夏の怖い話

 それは まだ子供たちが 小学生の頃の話です。
田舎住まいの我が家の周りで 虫を取ったり
用水路で遊んだり 兄弟で楽しい夏休みをすごしていました。
 ある日の夕方 私が夕食の用意をしていると
子供たちが 遊びから帰ってきて言いました
「カブトムシ いっぱいつかまえた。」
「見て 見て。」
引かれるままに玄関へ行くと いました
 かさかさと オス メスの カブトムシが
5匹ほど 歩き回っていました。
「かご! かご! なんで虫かごに入れない!」
あわてる私の隣で 
「あれ 1匹いなくなった。」
おーまーえーっっ!
「1匹足りない。」
ひいぃぃぃぃぃ 
まわりを探したが いない
「とりあえず いるのは全部外もってって!」
「あーい。」
子供たちが つかんで外に出しているうちに
キッチンに戻り 冷蔵庫からスイカを取り出し
一切れ皿に盛り 玄関に行く
「スイカだ スイカだ。」
喜ぶ子供
「君たちのじゃない。」
「だれのー?」
「カブトムシをおびき寄せる 罠だ。」
「なるほどねー。」

 玄関にスイカをセットして しばし待つ
そーっと見に行くも カブトムシは現れない
1時間たったころ また そーっと見に行った時
聞こえる かりかりと 皿にカブトムシの足があたる音が
やった 来た! 子供たちにそっと教える
一緒に玄関へ 向かう。 私は怖くて触れない。
皿ごとカブトムシを持ち上げ 確認した兄が言う
「これじゃない。」
なに? どゆこと?
「いなくなったのは メスカブ
 これ オスカブじゃん。」

メスカブは いつから家の中にいたのか
そして オスカブはどこへ行ったのか・・・。

ある夏の日の怖い 出来事でした。

いや まだ解決しては いない。

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