起業して5年目の日。瀬戸内で新しく宿をはじめることを伝えるということ。

11月11日

とある山の温泉施設様にアドバイス支援を行うために車を走らせていた。

先月から始まった高知県にある18の宿泊施設様に対してのアドバイザー業務day1も、いよいよ最後日を迎える。

毎週のように柏島や足摺岬を往復する日々。移動するだけならまだしも、iPhoneに表示される赤丸が消える日はいつ来るのだろうかと思いながら、電話やメッセージに返事をする慌ただしさも兼ね合わている時間。最近は気づけば移動中に買ったご飯は食べずにそのままなんて日も増えてきた。

それでも移動中にふと目に入ってくる景色のひとつひとつは、動くことを好む星の下に生まれた自分にとっては、この仕事を“私事”にしてよかったといつも思わせてくれる瞬間でもある。

今日で起業してから5年という月日が経った。

最初に始めたTOMARIGI HOSTELは、形を変えながらも今も変わらぬ場所に根付いている。その後、2店舗目の“緝”、“黒潮の家”の運営委託、“せいらんの里”など多くの宿泊施設様にコンサルをさせていただく機会も増え、“とまり木”も法人となった。個人としての肩書きも年々増え、1日で異なる5枚の名刺を別々の人に使うなんて日もある。

そんな今の自分を5年前に想像できていたのかと言われると、半分くらいというのが本音である。そもそも自分にとっての“起業”は「好きなことを好きな人たちとやる」という側面が大きく、それ以上でもそれ以下でもなかったから、実はあまり先のことは考えていなかった。

唯一考えていたことは、事業構造を考えた時に、宿泊施設の運営以外にもチャレンジしていくということ。とはいえ、宿泊施設様への支援だけでなく新規事業開発や起業支援、50本以上モデレーターを務めるなど、そのスピードや規模感ははるかに自分の想像を超えていた。ちなみに、これは起業3年目に起こった新型コロナウイルスという本来であればネガティブになる要素が、結果的にポジティブになったことでもある。

つまり、結局のところ今見えている世界は5年前には絶対見えることのできない世界で、想像できるものではないし、継続して積み重ねることでしかたどり着くことができない世界ということが今ならはっきりと分かるし、心底やり切ってきてよかったなと思う。

とはいえ、手抜きせずに走っていく中で、新型コロナウイルスの影響を受けて月の売上が95%減になったり、人生で初めて身体がいうことをきかなくなったり、自分をコントロールすることができずにプライベートでたくさん迷惑をかけたりと、苦しんだ時期も結構あった。

だけど、それでも続けてこれたのは、自分自身で生き方を決めることができ、好きなことを好きな人と一緒に仕事として進めていけるということに他ならないからだと思う。言い方を変えると、好きな人と好きな仕事が一緒にできるなら究極起業なんてしなくてもよいし、その場から離れる理由もないと思う。

同時に、この5年で個人の“想い”は少しずつ事業に昇華され始めてきていて、このままでは正直なところ抱えきれなくなるかもしれないと思う機会が増えてきた。なんなら今もギリギリのところで生きている感覚すらある。

そのタイミングで決めたこと。それが、今回の“瀬戸内で宿をはじめる”ということだった。

このプロジェクトを皮切りに、これからの5年で事業の軸を固めていきながら、社会への“想い”にまで昇華させていく5年間にしたいと考えている。

今回の瀬戸内での宿は、“海”と“日”をコンセプトの中心に据える予定で、この場所に出会うまでの過程については、これから少しずつ記していきたいと思う。

今回も今までお世話になってきたパートナーはもちろん、新たなパートナーも加えて、最高のメンバーと共にプロジェクトを進めていく予定なので、今後の展開をお楽しみに。

let's take a breather!

Shino

Photo by Kazuki Kodama

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