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 日本語教室で日本語の学習サポートを始めてから約1年が経ちます。海外で日本語を教えていると、改めて漢字学習の難しさを痛感させられます。日常でほとんど目にすることがない漢字をどのように学習したら良いのか、色々と考えていました。

 小学生で習う漢字は1026文字あります。以前、私が読んだバイリンガル教育の本によれば、海外で日本語教育を受ける場合、日本語の学習言語としての力4年生レベルで止まることが多いそうです。もちろん個人差はありますが、それほど海外での日本語学習は難しいということを表しているとだと思います。

 プレクラスの子どもたちの授業をしている時に、ひらがなを教えてやっと一息、と思いきや、拗音や長音、そして濁音・半濁音などいろんな種類の表現に慣れるまでに時間がかかります。
 さらにはカタカナと漢字が待ち受けており、子どもたちからすると「まだあるの、多いなぁ」と思っていることでしょう。確かにその通りだと思いつつ、「慌てなくても大丈夫だから、少しずつ慣れていこうね」という声かけぐらいしかできません。

漢字の学習方法について

 私が小学生の頃、日本の小学校では漢字は漢字ドリルで書く練習をしたり、教科書に出てきたものをノートに写していた記憶があります。成り立ちについては詳しく教わっていませんでした。
 しかし、日本の小学校に通っていると先生の板書や他の科目などで習った漢字を目にすることができ、日常でも漢字に触れる機会がたくさんあるので、ドリルのような反復学習でも身につくのかもしれません。

 しかし、海外に暮らす子どもたちは日本語に触れる時間が限られているため、日本と同じような方法で習得を目指すのは難しいと感じています。
 また、週に1度の授業では、いくら物語などの文章を読んだり、友達と文章を書いて読みあったりするなどの活動をしたとしても、「ひらがなと簡単な漢字で精一杯」という印象です。
 海外で日本語を維持するためには家庭学習が最も大切なのですが、せめて日本語教室でもカタカナや漢字に対して苦手意識を持たせないように授業を展開したいと考えています。

漢字の学習方法について学習してみた

 海外での漢字学習をどのように進めていけば良いのかを調べてみることにしました。小学校での漢字学習に関する授業案を見たり、漢字の面白さについて言及している書籍を何冊も読む中で気づいたことがありました。
 それは、漢字というのは、これまでの歴史や人の考えなどが含まれる「とても味わい深いもの」だということです。漢字の成り立ちについて調べてみると、古代中国の人々がその言葉をどのように捉えていたのかを推測することができます。
 それはとても興味深いもので、子どもたちの授業のために準備していたのが、つい自分の興味としていろいろ調べてしまうほどです。

 しかし、成り立ちには諸説あります。そのため、授業では「こういう風に考えられていたと言われているんだけど、他の考え方もあるんだよ」と伝えた上で、「成り立ちについて考えてみると漢字学習は面白い!」と感じてもらうことを優先して取り組んでいます。

今年から取り組んでいること

 小学生の授業では、以前漢字学習についてまとめた上の記事のような取り組みに加えて、漢字の成り立ちについてじっくりとみんなで考える時間も設けています。
 この活動は、子どもたちにとっては楽しいようです。古代の中国で用いられていた甲骨文字などの古代文字なども一緒に並べてみて、漢字の意味について一生懸命考えてもらいます。
 子どもたちが楽しんでくれているおかげで、「読み」の方にはそれなりに効果がありそうです。

今後の課題

 現在は、低学年の漢字を中心に教材作りをしています。授業では、これからも漢字の成り立ちを活かして漢字学習を進めていこうと考えています。
 低学年で学習した「漢字が表す意味」を組み合わせて、難しい漢字も理解できるのではないかと思っています。しかし、まだ小学校高学年向けの漢字学習の授業をこれから作っていくところなので、本当に活かせるかどうかがはっきりとしていません。
 これから、低学年での下積みがきちんとそれ以降の学年で発揮できるのかどうかを確認していきたいと思います。

 以上、海外に暮らす子どもの漢字の学習方法について、最近感じたことをまとめてみました。まだ、発展途上なのでこれからたくさん実践していきたいと思います。

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