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Ogni vita-303号室-



am1:28

カシュッっといい音を立てて開いた缶ビール、本日5本目。残業続きの週の終わりに頑張った自分へのご褒美にと買ったお酒は、徐々に火照る頬とは裏腹に残すところあと1本になった。きっと明日は二日酔いになるだろうってことだけは確信してるけど、明日は休みだからいいかななんて開き直ってみる。

「あーー、くそう、あのハゲぇ……。」

ハゲっていうのは上司で、毎度毎度難癖つけては残業させてくる嫌な奴。男尊女卑が抜けきらない"オジサン"だから半分諦めてるけど、今週は特に酷かった。だからこれはご褒美というよりやけ酒に近いのかもしれない。はぁ、たまには焼けじゃない美味しいお酒が飲みたい。

日課のようにSNSを開いたら、地元の友達が出産しました報告と共に写真をアップしてた。可愛い女の子。周りもどんどん結婚や出産とかが目立ってきて私もいい歳だしそろそろかなぁなんて思ってた矢先に彼氏が浮気してたのが発覚した。
「俺にはお前しかいない、気の迷いだった。もうしない。」なんて土下座されたけど荷物全部まとめて外にポイしてやった。彼の浮気はこれで3度目だった。思えば思うほど人生なかなか上手くいかない。おつまみも切れちゃったし。

「世知辛いなぁ、」

最後の缶に手を伸ばしてプルタブを開ける。少しぬるくなったビールを半分ほど空にして、膝を抱えた。

「あー、やだやだ。ご褒美だって言ってんでしょー。気分落ちてどうすんのよ…。」

口の中に広がる苦さが余計に気分を落としてくるからちょっとイライラしてきた。
SNSも見飽きたしもう寝ちゃおうかな、うん、そうしよう。

残った缶ビールは明日片付けるから許して欲しい。一人暮らしだから許可とるまでもないんだけど。

起きたらとびきり美味しいご飯食べに行ってやるんだから。