池田晶子「14歳からの哲学」
最近、池田晶子さんの本を読むことが多いです。本作を読んですっかりファンになりました。すでに鬼籍にはいられているようで、新作がでないのが残念ですが……。
タイトルの通り、本作の対象はすごく若い世代ですので、平易で読みやすい文体で書かれています。しかし、内容はすごく濃い。濃いがゆえに、ここで多くを書き記せません。よって、ひとつだけ、印象深かった部分を紹介します。
それは、「言葉」の章にあった、言葉の不思議さを説明した部分です。
本が手元にないので、下記文はあくまで私の記憶を頼りに書いたものですが……。
「『言葉』の存在の不思議について、現代人は理解できていないように思われる。たとえば、『犬』という言葉がある。きみは『犬』を知っているだろうか? うん。そう。知っているね。でも、なぜ『犬』は『犬』なのだろうか? きみは「そんなの、昔の人がそう呼ぶことに決めたからだよ」と言いたくなるだろうね。でも、それは、ほんとうだろうか? もし、それがほんとうだとすると、昔の人が『犬』と呼び始める前に『犬』は存在しなかったのだろうか? そんなことはないね。犬はずっと、ずっと昔から犬だ。昔の人が『犬』と呼ぶことを決める前から犬だ。『犬』という呼び方はなかっただろうけど、いまの私たちが『犬』と呼んでいるその存在、概念は、存在していたんだ。そして、私たちが『犬』と言葉を発すれば、皆、同じ概念の『犬』を思い浮かべることができるんだ。きみは、この不思議さがわかるだろうか?」……思い出しながら書いてみましたが、やはり、本物を読んでもらうのが一番でしょうね。がんばって書いたんですけどね。やっぱり池田晶子さんはすごいと思います。
本作を読んで、大げさでなく、わたしの人生観が変わりました。なんだか、この世が広くなったような狭くなったような不思議な感じです。この本はいい本だ! と自信をもっておすすめできる一冊に出会えました。
ぜひぜひ、ご一読を。
最後まで読んでくれてありがとー