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2004年のあれこれと本日の濡れねずみ

斎藤千晃が2004年の写ルンですで撮ってくれた、2ヶ月前くらいの私の写真が送られてきた。
モヤモヤの向こうでのん気に笑う自分の顔はなかなかにイラッとしたけど、まあ私はきっといつもこんな顔をしているのだろう。
貯金もなければ仕事もなければ彼氏もいなければ夢もまだまだ叶えられそうにもないしちょうど本当に何もかも何もないくせに、楽しそうで何よりである。

この写真たちが送られてきた今日(正確には昨日)は急に大雨が降り、階段を上がった駅の出口には傘を持っていない人たちがたまっていて空を見たりスマホを見たり隣のお友達に「まじかよ」と言ったりしていた。
私もそれなりに急いでいたので「まじかよ」と心の中で思いながら、信号を渡ってすぐ薬局までダッシュした。
たった30メートルくらいだったのに、濡れねずみになった。536円のビニール傘を買って、リュックの定位置のポケットにお財布が入っていなかった上に同じように傘を買い求める人で長蛇の列ができておりあわあわしているとレジのおばちゃんが「もう私、傘屋さんかと思っちゃうわぁ〜」と話しかけてくれた。
財布の行方を探すのに必死だったので、せっかく私に気を利かせてのおばちゃんのユーモアに対応はできず、「ハハッ」と気持ちの悪いミッキーマウスみたいな笑い方をしながらリュックのあちこちに手を突っ込んでいた。いつのかわからない飴のゴミが出てきた。

リュックの中身が汚いのは小学校の頃からなので、もう多分なおせない。
小学校の時に、不要物(学校に持ってきてはいけないもの、携帯電話とかお菓子とかたまごっちとか)検査というものが不定期にあって、リュックの中身を全部担任の先生に見られるのだけど、私は何も不要物を持ってきていないのにリュックの中身が汚いのでたまにちょっと怒られていた。
リュックの隅でぐっしゃぐしゃに丸まった、本当は親にすぐに渡さなくてはいけないプリントが出てきたときは、こっそりたまごっちを持ってきていた女子よりも注意された。大事なプリントをどうしてクリアファイルに入れないのかと先生に言われた時、確かに、と思った。
次からはそうしよう、と心の底から思った。
次からはそうしよう、と思って未だにできていないことが人生に沢山ありすぎる。
私はきっと死ぬときも、次の人生ではちゃんと大事なプリントをもらったらすぐにクリアファイルに入れよう、と思ったりすると思う。

結局スカートのポケットに入っていたお財布を発見し、「ハハッ、すみません」と相変わらず気持ち悪いミッキーマウスの笑い方でお会計を終えた後、「気をつけていってらっしゃい」と今日は傘屋さんのおばちゃん言われた。
ミッキーマウス、ですらなく、ただの濡れねずみはちょっと一瞬泣くかと思ったけど、自分が濡れねずみなことを思い出したら涙は引っこんだ。

夜は映像の編集をしたり、占いサイトの文章を書いたり(一応仕事である)、メルカリとヤフオクでひたすらガラクタを探したり(これも一応仕事である)しているうちに2時間だけ寝てしまい(私はこの2時間だけ寝る、というのをよくやる)、夜中3時にハッと目が覚めて、思い出したように斎藤千晃から送られてきたフィルム写真をなんとなくスマホに保存した。
自分の顔面をわざわざカメラロールに保存をして容量を無駄にするのは気が引けるからあまりしたくないのだけど、なんとなく、ふと日記を書こうと思った。
そういえば最近なんだかんだただの日記は書いていない。
ただの日記と言いながら、2004年の私を思い出してみるので日記でもない。
眠れそうにないのと、上唇の裏側んとこに口内炎ができているのと、2004年もオリンピックがあったなあと思い出したので。北島康介選手がチョーきもちいいって言ってたなあと思い出してしまったので。
2004年の夏休みの自由研究で、私はオリンピックのことを調べてA4のノート一冊にまとめる、という今現在の私だったら絶対にやらないであろうタイプの研究を行っていた。競技の歴史や開催地であるアテネのことなどを、たまになぞの4コマ漫画などを添えて(当時はまだ漫画家になりたいと思っていた)まとめあげたのだ。
2004年の私、まさか2021年のオリンピックがこんなことになっているなんてつゆも知らない。

あの頃、おもにローラーシューズを履いて移動をしていた。
スニーカーのかかと部分にタイヤがついてる、当時の私が世界で1番おしゃれだと思っていたアイテムである。仲良しの友達と一緒に、ローラーシューズを履いてちょっと高い塀の上とかを平気で滑っていた。あの頃の遊びはいちいち怖いもの知らずである。
スーパーにいくときも、公園で遊ぶときにも、学校以外の場所に出かける時はたいてい履いていた。
スーパーの床はつるつるで滑りやすくてとてもいいのと、たまに衣料品売り場などでローラーシューズの存在を知らないおばちゃんがスイスイと移動する私をギョッとした顔で見るのが嬉しかった。
お前人の子か?というような、魔法使いを見るようなあの視線、忘れられない。
ローラーシューズを履いている時は自分が特別な子どものように思えて、とても得意げな気持ちになり、澄ました顔で滑り倒していたのを憶えている。

2004年に大好きだったドラマ、「ウォーターボーイズ2」。
7月から9月にかけてフジテレビで毎週火曜日の夜9時からやっていた。
我が家は9時以降テレビを観てはいけないというルールがあったので、姉がビデオに録画していたのを観ていた。
市原隼人演じる主人公の泳吉くんが水泳の名門校から転校してくるところからこのドラマは始まるのだが、私はこれをキッカケにとても「転校生」というものに憧れを持った。
とても転校してみたかった。
転校生の苦労も知らず、能天気な憧れである。一度引っ越しはしたことがあったけど、学校は変わらなかったので。
ちょうどその頃、私はクラスのリーダー的存在の女子と好きな人がかぶってしまったこともあって、学校がちょっと楽しくない時期だったのだ。
ウォーターボーイズ2の中で、未だに思い出せるのはどれもこれもプールではないシーンで、主に泳吉くんと、同級生で同居人の栞ちゃんとのシーンである。きっとあの頃1番、私は「恋」に憧れていたからか、2人のシーンがとても好きだった。
泳吉くんのTシャツが裏返しであることを栞ちゃんが指摘するけど、ななめがけのカバンが邪魔でTシャツがなかなか脱げず、結局Tシャツはそのままで泳吉くんが「まあいいか」とヘラヘラ笑い、栞ちゃんも呆れた感じで笑うシーンがある。(※記憶を頼りに書いてます)
あのシーンを観た時、私は子どもながらに、これが恋だ…と思った。
現実世界の自分はクラスのリーダー的存在の女子と好きな人がかぶって絶望していたけど、そんなのはきっと恋じゃない、となぜか思えた。
一度そう気づいてしまったら、思い悩んでいたはずの恋心はみるみるうちにしぼみ、昼休みにみんなで手つなぎ鬼(鬼と子に分かれる。鬼は子を追いかけて、捕まったら手をつなぎながら次の子を追いかける)をするときにわざとその男子に捕まるというようなあざとい真似もしでかさずに真剣に手つなぎ鬼をまっとうし、きちんと全力で逃げ回るようになった。休み時間のチャイムが鳴り終わるまで逃げ切った日、「お前足速くなったな」とその男子に言われたとき、とても嬉しかった。そうさ。本当はずっと前から私はあんたより足が速いんだ。
こうして書いているうちに泳吉くんと栞ちゃんのことを見返したくなったのだけど、配信にあったりするのだろうか…。

2004年に大好きだった音楽。
ORANGE RANGEと大塚愛。
ORANGE RANGEはエッチな歌詞もそこそこあったのにあんまり意味を理解せずに真似して歌っていた。
大塚愛もたまにエッチな歌詞があったけど全く気づかずになんとなく真似して歌っていた。
クラスの中でなぜかエッチなことにやたらと詳しい山本さんという女の子がいて、休み時間に山本さんに女子トイレに連れて行かれて1番奥の洋式の個室の中でなぜかエッチなことを沢山教えてくれた。
「あの歌、ほんとはエッチな意味だったんだ!」と気づいたくらいからとても恐ろしくなり、山本さんやお父さんやお母さんやORANGE RANGEや世の中のありとあらゆる人たちに騙されていたような気もちになった。
なんならそんなにエッチではない歌詞も本当はエッチな意味なのではないかと無駄に深読みするようになった。歌を聴くといったんエッチな部分を探し出そうとしてしまい、何も知らずに「刺激たっぷりの穴にエスコートしてぇ」と歌っていたころの私には戻れなくなった。

2004年のこと、まだまだ思い出せそうだけど朝が来そうなので終わろう。
2004年の話ばかりしていたので2021年の今日の今の私の話もすると、生活リズムをととのえたいのと、肌荒れがあれなのと、映像の編集をしていて映り込んでしまったマイクのブームを消すやり方を教えてもらってできるようになったのと、差し入れで頂いた細長いシュークリームみたいなやつがめちゃくちゃにおいしかった。2本食べた。
顔がびっくりするほど丸みを帯びていたのでこりゃいよいよ大台か?と久しぶりに体重計に乗ったら、健康診断を受けた時より4キロくらい痩せていた。
元々がわりと肉の蓄えが豊富なほうなので4キロですら誤差である。夏に向けて自然に痩せて冬に向けて自然に太るのは毎年のことだ。
それにしてもどうしたって相変わらず顔は丸い。満月のようだ。前世は満月のなのかもしれない。
そういえばこのあいだ、スーパームーンだったけど、見られなかったな。
東京にいたら何もかも見ることができそうだけど、見られないものもあるんだな。そりゃそうか。
月見れた?と地元の友達に連絡したけど、8時に寝たから見てない、と返事が来て力が抜けた。
寝るの早いな。
でもありがとう。
おやすみ。

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