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コピーライター、ChatGPTを語る

ChatGPTが話題になって、もう1〜2ヶ月が経ちますね。

コピーライターたるもの、常に時代の流れにアンテナを張っていなければならないのですが、恥ずかしながら僕は、運営している文章学校の受講者さんに教えてもらうまで、知りませんでした。

「AIが小説を書いた」というニュースはずいぶん前に聞いた覚えがありますが、コピーライターをやっていて、AIを脅威に感じたことはありません。
やはり文章というものは、人間の感性が重要で、そこに書く人それぞれの個性や知性、技術が加わってこそ書けるものであり、AIには技術はあっても、感性や個性など無いだろうから、いわゆる「AIに仕事を奪われる」危機感は僕にはありませんでした。

さあ、そこでChatGPTです。

まずやってみたのが、「村上春樹さんっぽい一文をお願いします」

はい、そしたら、瞬時にテケテケと文字が出てきて、たしかに村上春樹さんっぽい文章が完成しました。

でもですね。
この時、ChatGPTさんが書いてくださった文章は、村上春樹さんの小説で使われている言葉や言い回しが多用されているだけのものだったんです。
だから、村上春樹さんっぽい一文になったんですね。
「冒険」って書けばいいってもんじゃないのだよ、ChatGPTくん。

続きまして、「松本人志さんが言いそうな一文をお願いします」とお願いしてみました。
それに対してChatGPTさんが回答してきたのは、志村けんさんがよく言っていたギャグを散りばめたものでした。
まっちゃんちゃうやん。

試しに、僕の事務所「木村文章店」にキャッチコピーをつけてください、ともお願いしてみました。

つけてくれたキャッチコピーは「言葉の魔術師。木村文章店」。
よせやい。
照れるじゃないですか。

そんな感じで、ChatGPTといろいろ戯れてみましたが、結論です。
「まったく脅威ではない」

もちろん、これからものすごいスピードでChatGPTは進化をしていくのでしょう。
いまは正直、精度が低いな、こんなもんか、という感想ですが、きっと近い将来、驚くべき文章生成AIになるのだと思います。

それでも、僕は脅威に感じません。

ChatGPTが進化して、名のあるコピーライターにも負けない、あるいはそれ以上の素晴らしいコピーを生み出せるようになるとします。
でもそこには、前記の通り、感性や個性は無いので、人の心に響かせるコピーにはならないでしょう。

では、コピーライター(だけではなく、物書きの多く)は、ChatGPTとどのように付き合っていけば良いか。

それは、ドラえもんとのび太くんの関係性だと思います。

ドラえもんは、便利な未来の道具を多種多様に持っています。
それらを、のび太くんの要望に応じて提供するわけですが、たいていの場合、のび太くんが使い方を誤って、失敗に終わるというオチです。

ただ、たとえばタケコプターをのび太くんは悪用せず、移動の際にうまく活用しています。
いつもいつも移動の際にタケコプターを使うわけではなく、急ぎの時や長距離移動の時にのみ使います。

他にも、どこでもドアも比較的うまく使っている印象です。
タイムマシンもそうですね。

つまり、今後ChatGPTがどえらい進化を遂げたとしても、コピーライターは職を失うのではなく、共存することになるのではないかと思うんです。
ドラえもんとのび太くんの関係性のように。

ChatGPTが出してくれたコピーに、コピーライターが感性や個性を加える。人間らしさを付け加える。
それによって、クオリティが高く、かつ人の心に響かせるコピーが生まれる。そんな気がします。

木村文章店にかっこいいキャッチコピーを付けてくれたのが嬉しくて、僕は次に、「木村文章店とはどんな会社ですか?」とChatGPT先生にお聞きしてみました。

「木村文章店は、有名な老舗文具店。万年筆を買い求める客が多いです」。
おい。
業種すら違うじゃねえか。

いまの精度の低いChatGPT、逆に人間臭くていいかもしれません。
進化しなくてもええんやで。

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