【後編】推し香水で推しの実在性を高めた話
こんにちは、吉野あせびです。
前編では推し香水が具体的にどのような香りだったかレビューしてきましたが、後編では実際に推し香水を使用して楽しんでみたいと思います。
前編で私は推しには実在性が足りないと述べました。それもそのはず、推しはフィクションの存在ですから現実にいるはずがありません。しかし、推しの香りを手に入れたということは推しの解像度を引き上げ、ひいては推しを現実に実在させることができるのではないでしょうか?
つまり、推しの姿は見えませんが、推しがいたという状況証拠を積み重ねることで推しを現実に実在させる逆説的アプローチです。日常で推しを感じるシーンが複数あれば、推しが“いる”ということになりますよね。
とは言え、オタク一人の想像力には限界があるというもの。事前にTwitterで楽しみ方を募集したところ、素敵な提案をしていただいたのでそれを含めて、推しを実在させていきたいと思います。
1.推しがいた部屋
皆さんは自宅に人を招いた後、その人の残り香を感じたことはあるでしょうか? いつもの自宅とは違う匂い、その人がさっきまでいた痕跡。駅まで送って帰宅した時に匂いがしたら、ちょっとしたノスタルジーですよね。
そこで私は閃きました。
「帰ってきたときに推しの匂いがしたら、推しが部屋に来てた」ことになるのでは? 帰宅時に推しの残り香がするということは、そこに推しが“いた”ということですよね。
早速、部屋で香水をワンプッシュしてから出かけることにします。私の部屋は匂いが篭りやすくどうにかならないかと思っていたのですが今回ばかりは好都合。ラッキーですね。
とはいえ匂いが消えてしまうと困るので、普段は換気のために開けている窓もしっかり閉めていくことにしました。これで準備は万端。帰宅すれば推し(の匂い)が待っていると思うと、今日は寄り道もせず真っ直ぐ帰れそうです。
仕事も終えウキウキで帰ってきた私ですが、扉を開けて愕然としました。推しの匂いがしません。一体どういうことなのでしょう。よくよく注意をして嗅いでみると微かに推しの匂いがするような気がしますが、あくまでするだけ。失敗でしょうか。
失意の下、机で作業していた私はふと、推しの匂いがすることに気がつきました。常にするわけではないのですが、断続的に推しの匂いが香ってきます。恐らく、ワンプッシュした時に香水がどこかに付着しそれが香っているのでしょう。
意図した結果とは違いますが、これはこれでアリ。むしろ、推しが定期的に来ているためにふとした拍子に推しの匂いがするようになったと考えればこっちの方が良いですね。
しかし、部屋から推しの匂いがするということはもしかしたら推しは現実に存在するのかもしれません。(すっとぼけ)
2.推しが洗濯してくれたハンカチ
ハンカチから推しの匂いがしたら、推しが洗濯してくれたハンカチになると思いませんか? 私は思いました。ということで、早速ハンカチに匂いをつけて外出したいと思います。
用意したのは普通の布ハンカチ。推しの匂いがするハンカチを持っていると思うとその存在を意識してしまいますね。しかも季節は初夏。汗を拭くふりをしてハンカチを取り出しても何ら不都合はありません。嗅ぎ放題です。
早速、汗を拭うふりをしてハンカチを取り出します。いつも雑に扱って、雑に洗濯しているハンカチから推しの匂いがするととても不思議な気持ちになりますね。まるで家に遊びにきた推しが洗濯してくれたような非日常感。日常の只中にあるというのに推しを感じられるなんて、これは活力が漲って非常におすすめです。
ところで推しが部屋に来てハンカチを洗濯してくれているなんて、何だか繋がってきましたね。推しが現実に存在してそうな気がしてきました。
余談ですが、Twitterでフォロワーさんが言っていた推しモチーフのハンカチを買って香水を吹きかけるのも面白そうですね。
3.推しが寝てた布団
人生の三分の一は睡眠時間だそうです。つまり布団から推しの匂いがすればここから先の人生、三分の一を推しの匂いに包まれて過ごせるということ。そして布団から推しの匂いがするということは、推しが“いる“と言ってもいいですよね。
しかし、布団に吹きかけるといってもどう吹きかければいいか分かりません。調べてみたところ、どうやら①枕、②掛け布団の裏、③掛け布団の表がおすすめだそう。一つ一つ試してみたいと思います。
①枕
枕に吹きかけ、寝転んでみます。仰向けになってみましたが、あまり推しの匂いはしません。しかし寝返りを打ってみると、ふわりと匂いが香りました。どうやら頭を動かしたり鼻が枕に近づくと感じるようです。
なかなかいいぞ、と思ったところでふと、視覚を遮ると他の五感が敏感になるという話を思い出しました。ということは目を閉じればより推しの匂いが感じられるのでは? 早速目を閉じ寝返りを打ってみます。
──推しが。推しがいる……
推しがいます。推しが。枕の右側に吹きかけたせいか、右に寝返りを打つと推しの匂いがして、まるで推しと添い寝している気分になります。呼吸をするたびに推しの匂いが胸いっぱいに広がってドキドキが止まりません。これは良くない。こんな匂いに包まれたら全く眠れなくなりそうです。
②掛け布団の裏
枕に続いて掛け布団の裏、ちょうど胸が来る位置に香水を吹きかけることにしました。今度もまずは仰向けになってみますが、あまり匂いはしません。しかし10分ほどすると、掛け布団の中からふわりと香るようになってきました。しかもこれはミドルノートに近い匂いです。どうやら布団内部の熱が香りに変化をもたらしたようです。
しかし、掛け布団の裏の威力はこれだけではありません。布団内部に熱がこもることによって、温かみのある匂いになっているのです。枕からの匂いにはあまり熱感がなく、推しがいると言ってもまだ距離を感じました。
ですが、掛け布団の裏に吹きかけると匂いに熱感が加わり、推しの距離をとても近く感じます。手を伸ばせば届くような、触れるか触れ合わないかギリギリのところにいるような、そんな錯覚さえありました。
③掛け布団の表
満を辞して、今度は掛け布団の上部、顔の近くにかけてみることにします。枕や裏側と違い鼻に近い部分にかけるわけですから個人的にかなり本命視していました。シュッと吹きかけて、布団を被ります。
…推しの匂い。推しの匂いが。辺りに充満してる…!
これは本当にやばいです。ここまで全て同じ日に試しているため、上を向いても下を向いても横を向いても、推しの匂いがします。推しに包まれているとはまさにこのこと。目を瞑ればより推しの匂いが感じられ、これだけ濃厚ならば目の前に推しがいるに違いありません。現実に推しはいました。私はこのまま推しの匂いに包まれて寝ようと思います。推しと添い寝ですね。最高!
朝起きてみると、推しの匂いは微かに残るばかりで、もちろん推しの姿はありません。きっと私が寝てる間にどこかへ行ってしまったのでしょう。どこか喪失感があります。ふと枕から推しの匂いが香って、推しが“いた“ことは再確認できたのですが、そうか、推しは私の元から去ってしまったんだなあ……。切ない。
4.最後に
ということで、推し香水をレポしてきました。本当に推しの解釈と一致した素晴らしい香りで、日常に推しを添えることができました。推しの実在性もグッと上昇して、危うく現実に戻れなくなるところでしたね。
皆さんも推し香水をゲットして、ぜひレポしてくれると嬉しいです。