見出し画像

子どもへの「過干渉」を見直そう〜約3年ぶりの日本一時帰国【256】

 日本に一時帰国をして感じたことを記録しています。今回は、保護者の子どもとの関わり方について気になったことを書きました。過干渉については、我が家でも重大な課題であり、常にそうならないように心がけないとついついあれやこれやと口出ししてしまいそうになります。

 年末年始に娘と一緒に公園に遊びに行ったところ、親子もしくはお友達同士で楽しそうにのびのびと遊んでいる姿が見られました。お休みになってから、子どもたちが家族と楽しそうに過ごしている、そんな素敵な光景がオランダに戻った今でも思い出されます。

 以前、就活に悩む学生の話を聞いた時に、「自分で決断する機会が日本の子どもには不足しているのではないか」ということを書きました。その時話をした学生は20歳を超えていますが、幼少期からの積み重ねが明らかに影響しているのではないかと感じたのです。
 そこで今回、幼少期に遡り子どもが自分考え行動できているかどうかについて、私が日本で観察した保護者と子どもの関わりから考えたいと思います。

子どもは「自分で決めるトレーニング」をしているか

 大人になってから自分で考えて決められるかどうかは、「自分で決めなければならない選択」を小さい頃からどれだけ積み重ねているかが重要です。赤ちゃんの頃から始まる「どのおもちゃで遊ぶ?」「どの服が着たい?」というような小さな選択からスタートし、その積み重ねによって子どもたちが自ら考え選択し、その結果を自分で受け止めて再考するというトレーニングをしていきます。

 保護者の立場としては、子ども自身が如何に自分で考え、周りの情報を整理しながら自ら最終的に判断ができる力をつけられるように、たくさん練習する機会を与えなければならないのです。

 日本で滞在している時に、いろんな場面で保護者と子どもの関わり方を観察していました。私が見た限りでは、子どもたちに共感の言葉をかけたり、子どもが自分で選べるように声かけをしている保護者の方もたくさん見受けられました。しかし、それとは異なったケースで私がとても気になったものもありました。それは一体どのようなケースだったのか、以下にまとめていきたいと思います。

幼少期の子に過剰な介入をする保護者

 日本に一時帰国して改めて感じたこととして、オランダに比べて日本では、あれこれと細かい指示がかなり多い保護者が一定数いるということです。おそらく、周囲の人に迷惑をかけてはいけないという「見えないプレッシャー」みたいなものや、保護者自身の「精神的な余裕」がないことから、日本では子どもをのびのびと育てられていない環境があるんだと思います。

トイレの仕方に細かく指示を与える保護者

 とあるショッピングモールで、子ども用のトイレがありました。日本に帰ると、こういったトイレが無料だったり、トイレ自体のクオリティに驚かされます。私は、娘がトイレに行きたいと言ったので、子ども用トイレの外で顔が見える位置ぐらいで待っていました。すると、そこに男の子を連れた母親が子ども用トイレに入ってきました。

 トイレに行こうとする男の子に対してその母親は、
「はい、おしっこするところまで行って。もうちょっと前に立って。はい、ズボン下ろして。ちゃんとおしっこのところ見て。終わったらちゃんと流して。最後手を洗って。」とずっと指示を与えていたのです。
 これだけたくさんの指示を与えると、子どもが自分で考えて行動することが、トイレの段階でも奪われてしまいます。そういった日頃の小さな子どもの動きに介入している状態で、果たして勉強や社会性が求められる場面で、過剰に介入せず見守る姿勢でいられるのでしょうか。

常に強い口調で子どもに話す保護者

 とある本屋さんで、私は娘と子ども用の本のエリアで本を眺めていた時のことです。ある子どもが本を手に取った瞬間に、「そんな高い本は買えませんよ!」「今日は本をゆっくり見る時間はありません!」と、子どもが何かしようと動くとともに強い口調で話す保護者がいました。

 私はオランダに暮らしていて、そんな強い口調で子どもに話しかける親はほとんど見かけなかったので、なぜそんな強い口調で言っているのか疑問に思いました。娘自身も「なんであのお母さんは怒ってるの?変な大人の人がいたね。」と言っていました。私はその時「あのお母さんは多分今何か不安なこととか、急がないといけないことがあって、気持ちが落ち着いてないんやと思うよ。お父さんもそういう時あるから、反省せなあかんね。」と答えました。

子どもに対等で冷静な態度の保護者が多いオランダ

 私は娘のその言葉にいろんな意味が込められていると思いました。オランダでは、感情的になった状態で人に当たったり、強い口調で相手を脅すようなことはタブーとされており、子どものそういう行いに対して大人は介入します。
 大人が本気で怒ったりするのは、本当に危ないことをした時などです。そういうオランダに暮らす保護者の子どもとの関わりを間近で頻繁に見ながら、私は自然にそういう考えや行動ができるようになったんだと思います。

 きっとオランダでは、そういった意識基盤のようなものがあるので、大人は子どもにはなるべく冷静に話そうとしますし、そもそも子どもが興奮していたら「まず落ち着きなさい」と言って落ち着かせるところから始めます。そのため、大人が自分の感情のままに子どもにキツく話しているのは、娘にとっては珍しい光景だったんだと思います。

 子どもには子どもの見え方があり、子どもの時間が流れています。「これは何だろう」と思っている時に、母親からきつい口調で言われてしまうとどんな気持ちになるでしょうか。考える機会が奪われると共に、余計な緊張感が生まれてしまいます。

 もちろん日本でも、きちんと共感を示して子どもの自主性を尊重している保護者の方もたくさんおられます。これは少数の事例なはずです。
 しかし、ここから考えられることとして、おそらくその保護者も心の余裕が持てず、子どもについそう言った声かけをしてしまうのだと思います。本が買えない、今日は時間がない、という事実はあって良くて、それを子どもに理解させないといけない時はあると思います。しかし、「子どもへの共感なしに、強い口調で自分の感情だけぶつけても良いことは一つもない」という判断ができないほどストレスや不安などが強い状態なのかもしれません。

事例から全体を考えてみる

 国際調査などを調べてみると、日本は「子育てしにくい」と感じている人の割合が高いようです。それはおそらく、子どもを育てる大人に「精神的な余裕を感じられない」ところと、「子どもたちを温かく見守る大人の目線」が大きく影響しているのではないでしょうか。
 私がかつて日本に住んでいた時は、子どもの医療費補助などは充実しており、支援というよりも子どもとの時間を持てないことが何よりの悩みでした。家庭によって子育てで抱える悩みは色々あると思いますが、データや意識調査などの結果も踏まえて「子育てがしにくい」背景として見えない何かを変えていくことは本当に難しいことだと思います。

 これは約1年前の記事ですが、子育てに関するいろんな情報がまとめられていました。経済的な負担を感じている世帯も多いため、データから読み取れることも踏まえていろんな視点で考えていく必要がありそうです。

 こちらは約2年前の記事になります。こちらも国際意識調査や制度面での課題などについて分析が進められています。私は「子供を育てることに社会全体がやさしく理解があるから」と回答している人の減少が気になりました。

 以上が、日本で保護者と子どもの関わりを見て感じたことです。財政的な側面としては、無限に子育て環境を整備するためのお金を捻出するのは難しいですが、そういったサポートを今後進めていくと共に、頼れる大人が増えて社会全体が子どもを育てるという社会全体の理解がより進んでいけば良いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?