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マリンバ運搬のために乗り始めた初代ルークスと涙の別れ、9年と7カ月の軌跡

どうも!

マリンバ・打楽器演奏したり教えたりで生活しています。吉岡えっぱです。

このたび10年近く連れ添った車とお別れしたら思った以上に寂しくなったので、供養もかねて思い出を書き連ねていこうと思います。

あ、いくらで売れたのか気になる方は2021年までスキップしてくださいね。

2011年

大学卒業、私は駆け出しフリーランスになった。

同じくマリンバを演奏する友人から「5オクターブマリンバ積める軽自動車発見したったw」との情報を得て、日産ルークスの存在を知る。

「5オクターブのマリンバ」というのは、馬鹿でかい木琴のこと。

低いドレミファソラシドから高いドレミファソラシドまで、5つのドレミファソラシドを出すことができる。(伝わるのか?)

でかい。

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鍵盤は丸めて、あとは折りたたんだり分解して車に積む。
分解しても嵩張る。

自力でマリンバ運べるかどうか、というのは仕事の幅が決まってくる重要なポイント。

ピアノよりも大きいくせに、基本的に持ち込み楽器なのである。

マリンバ・打楽器奏者は理不尽な事柄に対して強い免疫を獲得している。(独自調べ)

とにかくイイ音の楽器なので本記事でマリンバの存在を初めて知った方は是非とも音を聴いてみてほしい。→https://youtu.be/MRt_i6-o-Gw


時代は軽スーパーハイトワゴンが出回り始めた頃。

ちょうどいいタイミングだったので、我が家もルークスに買い替え。
カラーは母の好みでピンクに。
母所有の車を私が時々運転する形だった。

「ルークス」という車のネーミングも、ルーク・スカイウォーカーっぽくて好きだった。

全長166㎝の吉岡、軽自動車は天井が低くて窮屈だと思っていた。
ROOXはそんな今までのイメージを覆す、すばらしい乗り心地だった。
(ただし車高が高い分、加速はイマイチに感じる)

高校の終わりに免許を取ったもののペーパードライバーになりつつあった私。
いつのまにか運転好きになっていたのはこの広さのお陰かもしれない。

ちなみにルークスで初めてマリンバを運んだのは、田舎の温泉でのイベント演奏だった。

雪が降りそうな12月の暮れ。
温泉で温まったはずの身体をガタガタ震わせながら駐車場から会場まで手作業で搬入した。(浴衣で搬入した)

以降、アルファベットの方がカッコいいのでROOXと表記する。

2012年

楽器持ち出しの仕事が徐々に増え、5オクターブマリンバの積み方が安定してきた。

高校生のころは吹奏楽部で器材係、積み込み隊長をやっていた。
このころの経験が大いに役に立っている。

巻きずしのようになっているのは鍵盤、奥に共鳴管(マリンバの写真の鍵盤下についている部分)を積んでいる。

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積み方は積む楽器の量だったり車それぞれだったりするので、人それぞれ違う。
よって、持ち主しか積み方を把握しておらず、持ち主不在だと積み込みが進まないことが多い。

ちなみにマリンバを純正ケースに入れると逆に嵩張り、軽自動車に積みきれなくなってしまうので、毛布を使っている。夏は暑苦しい。

教習車よりも車の鼻(ボンネット)が短く、運転時の視界も広かったため、めちゃくちゃ運転しやすく感じた。

もう普通車には戻れないだろうと確信していた。

2013年

お出かけ帰りの弟から、自転車の鍵が開かないとSOS。
そのまま駅の駐輪場においておくと毎日¥200かかってしまう。

ということで、動かせない自転車を車に載せて回収。
自転車も詰める車、最高だ。

この年にはROOXを勧めてくれた友人と共演。

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ROOXツーショット!!

初代ROOXのカラーリング、穏やかで好きだ。
(2020年発売の新型ROOXは濃いめのカラーなのよね…)

壊滅的に歌苦手人間だったので、車の中でひたすら歌う練習した。
実家では恥ずかしくて練習できなかった。
(結果的に、部活動指導員になってから大いに役に立っている)

このあたりから「吉岡号」「えっぱ号」と呼ばれるようになる。


2014年

複数人で演奏する打楽器アンサンブルの演奏仕事が増え、一気にマリンバを運ぶことが多くなった年。

仲間と楽器をのせて走ることが増えてきた。

早めに到着したり時間が余った時は車内で練習。

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時には必死で練習する姿が仲間に激写されたり。
(打楽器アンサンブルの名曲、マリンバ・スピリチュアルを車内でトコトコやってる様子)

隣の市に運転して行くだけでもドキドキだったのが、上手い具合にだんだん離れた場所での仕事をいただく。

行動範囲が広がり始め、このあたりから高速道路も首都高も大都会もバキバキ走り始める。有難い。

六本木で楽器持ち込みのリハーサルやったときは数時間で駐車料金が¥8000になっててひっくり返った。(千円札のみの精算機で大変だった)

この頃は頭にマレット刺さってました。

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2015年

弟が一人暮らしを始める京都へ、家具を運ぶミッションを引き受けた。

埼玉を出発、関越道で長野へ。
長野で友人から洗濯機を譲り受け、そのまま友人と一緒に北陸道へ。

京都のアパート3階へ階段で洗濯機を運び入れた。
(ティンパニに比べたら大したことはない)

帰る途中、清水寺へ続く坂道に迷い込み半泣きになったものの、琵琶湖のほとりで一泊。

友人を飯田に送り届けて、埼玉へ帰還。
こうして洗濯機ミッションは幕を下ろした。

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この年は福島にもドライブして大学の仲間たちとヒャッホー。

毎週のように楽器を運び、時には外でも演奏した。

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遊びに行くのはいいのだが、いつも仕事帰りの車は反省会である。
この年、演奏面では最大のスランプに陥った。

本番で思うように演奏出来ず、悔しくて何度も泣きながら帰った。

そんな日々が続いたこの年末、プロポーズをいただく。

もちろん、私は運転席。

嬉し泣きして帰った。

スランプもいつの間にか脱していた。

ありがとうROOX。君が私の人生を変えてくれた。

2016年

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リサイタル後は楽器と事務用品と衣装と差し入れを積み下ろして、いつも力尽きていた。

演奏会は基本楽器持ち込みで車、実は打ち上げでお酒を飲んだことは少ない。(お酒は好き)

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一人暮らしだった祖母が介護施設に入居することになり、家具の運び出しを。

そんでもって自分も引っ越し。
実家から片道1時間ほどの新居だったので、ROOXに家具と楽器積んで数往復、自力で引っ越しが完了した。

若いって凄い。
何より引っ越しもできるROOX、ほんとに凄い。ありがとう。

この年、ROOX所有者の名義を親から自分に変更。
責任感と同時に、誇らしい気持ちになった。

この年もマリンバや打楽器をたくさん積んで、色々な場所へ演奏しに行った。

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(この程度の楽器量なら積み込み楽勝!)

2017年

この年もマリンバや打楽器を積んで西へ東へ。

助手席を倒せば4.3オクターブのマリンバと4オクターブビブラフォンも積めた。
トラックのように後方が見えなくなるまで積むことはザラだった。

演奏会でたくさんの素敵な花束をいただいて車の中が花屋みたいになったり、カラムーチョぶちまけてお菓子屋さんみたいになったり。

食事も車の中でとることが多かった。

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観光で群馬の赤城山公園へ。

いろは坂ほどではないけど、なかなかのカーブと傾斜。

楽器を積んでない状態のドライブ、最高に快適で楽しかった。

2018年

楽器持って何度も富山へ行った年でした。富山、いいところ。

この年から部活動指導員になり、吹奏楽部に携わる時間が多くなった。
打楽器と家具家電以外も積むようになった。

なかでもチューバ3台乗せて走ったのが印象的だった。

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2019年

楽器を積んでどこまでも。

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このあたりから点検のたびに交換部品が増え、維持費が高くつくように。

日々走り続けて8年、走行距離は8万キロを超え、すでに軽自動車の寿命を超えていたらしい。

なんたって普通の使い方してないからな。

そんなROOXに鞭打って、この年もレッスンや演奏仕事で走りまくった。

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古墳と埴輪にも目覚めた。

2020年

コロナ禍到来。

2月時点では普通に仕事していて大したことないか?と思っていたら、3月、4月、5月…とスケジュールがきれいに吹き飛んで手帳がまっさらになった。

1年かけて準備を進めてきたリサイタルも中止せざるを得なくなった。

演奏をやめようかと思った。
ROOXを、そもそも車を手放して、山奥で自給自足の修行のような生活を送ろうか悩んだ。

7月ごろから徐々に仕事再開、やっぱり車は必要になった。
最大限の対策をしながら、演奏活動を再開していった。

9月、半年ぶりに子どもたちの前で演奏した日のことは一生忘れない。

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半年ぶりの演奏仕事はマリンバじゃなくてドラムだった。(変な緊張した)

あと、中止になっていたリサイタルを意地で開催した。
(リサイタルvol. 3.75大反省会→https://yoshiokaeppa.com/blog/2020/10/06/recital2-75after/)

2021年

仕事は戻ってきているものの、例年よりは少ない状態。

お客さんの目の前でマリンバを演奏して、直に響きを楽しんでもらえる機会はほぼなくなった。寂しい。

次の車検までに買い替えることに決め、新古車を探し始める。
もちろん、楽器運搬を考えて次も狙いはROOX。

7月、条件の良いデイズルークスを発見、即見に行って即決した。
(やり始めると早いタイプ)

日産ROOXは
初代ルークス(2009)→デイズルークス(2014)→新型ルークス(2020)
と後継車が続いている。

ちょうど新型ルークスが出たばかりで、型落ちのデイズルークスは安くなっていたらしい。


今まで乗ってきたROOXが10万ぐらいで売れたら、実家の母に十二単体験と記念撮影のプランをプレゼントしようと考えていた。(母は歴女)

結果、10年近く乗り潰したROOXは買取価格0円で引き取られることになった。
(走行距離はほぼ9万キロ、車内も楽器積み込みでボロボロ、車外も傷だらけだった)

暑い日差しの中、感謝を込めて洗車した。
隅々まで拭き上げた。

業者が引き取りに来た時、名残惜しくて、別れが寂しくて、道の向こうに見えなくなるまで動画を撮り続けた。
(動画を載せようと思ったが、自宅がばれるので載せられない。悔しい。)

ROOXが引き取られていった15時、祝杯を挙げた。
よく覚えてないけど、深夜まで一人で飲み続けた。

新しい相棒は、シルバーのデイズルークス。
(オレンジと黄色以外なら何でもよかった)

このシルバー、色味が良くてとても気に入っている。

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新しい相棒、よろしくな!!!
(アラウンドビューが予想以上に使い勝手良くて感動している)

家族写真は1枚も飾っていない父が、部屋に昭和っぽい車と若い自分のツーショット写真を飾っている理由が、なんとなく分かった気がしました。


長々と、うだうだと書きました!
最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました!
(いるのか?)

それでは、また!

いただいたサポートで少しイイご飯になったり心に余裕が生まれます…お礼に記事モリモリ書きます♪お待ちしております!