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IBDP日本語Aのエッセイが上達するには?【385】

 今回はIBDPの日本語Aのチューターをしていて感じる、エッセイの力を伸ばすためにどのようなことをすれば良いのかを考えてみたいと思います。DPの学習がスタートして約半年経過した時点で、日本語のエッセイがかなり上達したと感じられる生徒が何人か出てきました。これまで担当した生徒たちも含めて、彼らの共通点を考えまとめていきたいと思います。

 私が担当している生徒はいろんなカリキュラムで学んでおり、日本の公立高校に通っている生徒から、IBのカリキュラム(オランダ・インド)やその他のカリキュラムで学んでいます。学習に関しては万能薬のような「誰もが必ず上達する方法!」というものはありませんが、課題の取り組み方や学習の姿勢などにはいくつかの共通点があると感じています。その辺りを今日はまとめていきたいと思います。

エッセイの力を伸ばす準備段階

評価の規準を理解できている

 日本語エッセイを書く時に、海外での生活が長い生徒の場合は、書くことにあまり慣れていないこともあります。エッセイを書くために、書ける漢字を増やすほうが良いのか、たくさん本を読むのかなど、迷われることがあると思います。結論としては、「エッセイを書きながら評価規準に合わせて進める」ということです。つまり、最終試験のために実践をしながら、足りない部分を補うことになります。

 そのためには、まず評価規準についてきちんと理解する必要があります。評価規準に目を通し、その試験で何を問われているのかが分かっていれば、自身のエッセイを見直したり、添削してもらった時の改善点が明確になります。

 以上のことから、私が授業で初めに、評価規準(学習の目標)についての共通理解を必ずもつようにしています。具体的には、公開されている評価規準の記述を読み、生徒がどのように解釈しているのかを話してもらったり、生徒同士や私も含めて一緒に議論することで評価規準への理解を深めるようにしています。

自分の実力を確認する

 本格的なエッセイを書く前に、簡単なテーマで自分の考えを適切に表現できているかを確認します。例えば、「1日何でも自由にできる日があったらどんなことをしてみたいですか」「学校で何か1つを変えるとすればどんなことを変えたいですか」「DPの勉強がスタートする生徒にどんなアドバイスをしますか」など、身近な書きやすいテーマでどれぐらい表現ができるのかに取り組みます。

 するとテーマ自体が簡単であるため、自分が設定した論点についてどれぐらい明確に論述できているのかを確認しやすくなります。エッセイの初期段階では、誤字脱字よりも自分が伝えたいことがきちんと伝えられているかを確認した方が良いと思います。
 誤字脱字や漢字が不十分であるという指摘をする先生の授業を見たことがありますが、私の考えでは本人の考えに筋が通っているかどうかを見てあげる方がネガティブな指摘よりもポジティブな指摘になるので、生徒も自分の考えや改善点を言葉にしやすいように思います。また、「自分のエッセイに期待をかけられている。もっと良い文章が書けるようになりたい。」という気持ちを生徒が持てるようになり、誤字脱字や筋の通っていない文章を自ら改善しようという意欲が湧いてきて、自主的に実践しようとします。

上達するための心がけ

他人の意見や添削でのコメントは参考程度に

 エッセイの添削では、客観的な視点であることが理想的ですが、時に先生の視点や観点も生徒に押し付けるようなものもあるようです。もちろん、生徒の論点が不十分であることもありますが、あくまで自分でそれに気づけるようにサポートしてあげることが理想的だと考えています。

 本番の試験の内容は誰も予想することはできないので、自分の力で「分析→論点を決める→根拠を明示して論理的に書く」ことができるようにしておかなければいけません。「自分でできるように(自立)」というのが私が大切にしていることです。

自分のエッセイを客観的に見る

 「自分でできる」というのは、授業以外の時間でも効果を発揮します。自立して学べる生徒は、自分が書いた文章をそのまま先生に提出して終わるのではなく、自分で見直したり校正するところまで行います。私の経験上、書きっぱなしで見直しを怠っている生徒のエッセイは基本的に良くなっていきません。
 もちろん1回目に書いたものを評価しなければいけない場合はそちらを提出してもらいますが、日頃から自分で客観的に自分の文章を見られるようにすることで、文章を書く時の意識が変わると思います。

 まだ見直しをする習慣を持てていない場合は、以下のように確認するように伝えています。

・伝えたかったことは何か
・伝えたかったことが伝わる文章になっているか
・根拠はきちんと本文を参照して書けているか

自分で添削ができる(フィードバック)

 先ほど書いたことと似ていますが、生徒が自分で書いた文章を見直す習慣ができると書く文章のレベルは格段に上がっていきます。また、他の生徒が書いた文章などにも目を通してもらい、お互いにフィードバックすることで磨きがかかっていきます。
 このように最終的に自分で管理できるようになれば、エッセイに限らず学習全体も自分で管理できるようになっていきます。

すべては「自立した学習者」を生み出すために

 自分で学習を客観的に捉え、自分で管理する方法を理解して実践できる生徒は、授業の時間以外でも自分の能力を高める努力をすることができるので、エッセイに限らず学力の伸びを顕著です。そのため、エッセイ以外の科目においても「自分の成長のために学ぶ」という姿勢を大切にしています。
 そのため、私が授業で生徒たちに「今学習していることの目的は何か」「今の勉強方法は自分に合っているか」「今の課題を良い方向に持っていくにはどのようなことをすれば良いか」などの問いかけをしています。また、長期にわたる学習では良くも悪くも慣れてきてしまって、学習の質が落ちてしまう危険性がありますが、定期的に生徒のスキルがどれぐらい成長したのかをお互いに言葉にして確認するようにしています。このような取り組みは生徒にとって学ぶ意欲を維持することに役立ち、授業を自分を成長させるために利用するようになるので、生徒自身の学ぶ姿勢はより積極的になっていきます。

 公立高校から離れ、今は自身の教室やオンラインでいろんなカリキュラムで学ぶ子どもたちに関わってきて自分が感じた「自立した学習者」を育てるというコンセプトは間違っていなかったという確信に近づいています。私自身にもまだまだ未熟で至らないところもたくさんありますが、これからも生徒たちと一緒に、自分自身も「教え方を学ぶ学習者」として成長していけるように「研究・実践・フィードバックのループ」を続けていきたいと思います。

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