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圧力鍋の使い方がちゃんと分かる話

1.鍋の中で何が起きているかを知れば自由に使える

便利な調理器具なのですが、調理中の様子を目で確認できないのが圧力鍋の欠点です。そこで加熱から冷却まで、圧力鍋の中がどうなっているのかを解説します。

ポイントは2つ…
●圧力鍋は100度以上の高温調理で火が速く通る
●圧力鍋は激しい沸騰なしに100度以上になるのでグツグツ揺れて煮崩れない

2.はやく火が通るのは120度の高温だから

山の上でもない限り、一般的に人間が生活している場所では、水は100度で沸騰して水蒸気になってしまい、それ以上に温度は上がりません。なので、普通の鍋での調理では100度以上の熱を食材に加えることができません。(油であげる場合は話は別)

ところが、圧力鍋に水分を入れ食材を入れて、蓋を締めて加熱していくと状況は変わります。水温が100度になると沸騰しはじめ、水は水蒸気になります。普通の鍋を使うと水蒸気は鍋蓋の蒸気穴や蓋の縁から逃げていきます。しかし蓋で密閉された圧力鍋の中では、蒸気が外に逃げずに鍋の中に溜まっていき、鍋内部の気圧を上げていきます。

水蒸気がさらに溜まっていき内気圧が2気圧(通常の倍の気圧)になると、調圧弁が働いて水蒸気が出てきます。さらに加熱して水蒸気を増やしても、調圧弁は鍋の内部を2気圧に保ちます。この高い気圧の中、水の沸騰点も120度まであがり、火力を上げてもその温度が保たれます。(この120度の高温が肉や野菜の繊維や組織を壊すので、食材が速く柔らかくなるのです。)

どんなに火力を上げても水温は120度以上に上がらないので、火力は調圧弁からギリギリで水蒸気が出てくる程度に絞ります。このことが圧力鍋を使いこなす第1のポイントです。これをしないと煮崩れます。以下に説明します。

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3.煮崩れを防げる理由

火の調節をしなかったり、さらに火力を上げたりすると鍋の中はどうなるでしょう?同じ2気圧・120度でも様子は大分変わります。

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上記のように、火力を調整しないと内部は多くの水蒸気が湧き上がり、食材を激しく揺することになり、結果として煮崩れを引き起こします。また、調整弁からは多くの水蒸気が出て安全性からも感心しません。さらに加熱すると、安全弁が働きますが鍋は危険な状態に向かいます。
そのため調圧弁から蒸気が出はじめたら、蒸気がぎりぎり出てくる状態=2気圧になった状態をキープできる火力に絞ることが大切になります。このことで穏やかな沸騰状態をつくり、荷崩れを防ぎながら高温調理を続けることができるのです。
上記のように圧力釜は水分蒸発を最低限に抑えた調理になりますので、普通の鍋に比べて調理中に蒸発する水分はとても少なくなります。例えばカレールーに書かれている水加減などは少なめに調整しないと味が薄くなってしまいます。これも大切なポイント。

4.減圧方法1…自然冷却・自然減圧で煮込む

火を止めて放置する。これが最も普通の冷却方法です。この方法の良さは、火を止めた後3~5分程度(室温や鍋による)は100度以上で煮込んでいる状態になること。蓋を開けるためには、鍋の中が外と同じ気圧なる必要があるのですが、100度以下になるまでは圧力が高いため蓋を開けることができません。つまり100度以下になるまでが予熱調理になります。

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5.減圧方法2.…急速冷却で加熱を短くする

これも使うことがある冷却方法です。洗い桶などに冷水を張っておき、そこに圧力鍋を入れて強制的に冷やします。この冷却法(減圧法)のメリットは、加熱時間をきっちりコントロールできることです。パスタの下茹でなどでよく使われます。

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6.減圧方法3.…急速減圧で煮崩れ促進

これは多くの圧力鍋で禁じ手とされています。知識としてだけ知っておいてください。
火を止めたあとに、調圧弁を指で傾けると、鍋の中の水蒸気が大きな音を立てて吹き出します。こうすると鍋の内部を強制的に減圧することができます。出てくる水蒸気が高温であり、また、以下の理由で料理の液分が吹き出てくることもあるため、禁じ手なのです。
急速減圧中の鍋の中は、気圧が下がることで激しく沸騰します。(100度以上ですから…) もちろん中の材料も激しく揺れますので、煮崩れも激しく起こり、場合によっては料理のスープなどが調整弁の穴から吹き出すことがあります。

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7.最後に水加減の注意

火加減や冷却方法で圧力鍋の中がどのようになるかが分かってくると、なにか安心して調理ができる気がしませんか?ぜひ美味しいカレーでも手早く作ってみてください。
最後にひとこと。圧力鍋の特徴は蓋を締め切って調理することなので、調理中に水分がほとんど減りません。調圧弁から水蒸気が出てきますが、液体の水としてはごく僅かなのです。そのため、カレーを作るときなどは、ルーのパッケージに書かれている水の量よりも減らさないと水っぽくなりますのでrご注意ください。
(※圧力鍋使用時の水の量が書かれていることもあります)

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