時価総額の変動


アップルがついに2兆ドル超えの時価総額に達し、名実ともに世界No.1となり世間が騒がしくなっています。1兆ドル超えからわずか2年での実現です。(1兆ドル超えたのは2018年8月2日です)。


米国企業として1兆ドルを初めて超えたのはアップルでしたが、2兆ドル超えもアップルでした。

ちなみに、サウジアラコムが2019年12月に2兆ドルを一時突破していますので、世界初ではありませんが、次の3兆ドル突破をアップルがやり遂げれば「世界初」になります。もちろん、アマゾンになるかも知れませんし、テスラになるかも知れませんし、まだ存在していない企業かも知れません。

 

ちょうど2018年前半の経営陣合宿では、ほぼ毎回「世界の時価総額ランキング」が示され、アップルが1兆ドル超えが目前であることが言われていたのを覚えていらっしゃる方も多いと思います。


また全世界市場では、PERが100倍を超える企業が245社(時価総額10億ドル以上の企業に限る)あるとも言われており、一部では「バブル」であるとも言われていますが、カネ余りの中で、「強い企業」と「5年から10年先が有望」という目線で、お金が集中している状況だと思います。


一方冷静に見てみると、GAFAMのPERは直近では①アップル37.7倍(時価総額2.1兆ドル)②アマゾン126.1倍(同1.64兆ドル)③マイクロソフト36.98倍(同1.61兆ドル)④アルファベット34.74倍(同1.1兆ドル)⑤フェイスブック32.65倍(同0.76兆ドル)となっており、100倍以上はアマゾンだけですが、アマゾンは恒常的に100倍を超えている企業です。


アップルとマイクロソフトは今年に入り、PERの水準が約10倍程度上がっていますので、「強い企業」として買われていると言えると思います。


GAFAMの中でも、アルフアベットとフェイスブックが上位3社との差を徐々に離されているのは、「次の収益源」が見えてこない事と、「既存事業の成長力」に陰りが見えてきているからだと言われています。


 8月1日の英エコノミスト誌(日本語版は日経8月4日朝刊)に「グーグル 中年の危機 克服なるか」という記事が掲載されましたが、巨大テック企業となり、①事業の成熟化②企業文化の変化③政府との関係のもつれの3つが「中年の危機」を迎えた主な原因だと解説されています。


事業の成熟化は、主力の検索広告市場ですでに90%のシェアを握っており、この5年間に「ドローン」「ロボット」「クラウド」「自動運転車」などなど次の「成長の種」にそれぞれ数千億円以上の資金を投入してきたが、どれも大きな成功への足掛かりにはなっていません。


企業文化の変化は、正社員約12万人、それ以外で約12万人以上の従業員がいる中で、創業以来の飛躍的な成長を支えてきた「自由奔放」な精神が失われつつあることなどが言われています。


記事の中では、グーグルはアップルとマイクロソフトがいかにして「中年の危機」を乗り越えて今があるのかを勉強するべきであるとも言っています。


 やはり、「我々が目指しているところは何処なのだ?」という視点を常に持ち続け、本質を外さず、環境の変化に機敏に対応し、未来を見据えて事業を行うことがいかに大切かと言うことをあらためて感じます。

コロナ禍で、世界各国が財政資金の投入を未曾有の規模で行っているため、世界ではお金がだぶついています。これまでの経済原則では、このような状況になるとインフレになる可能性が高まり、金利が上昇しはじめるとされてきました。

一方で、この経済原則は、しばらくの間その通りにならないのではないかと世界で言われ始めています。
例えば、ゴールドマンサックスの予想では2025年前半ぐらいまで、この状況が続くという見方をしています。
現時点でもだぶついたお金は、株式市場、債券市場、金市場、ビットコインなどに流入しており、この流れが続くのではないかと言うことでもあります。

残念ながら「消費」に向かうお金は増加することはなく、大勢ではむしろ「選別」「抑制」される可能性が高いようです。
このような背景もあり株式市場では「K型相場」になってきていると言われ始めました。「K型」とは「上に向かう企業」と「下に向かう企業」が明確になり、競争力や成長力のある一部の「強い企業」にお金が集中し、それ以外は沈んでいくということです。 


ある日本の機関投資家が最近

「デジタル化の加速や低成長経済の長期化が企業を取り巻く環境の変化に拍車を掛ける」

『「あってもなくても良いもの」はあっという間になくなる。投資すべきは揺らがない強さを持った企業だけだ』

と語っています。

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