「やさしい日本語」でおもてなし②
本日も、前回に引き続いて「やさしい日本語」についてご紹介します。
「やさしい日本語」の始まり
前回少し触れましたが、「やさしい日本語」誕生のきっかけは、1995年の「「阪神・淡路大震災」でした。
日本に在住していた外国人の中で、特に日本語も英語も十分に理解できなかった方たちが、必要な情報を受け取れなかったそうです。
ご承知の通り、突発的な災害が起こってしまった直後は、誰もが正確で迅速な情報を受け取りたいと思うものです。
特に地震などは、二次災害が起こったり、津波の到達時間帯などの情報が必要です。
日本語の案内を、いろいろな言語に翻訳していては時間がかかってしまい、「迅速な情報」ができません。
ここで、やさしい日本語や、分かりやすいイラストなどで危険を伝えることができれば、情報伝達速度が速まります。
こういったなかで、「やさしい日本語」は弘前大学の社会言語学研究室が研究と考案したといわれています。
「やさしい日本語」の基本原則
それでは、「やさしい日本語」とは具体的にどんなものなのでしょうか?
この「やさしい日本語」は、ひらがなや簡単な漢字を理解することができる、小学校3年生の教科書くらいのレベルといわれています。
いかがでしょうか?「やさしい日本語」の方は、「余震」という言葉に対して説明をするために「あとからくる地震」という文言が付け加えられています。
これは、原則⑥の「災害時に使われる言葉はそのまま使う」という原則にのっとっていて、例えばやさしい日本語で書かれていない他の文章でも、「余震」について書かれていると認識させることができるというわけです。
日本語を使う私たちからすると、同じ意味の言葉が繰り返されていて少し読みづらさもあるかもしれませんが、日本語に慣れていない方に対してはわかりやすく、注意喚起ができる文章なのです。
観光客の為の「やさしい日本語」
私たち日本人が海外へ行くとき、現地の言葉で話そうとしていませんか?
特に旅行で行く場合は通訳が付かないことが多いので、旅行前は少し勉強していかれる方も多いかもしれません。
しかし、私たち日本人は、訪日外国人に話しかけられたら、ひとまず英語で答えているのではないでしょうか?
実際、東京オリンピックで募集された都市ボランティア(東京都などが募集するボランティアで、空港や主要駅、観光地で観客や観光客を案内しました)では、英検2級程度の語学力が必要だったそうです。
日本人は海外へ旅行しても、日本で海外からの観光客に対しても英語で話していることが多いようなのです。
これは、少し変わった現象かもしれません。
なぜなら、海外からの観光客の中には、日本のアニメや海外に配信されている日本のドラマなどで、すでに日本語が話せる方もいらっしゃいます。そして、日本語に触れることを期待して来日している方もいるかもしれません。
日本人からすると、街で外国人が道に迷っていたり、外国人から道を尋ねられたら、「おもてなし」として、ひとまず英語で答えることが多いかもしれませんが、実は、それは必ずしも正しいことではないのです。
こういった場面で、「やさしい日本語」を使って外国人と話をすれば、実は「日本に行って日本人と話した!」という彼らの思い出になるかもしれないのです。
本当の「おもてなし」とは、やさしい日本語ですることがベスト、なのかもしれません。
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