疑問に感じる点や、魔法のMP消費が異常に高かったり(実質幻水のような回数制)、全体的に調整不足かな、と感じる部分もあります。ですが、今作にはFF12のようなガンビットシステムが搭載されておりまして、マクロを組むように仲間に細かく作戦を指示することで、通常の雑魚戦や、ボス戦なんかを「おまかせ」を選択し、後は放置してるだけで戦闘が終わる、というちょっと異色な戦闘が楽しめちゃいます。
今作にも幻水ファンなら皆が知っているルックのようなポジションの、モモ、という超強い魔法使いキャラが存在しますので、そのキャラを容赦なく使えば戦闘は秒で終わるんですが、モモもモモで、魔法を使わせるより、実は殴った方が強い、という良く解らないキャラで、今作は、本当に魔法を使うより、正直殴った方が速い、みたいな、力こそパワーな、凄い大味な戦闘になっています。
2024年の令和の時代に百英雄伝を買って遊ぶようなレトロなRPGを遊ぶようなプレイヤーは、戦略とかそんなのおかまいなしに、ただ殴るだけで戦闘が終わる方がとっつきやすくて良いのかもしれませんが、幻想水滸伝はもっと戦略性があったと思いますので、私個人としては、戦闘には不満がない、といえば嘘になります。
クリア後のレベリングでノアの全体攻撃使うかな、ぐらいで、魔法を駆使する機会も殆どないですし、状態異常耐性を上げるアクセサリーも沢山あるんですが、エンディングまで、石化とかレンズ封じの状態異常を仕掛けてくるような嫌らしい雑魚敵やボスは存在しませんでした。バフデバフ、DPS、タンク、ヒーラー、ヘイトコントロール、何それ意味不明? 殴ってればいいんでしょ殴ってれば、な、大味すぎる戦闘でした。頭使わなくてよいっちゃよいんですけども、ストーリーやキャラが魅力的なだけに、もうちょっと戦略性のある戦闘が楽しめたら、より面白くなったんじゃいかな、というのが戦闘に関しての正直な感想です。
ひょっとしたらエンドコンテンツである英雄の試練場で、戦略を練る必要があるボスがわんさか出てくるのかもしれませんが、少なくとも本編クリアするだけなら、魔法を一切使わなくても、普通に殴ってるだけで、雑魚敵も、全ボスも、ラスボスも余裕で勝ててしまいます。本当にもうただただひたすら殴るだけ、「力イズパワー」なゲームでした。

今作はノア、セイ、メリサという三人の主人公がいるのですが、このうちのセイが非常に微妙な性能で、ドラクエ2で例えるならサマルトリア王子みたいな器用貧乏で、かつノアはローレシア王子タイプでもない、という、ノアとセイはゲーム的には何とも微妙なキャラ性能でした。唯一魔法使いタイプのメリサだけは優秀で、充分スタメンで使っていけるキャラでした。ノアは魔力依存の全体奥義が強力で、それを覚えれさせれば、後は魔力を上げるルーンを色々セットさせると雑魚敵を一撃でせん滅されられるようになるんですけども、それを覚える頃には、もうゲームのラスボスを倒し終わっており、エンディングを観ている人の方が圧倒的大多数だと思います。

百英雄伝は幻想水滸伝シリーズとは似て非なるもので、主人公のノアだけが使える特別なルーンみたいなものはありません。その代わり、ノアもセイもメリサもいつでもスタメンから外せますし、ストーリー上編成必須な状況であっても、同行者枠に置いておけばいいので、特に無理して使う必要もありません。むしろノアのレベルは極力上げない方が、やり込みするときに有利になりますので、ノアは出来るだけサブに置いて、上げてもレベル60ちょいぐらいで抑えておいた方がいいです。百英雄伝は、120人いる英雄達の中から、自分が気に入ったキャラクターだけでパーティーを組み、物語を進めていき、ラスボスまで倒せるように作られています。ある意味究極のキャラゲーです。

ちなみに私のラスボス戦での最終パーティーは以下

前衛 CJ、ユウゴ、レイナ
後衛 イーシャ、メリサ、モモ 

この六人で作戦を細かく設定し、おまかせにし、後は放置しているだけでラスボスにも余裕で勝ててしまいました。あまりにも歯ごたえが無さ過ぎたので、レベル上げなきゃよかった、英雄の試練場行かなきゃよかったな、と正直後悔しています。英雄の試練場をちょっとやっただけでレベルが一気に10ぐらい上がってしまい、あれ? と思ったときには時すでに遅しで、そこから先はヌルゲー街道まっしぐらです。
もしこれからプレイする予定でヌルゲー化だけは絶対嫌だ、という人は、最低でも難易度ノーマルにし、クリアするまでは英雄の試練場を作ってもやらないようにした方がいいでしょう。

レイナ、ユウゴ、CJ等前衛陣に雑魚敵がドロップするマカライトバングル(HP+200up)をつけると、雑魚敵でもボスでもラスボス戦でも、お任せ状態にしても全滅する方が凄い難しくなりますので、クリア後に英雄の試練場に行きたい、という方はマカライトバングルはスタメン分、集めておくことをお勧めします。

ポケモンでも言われていますが、強いキャラ弱いキャラなんてのは所詮個人の主観ですし、勝手です。本当に気に入ったキャラがいたら、そのキャラが活躍できるよう、ルーンなどを工夫した方が楽しめます。

私が個人的に好きなキャラはCJとイーシャで、この2人には前日譚のライジングでの思い入れ補正も有り、仲間になったときから、例え弱くてもスタメンからは一切外さずに最後までクリアしよう、と私は決めていました。

CJ、イーシャ、ガルーは前日譚である百英雄伝ライジングの主人公達で、その内CJとイーシャは本編内でも屈指の強キャラです。
ガルーも強いんですが、ユウゴ、レイナと比べると少々見劣りしちゃいます。ですがガルーを入れても全然クリア出来るバランスになっていますので、ガルーも大好きな人は、スタメンに入れても全く問題ありません。
百英雄伝は、全員それなりに使える性能ですし、このキャラ入れるとボス戦の難易度上がる、もしくはクリア出来ない、みたいなことはありませんので、本当に自分が見た目などで気に入ったキャラクターを使っていけばいいと思います。

余談:クリア時点でのキャラのステータス。

CJ
力 330
魔 164
器 256
足 261←注目
守 235
魔防198
運 247


CJは守備力は低いですが、攻撃力は前衛陣の中でもトップクラスです。ですがCJの魅力は前衛の中でも抜きんでた素早さにあります。イーシャの素早さも300を超えていますので、開幕先制で動くことができます。百英雄伝は、素早さの高いキャラ順に行動が回ってくる仕様なので、素早さの高い後衛のイーシャ等がやられたときなどに、前衛で素早さが高いCJがいれば、アイテム係に回せちゃいます。エンディングまで安心して使える性能のキャラクターになっていますので、個人的に一押しキャラです。

力だけなら最強キャラはユウゴですが、私が選んだスタメンの中で総合的に一番強いのはレイナさんだと思います。守備力が高くて死にずらく、マカライトバングルをつければHPも200上がるので、ヘイト管理は出来ませんが、壁役として重宝します。
イーシャはSP2消費して横一列にMP消費無しで強力な範囲攻撃が出来ますので、スウェーンのバングル(SP開幕+1)をつければ開幕魔法打ち放題で無双状態になります。更に魔法のルーンも2つセット可能ですから、攻撃も回復も出来る器用なキャラです。シンプルに強いですので、イージーでも攻略が難しい、ボスが強い、と感じた人は、CJ、イーシャ、ユウゴ辺りを使っていくと攻略が容易になるでしょう。

戦闘のテンポは良くないですが、各キャラごとに作戦を細かく設定すれば、プレイヤーが手動で操作することなく、おまかせ、で雑魚戦もボス戦も、ラスボス戦もあっさり終らせることができます。ですので、自分で一人一人操作するの面倒っという方は、作戦設定して、おまかせ、にしちゃえばボス中にトイレいけるようになりますので、お勧めです。
ガンビットはFF12を遊んだことがある、という人にはなじみ深いシステムですが、やったことが無い人には、ちょっととっつきにくいかもしれません。ですがFF12みたいに滅茶苦茶区複雑ではないですので、戦闘を少しでも快適にしたい、という人は、作戦設定を弄ってみて、色々試してみてください。 

【発売直後の不具合について】

 百英雄伝はマルチプラットフォームでSwitch、PS4、PS5、XBOX、PCで発売されました。ですがSwitch版が最適化されておらず、ロードが長かったり、クラッシュしたりしているそうで、Switch版を購入したユーザーはこのゲームに不満を感じているようです。
元々この百英雄伝は現行最新世代機向けに開発されていたもので、PSやPCで遊べるゲームをSwitchで発売すると、大抵のゲームはロードなどが遅くなったりするなどのプレイフィールに問題が起こります。
オクトパストラベラー2というRPGも、PSやPCとSwitchではロード時間にかなりの差がありましたし、今作はクラウドファウンディングという、変わった手法で開発されたゲームですので、技術や人材不足等で、発売日になっても進行不能バグや全員仲間にならないバグがあったりしました。現在は進行バグなどの問題は修正されましたし、Switch版は最適化をしている最中のようですので、Switch版を購入したユーザーは、アプデが来るのを待ってからプレイするのも一つの選択だと思います。
 ゲームとしての出来は悪くないだけに、こういうバグとか不具合など、ゲーム内容とは関係ない部分で評判を落としてしまうのは、残念でなりません。

【終わりに】

 百英雄伝は、AMAZONならパッケージ版を5000円以下で購入でき、かつ最低4~60時間は遊べます。JRPGとしては、かなりコストパフォーマンスが良いと思います。更に周回要素やシナリオ分岐、PS、PC勢はトロコンなど、やり込もうと思えば100時間以上は軽く遊べちゃいますから、JRPGが大好き、という人なら、かなりお買い得ですし、買って損した、買わなきゃよかった、みたいな気分にもなりづらいでしょう。ですが一応言っておきますが、このゲームは幻想水滸伝という名作JRPGの精神的続編であり、よく悪くも幻想水滸伝というゲームに対する理解がないと楽しめないかもしれません。本当にお値段相応のクオリティで、約束された神ゲー、とか、今年のGOTY候補筆頭、みたいな、過剰な期待はしないようにしてください。幻想水滸伝を遊んだことが無い、という人は、まず百英雄伝を遊ぶ前に幻想水滸伝を遊ぶべきでしょう。
客観的にゲームとして詰めの甘い部分が多いのは否定できませんが、幻想水滸伝に思い入れのある人達の期待には応えられるゲームだったと思います。ファンが望んだゲームですから、幻想水滸伝を遊んだ1ファンとしては、大満足な作品でした。
本当に昔ながらのJRPGそのままなので、昔のRPGの方が好きだった、とか、RPGってこうだったよな、とか、戦闘はランダムエンカウントに限る、とか、こういうのでいいんだよ、と割り切れる方ならば、充分楽しめる、非常に良質なJRPGになっていますので、往年のJRPGファンの方で幻想水滸伝をプレイされたことがある方は、ぜひ購入を検討し、あの頃を思い出しながら遊んで、郷愁に浸ってみるのも悪くないでしょう。

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