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雑多な雑感――NPOの戯言⑲

《「田舎暮らし」の悲喜こもごも③》
 田舎では必然的に節約が求められる。最大の理由はわたしが貧乏だからだが、田舎の事情も絡んでくる。つまり周辺に店がなく買い物にも労力を要するからである。わたしが住むF町には寂れたJA経営のスーパー1件のみ。ちなみに人口5,000人以上が「町」とされるらしいが、町内にそんなに人が存在しているとは思えない。町の面積はとてつもなく広い。トラックとバイクと、稀に出会う老人以外に人の営みは感じられない。感覚的にはせいぜい点在する「集落」。
 それでも我が家から急坂を30分下っていくと国道沿いにローソンがある。これをパスすれば車で30分かけて街中へ(ほとんんど信号がないので距離は相当である)。「近いじゃないか」と思う人もいるだろう。事実もっと不便なところはたくさんある。昔からそうした生活に慣れている人の多くは農業の知恵にも長けていて野菜や果物を育てていたりする。わたしの祖父なども野兎や野鳥を罠にかけて料理していたし魚やうなぎを捕って食べさせてくれた。ちなみに野鳥も兎も硬くて臭くて苦痛であった。苦い思い出。
◆注:親の離婚後、わたしは子どもの頃夏休み限定で祖父母に預けられていた。
 
 とまれ、都市生活に馴染んだわたしには農に関する知識もなく、もとより自給自足は諦めているので買いだめ以外に方法はない。しかしカネもない。ゆえに節約こそはライフスタイルの土台。なので倹約令がいつ出ても大丈夫(酒は除く)? それでも貯金を崩しての生活なので限界はすぐそこに。
 そこで生活費を稼ぐ必要に迫られ就活に勤しんでいる。ハローワークとバイトルに登録、できそうな仕事にも応募している。ところが、田舎の弱点は仕事が限られている点にある。ほぼ毎日求人を確認するが、介護関係が圧倒的に多い。資格のいる保育士・看護師。深夜の工場・警備の募集は常時止まらない。もちろん老宅の近辺にはない。
 わたしは老母との暮らしで家事を疎かにできない立場なので時間上の条件が付加される。なので今はかろうじて家庭教師で酒代を賄っている次第。もちろん素面(シラフ)で教えている。わたしは確かにNPO(のん兵衛でポンコツのおっさん)ではあるがアル中ではない――たぶん。そして今日も一人で「一献」求人情報の閲覧に忙しい。


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