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【ChatGPT】銀行の顧客対応トラブルシューティングのシミュレーション:プロンプトエンジニアリング入門講座の演習問題


はじめに

今回は、私が講師として実施させていただく「ChatGPTプロンプトエンジニアリング入門講座」のイメージを持っていただくために、講義中の ハンズオン演習の時間に出題する演習問題をご紹介します。

講座で出題する演習問題の事例

ChatGPTプロンプトエンジニアリング入門講座では、以下のようなハンズオン演習を行います。
あなたなら以下の問題に対して、どのようなプロンプトを書きますか?

演習問題16:
地方銀行の顧客対応ガイドラインに基づき、トラブルシューティングを受け付けるためのプロンプトを作成してください。
地方銀行の顧客対応ガイドラインとトラブルケースのダミーデータを作成した上で、トラブルシューティングをシミュレーションしてください。

プロンプトエンジニアリング入門講座より

顧客対応ガイドラインを作成する

まずは、地方銀行の顧客対応ガイドラインを作成します。

銀行顧客対応ガイドライン - サンプル

1. 基本的な顧客対応方針

- 顧客第一主義: 常に顧客のニーズと利益を最優先に考えます。
- プロフェッショナリズム: 丁寧で礼儀正しい対応を心掛け、専門的な知識を活用します。
- 迅速な対応: 問い合わせや問題にはできるだけ早く対応し、解決を図ります。

2. 顧客対応のプロセス

1. 挨拶と自己紹介
- 例: 「こんにちは、ABC銀行の山田太郎です。本日はどのようなご用件でしょうか?」

2. 顧客ニーズの確認
- 質問を通じて顧客の要望を明確にし、記録します。

3. 適切な解決策の提供
- 顧客のニーズに基づいて、最適な商品やサービスを提案します。

4. 質問への対応
- 顧客からの質問に対し、正確かつ簡潔に答える。

5. 感謝の言葉とお別れ
- 例: 「本日はご来店いただき、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」

3. 電話対応の注意点

- 明るくはっきりとした声で応対する
- 顧客の名前を確認し、メモを取る
- 要点を繰り返して確認し、間違いを防ぐ

4. 苦情対応

1. 謝罪と共感
- 例: 「ご不便をおかけして申し訳ございません。」

2. 問題の詳細を確認
- 顧客から具体的な情報を集め、問題の本質を理解します。

3. 解決策の提案と確認
- 具体的な解決策を提示し、顧客の同意を得ます。

4. フォローアップ
- 問題解決後に再度連絡を取り、満足度を確認します。

5. 個人情報の保護

- 顧客の情報は厳重に管理し、第三者への提供は法律に基づく場合を除き行わない
- パスワードや個人情報を口頭で確認する場合は、周囲に配慮する

6. サービスの改善

- 定期的なフィードバック収集
- 顧客の声をもとに、サービスや対応方法の見直しを実施

リアルなトラブルケースを作成する

次に、ChatGPTに依頼して、架空のクレームやトラブルのサンプルケースを出力してもらいます。

銀行トラブル・クレームケース - サンプル

ケース1: ATMの現金引き出しエラー

問題の概要
顧客がATMを利用して現金を引き出そうとしたところ、ATMが操作中にエラーを起こし、現金が出てこなかったにもかかわらず、口座からは引き出し額が引かれてしまいました。

顧客のクレーム
「昨日、ATMから1万円を引き出そうとしましたが、機械がエラーを起こして現金が出てきませんでした。それなのに、口座からは1万円が引かれています。すぐに返金をお願いしたいです。」

銀行の対応ポイント
- ATMのトランザクション履歴を確認し、顧客の申し立てが正しいかどうかを確認。
- 顧客に対して謝罪し、迅速に調査を進める旨を伝える。
- 調査結果に基づき、必要に応じて口座へ返金を行う。


ケース2: 口座の不正利用

問題の概要
顧客が自分の銀行口座を確認したところ、覚えのない複数の高額な支出が記録されていました。顧客は不正利用の可能性を懸念しています。

顧客のクレーム
「私の口座から不審な引き落としが複数ありました。これらは私の承認を得ていないものです。早急に対処し、損失を補償してほしいです。」

銀行の対応ポイント
- 直ちに口座の一時凍結を行い、さらに不正な取引が行われないようにする。
- 顧客とともに取引履歴を確認し、不正利用の事実を確認。
- 警察への報告を含めた必要な手続きを説明し、顧客に安心感を提供。
- 調査完了後、必要に応じて被害額の補償を行う。


ケース3: ローンの返済計画変更に関するトラブル

問題の概要
顧客が事前にローンの返済計画の変更を申し入れ、銀行から承認を得たにもかかわらず、元の計画に基づいて引き落としが行われ、過剰な利息が発生してしまいました。

顧客のクレーム
「ローンの返済計画を変更し、銀行から承認されたと確認したのに、元の計画通りの引き落としが続いています。過剰に利息を払わされており、元に戻してもらいたいです。」

銀行の対応ポイント
- 顧客の申し出と銀行の記録を確認し、計画変更が正しく処理されているか検証。
- 速やかに誤った引き落とし分を修正し、正しい金額に調整。
- 顧客に謝罪し、正しい返済計画が適用されるように手続きを再確認。

プロンプトを書く

これらのケースに対応できるようなプロンプトを書き、それを実行して出力の精度を確認するところまでが演習です。では、改めて演習問題を見てみましょう。

演習問題16:
地方銀行の顧客対応ガイドラインに基づき、トラブルシューティングを受け付けるためのプロンプトを作成してください。

あなたならどのようなプロンプトを書きますか?
以下がプロンプトの回答例です。
悪い例、普通の例、良い例を挙げています。
それぞれをその場でChatGPTにかけて、出力の違いをチェックします。

悪い例:
トラブルシューティングをしてください。
普通の例:
顧客対応ガイドラインに基づいて、トラブルシューティングを行ってください。
良い例:
当地方銀行の顧客対応ガイドラインをアップロードします。このファイルに基づき、トラブルシューティングを行ってください。役割はカスタマーサポートの責任者です。ユーザーからのトラブル内容の入力に基づき、問題の特定、解決策の提示、顧客への報告方法を500字以内でまとめてください。

良い例としてのプロンプトをケース1(ATMの現金引き出しエラー)に適用した結果の出力は以下の通りになりました。

以下は、ガイドラインに基づいてカスタマーサポート責任者としてのトラブルシューティングの一例です。

問題の概要
顧客がATMで1万円を引き出そうとした際にエラーが発生し、現金が出なかったにもかかわらず口座から引き出し額が引かれた。

トラブルシューティング手順:
1. 顧客への初期対応:
- 顧客に対して礼儀正しく謝罪し、「ご不便をおかけして申し訳ございません」と共感を示します。
- 速やかに事実関係を確認するための調査を開始することを伝えます。

2. 問題の特定と解決策の提案:
- ATMのトランザクション履歴と監視カメラを確認して、顧客の申し立ての正確性を検証します。
- 事実が確認された場合、顧客の口座に迅速に返金処理を行います。
- エラーの原因を特定し、再発防止策を検討します。

3. 顧客への報告:
- 調査結果と取った措置について、顧客に詳細を説明します。
- 再発防止策についても共有し、安心してサービスを利用してもらえるよう努めます。
- 「この度はご迷惑をおかけしましたが、問題が解決しましたことをお知らせいたします。今後とも何卒宜しくお願いいたします」と結び、顧客の満足度を最終的に確認します。

このプロセスを通じて、顧客対応ガイドラインに則った適切な対応を行い、顧客の信頼を維持することが重要です。

まとめと講座のご案内

いかがでしょうか?
銀行がものすごく時間をかけて作り上げている顧客対応マニュアルが、ケースバイケースで一瞬のうちに出来上がります。
完璧なものでは無いにしろ、実務に適用するためのドラフト(草案)としては充分なクオリティーだと思います。

生成AIを使ってるけど、プロンプトってどう書いたらいいか、イマイチわからないな、と言う方にぜひ受講いただきたい講座です。

詳細とお申し込みは以下の板橋区立企業活性化センターのサイトでご覧ください。


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