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「首都直下 南海トラフ地震に備えよ」 鎌田浩毅 著 SB新書

著者の鎌田浩毅 さんは、京大で長年地球科学、火山学の研究をしてきた人です。そして、科学者・研究者としてのスタンスも素晴らしい。科学の限界をきちんと示されています。


ざっくりいってしまえば、どの程度の地震がどのあたりで起きるであろう、それに伴いいくつかの火山が活動期になり、噴火による被害はこの程度になるであろうと言うことは、かなり正確に予測できる訳ですが、それが何年の何月何日に起こるのかについては予測できないのです。


予測できることは・・・


首都圏の直下型地震は必ず起こり、国の中央防災会議によれば、冬の夕方6時、震度7の揺れに見舞われる最悪のケースでは、犠牲者2万3000人と想定されておおり(p.205)、このうち火災による犠牲者は1万6000人で、全壊・焼失建物61万棟、経済被害95兆円(p.205)にもなると予測されています。


プレート型の地震については、南海トラフ地震が起こると考えられるのですが、その場合、最悪東海・東南海・南海に加え南海トラフ西端の琉球海溝接続部を加えた4つの領域で次々に地震が発生する「四連動地震」になる可能性もあるのだそうです(p.105)。

この場合、「震源域の全長は700キロメートルに達し、これまでの想定M8・7を超えるM9クラスの「超」巨大地震(p.105)」となり得るのです。最悪、東日本大震災の10倍もの被害が予想されます。


南海トラフの地震は定期的に起きており、地盤の沈下状況から、発生時期がおよそ予測されます。現在、2030年代、遅くとも2050年代までには起こりそうだと言われているのだそうなのです。


そういう状態なので、今できることは、いつ地震が来ても生き残れるように、必要な防災グッズを備えておくとともに、いざ地震が起きた場合の行動を事前に考え、予行演習しておくことでしょう。地震、そしてそれに伴う津波や火災については、基本、てんでんこなのでしょう。要は、いざ地震が来たときは、落ち着いてクライシスマネジメントをすることです。


火山については、南海トラフの大地震が起きた後、活発化するでしょう。


これほどの規模の地震があった場合、富士山の噴火が起こる可能性は高いのだそうです。


ただ、噴火については、その危険度を観測することができます。だから、準備の時間は少しあるとのことです。

ちゃんと備えておかなきゃって気持ちになりました。


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