ビジネスも勝負事、合理性の追求と攻めの姿勢が運を呼び込む

今日は、安田隆夫氏の『運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』の第3章「運の三大条件―『攻め』と『挑戦』と『楽観主義』」を読み進めました。

昨日の記事で触れた元ソニー社長の平井一夫氏とは異なるタイプの経営者ですが、安田氏の「運」をテーマにした書籍と、平井氏のリーダーシップ論には共通する部分があり、大変面白く読み進めることができました。

運の追求は、合理性の追求

安田氏は、「運の追求」とは、単に天に運を任せるのではなく、合理性を追求することであると説かれています。
本書では「交差主義比率」という流通用語を例に挙げ、よく売れていて利益率の高い商品に力を入れ続けることが、運を開くための正攻法であると述べています。
これはビジネスの基本であり、このシンプルなことを意識してブレずに続ける姿勢が成功の鍵というわけです。

運を引き寄せる三大要件

その上で、運を引き寄せるには、「攻め」、「挑戦」、そして「楽観主義」の三大要件が不可欠だと触れています。
安田氏は、「リスクを取らないことが一番のリスク」という言葉を座右の銘にしているそうです。
彼が長崎屋の買収に踏み切った際、周囲からの反対を押し切って行動したことが「MEGAドン・キホーテ」の成功に繋がったエピソードは、赤字のテレビ事業を残しつつ看板だったVAIO(PC)事業の売却を決断したソニー元社長の平井さんが語る「何も決断しないことが一番良くない」とも相通じる考えだと思いました。

「挑戦」に関しては、運は待つものではなく、自ら行動することで初めて手に入るものだと記しています。
しかし、果敢な挑戦とともに「迅速な撤退」も常にセットであるべきとし、経営理念として「果敢な挑戦の手を緩めず、かつ現実を直視した速やかな撤退を恐れない」を掲げているとのこと。
この言葉は、昨日の記事で書いた平井さんのブレない姿勢と重なるものであり、最終的に結果を残す成功するリーダーに不可欠な認識だと改めて理解しました。

「間違いに気づいたら軌道修正することが大切だが、正しいと確信している時には、誰になんと言われようとブレない姿勢を持つことが重要である」

平井一夫

3つめの「楽観主義」については、オックスフォード大学の名誉フェロー、マット・リドレー氏の『繁栄』を引用し、これまでの歴史は、将来に対する悲観論が多数派を構成するが、いずれの悲観論も外れ、現実には楽観的なシナリオこそが唯一の正解であるとしています。

守りと攻めのバランスが勝負事には大事

僕は、読み進めるときに、合理性の追求と、攻め・挑戦・楽観主義の運の三大要件が一見相反するのではと思いました。
しかし、安田氏は「守備7割/攻撃3割」を意識し、バランスを取りながら大きな成果を目指すことが重要だと説いています。

安田氏は若い頃に麻雀プロとしてならしていたそうですが、僕も麻雀ゲームをします。
麻雀は、運の要素がとても大きいと言われますが、その中でも相手の手筋を読みながら、いかに振り込まず、勝負のタイミングで勝ちきることをめざし、「小さく負けて、大きく勝つ」を目指すゲームだと思っています。
この麻雀の戦略が、リスクを取りつつも慎重に勝機を見極める姿勢に通じ、彼の成功の基盤になっているのだと感じました。

スポーツでもゲームでも「攻め」と「守り」のバランスは、勝負事全般に通じる普遍的な戦略です。
ビジネスも勝負事であり、合理的な考えで守りつつ、勝負のタイミングでは、運を呼び込むようにポジティブに行動する姿勢をとっていきたいと思いました。

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