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ニトリ、外食参入 自社商品使い低価格ステーキ店併設

ニトリホールディングス(HD)は外食事業に参入した。卸を通さずに食材を調達し、店舗では自社の家具や食器を使うなどして運営コストを下げる。将来は家具と同様に生産から販売までの一貫体制を目指す。新型コロナウイルスの感染拡大で外食の事業環境は厳しいが、低コストを武器にすれば参入余地があると判断した。

店舗名は「ニトリダイニング みんなのグリル」。まず東京都足立区と相模原市のニトリの家具・雑貨店に併設する形で低価格ステーキ店を設けた。集客面で家具店との相乗効果に期待するが、外食事業単独で利益を出せる規模への拡大を狙う。

主力は500円のチキンステーキ。大手のファミリーレストランチェーンの800円程度に比べ割安に価格設定した。ハンバーグ(700円)やリブステーキ(990円)など手ごろな価格をそろえる。持ち帰りサービスにも対応する。

低価格を実現するため家具・雑貨店のノウハウを活用する。内装工事はリフォーム事業を手掛ける社内の専門部署が担う。賃料を抑えるため、まず全国に約450カ所ある「ニトリ」の店舗の敷地を活用して出店を増やす。ニトリHD子会社のニトリパブリック(札幌市)が店舗を運営する。

食材は食品メーカーなどから直接仕入れるが、将来は畜産などにまで手を広げることで販売価格を下げる。ニトリは家具・雑貨の分野で生産から販売に至るまで自社で行うSPA(製造小売り)の事業モデルをテコに成長した。そのノウハウを外食事業にも応用する。

新型コロナで必需品を扱うニトリは業績が好調で、2021年2月期も34期連続で最高益を更新した。外食店をニトリに併設すれば、滞在時間が伸びて客単価が増えるとも期待している。

外食業界は新型コロナによる外出自粛で苦境に陥っているが、低コスト運営で損益分岐点を下げれば収益力を高められると判断。まずは自社施設への出店を優先するが、将来は独立した路面店や他の商業施設への出店も検討する。

新型コロナで小売りや外食業界では淘汰が進んでいる。ニトリはアパレルの出店拡大も検討するなど、業界の垣根を越えて事業を広げる考えだ。

(出典:日本経済新聞電子版)

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