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ほんとうのことが言えなくて

それは連休の初日、髪を切りに行ったときのこと。

いつも行ってるお店で自分の空いてる日に予約が取れず、近所の別の店を選んだ。迎えてくれたのは、母と同世代くらいの女性の理容師さん。とても話好きなようで、話題は尽きず、楽しくその時間を過ごすことができた。

でも、ほんとうのことが言えなかった。

「とってもいい髪ね。30代になったら白髪も増えてくる人が多いのよ。まだ若い今のうちから、このいい髪を大事にケアしなさいね。」
最初にそう言われたときが、タイミングだったのかもしれない。だけど、続けて頭皮マッサージのやり方を教えてもらいながら、若い、若い、と繰り返されているうちに、40代ですと伝える場面を失ってしまった。

夫婦関係をよくする秘訣や、子どもが元気に育つために必要な関りなども教わりながら、だんだん髪も整ってくる。

「子どもはすごくかわいいからね」と話す雰囲気から、まだ小さい子を想像してそうな気がして、「子どもさんはいくつ?」と聞かれたときには三男のことから伝えてみた。「小学4年生と、・・」と言うと、「そんなに大きな子がいたの」と驚きの反応。上に中学生と大学生がいるとも伝えられないまま、店を出た。

また来てもいいなと思えた雰囲気のお店。
次の散髪で、今までのところに戻るのか、またこっちに来るのか、悩みどころだ。
いつか、自分の年齢や長男・次男のことも伝える日が、来るのだろうか。

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