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「平和のために必要な哲学的思考」〜大人と子どもの思考力を鍛える「道徳的ジレンマ」事例集【267】

 哲学は専攻ではありませんが、マイケル・サンデルの白熱教室についての書籍や、苫野一徳さんの著書やコラムを読む中で「哲学的思考」の重要性に気づくことができました。また、そういった思考を多くの人が持つことは、不安な社会を生きていくために必要なスキルだということも分かりました。そして、今の「比較的平和とされる世界」を維持し、さらに「より平和な世界」を実現するためには哲学的思考が欠かせないと多くの方が述べています。

授業で取り入れている「道徳的ジレンマ」

 私の学習サポートでは、生徒たちが自分の考えを持ち、他者とうまく折り合いをつけながら、なるべく多くの人が納得できる形で「合意形成(コンセンサス)」までたどりつく力を大切にしたいと思っています。

 物事を白黒はっきりさせて、良いか悪いかだけを判断するのでは不十分です。そういった考え方は、むしろ後に大きな対立を生んでしまうかもしれません。物事をいろんな角度から見て、考えるためのトレーニングが不可欠です。そのために、中学生の日本語サポートでは「哲学的なアプローチ」を授業に取り入れています。

 以下に、私がこれまで参考にしてきた哲学的思考力を身につけるトレーニングとなる「道徳的ジレンマ」に関する情報をシェアしています。哲学の専攻であれば、過去の偉人たちの論点を学ぶレベルまで達すると思いますが、まずはいろんな課題を見て考えたり話し合う楽しさを味わってもらう実践をしています。大切なのは、大人が答えを提示するとか、大人が何かの方向性を無理に示す必要はなく、みんながそれぞれに感じたことを話し合ってもらうことです。そういった、オープンで対等な対話の重要性をオランダに暮らしていると強く感じます。

○子どもと一緒に考えたい話「マイケル・サンデルとモラルジレンマ」

 ここでは「ハインツのジレンマ」「トロッコ問題」「オラメスから歩み寄る人々」「ベビーM控訴」「引っ越しの手伝い」などについての紹介があります。ぜひ一度ご覧になって、ご自身の考えを確かめてみてください。

○便乗値上げ禁止法

 こちらのテーマは、私もマイケル・サンデルの著書で読んだことがありました。2004年にフロリダ州を襲ったハリケーンの被害地域において、便乗値上げが横行し、それに対する批判や肯定などいろんな意見が出されました。こちらも「便乗値上げが良くないから禁止」などのような単純な話ではありません。どの立場で物事をどう見るか、考えることの難しさと奥深さを実感します。

○道徳の実践

こちらは授業用でより広範なテーマを見ることができます。

 以上が、哲学的思考を生徒たちと共有するために利用している事例です。
既にいろんなところで実践されている方や哲学専攻の方からすると、まだまだアプローチとしては浅いところもあると思いますが、私も学びつついろんな実践を試していきます。

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