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ターゲット トレーニングのヒント


I. 初期設定としての行動 ステーショニング

アニマルトレーニングにおいて最も大切なのが、動物の配置です。適切な位置に付くことをトレーニングの一番初めに教えます。これがステーショニング行動(Stationing Behaivor)です。その位置設定を明確にする為に使われるのがプラットフォーム。

プラットフォームはなんでもいいのですが、犬が心地よく留まっていられるものがいいでしょう。しっかりとした安定したもので、立ったり座ったり、また方向転換するなどの簡単な動作が出来る広さも必要となります。また材質も滑りにくく、身体に触れても不快感のない材質でできたものがいいでしょう。動くたびに音が出たり、ぐらつく物は避けます。

ステーショニングができると、トレーニングセッションの期間を明確に動物に示すことができ、プラットフォームに上がっている間は、動物もハンドラーに集中してくれるので、トレーニングがスムースに進みます。

II. ターゲットトレーニング

ターゲットトレーニングとは、身体の一部をターゲットとなる物体に接触させること。

・物体に接触する身体部分を特定すれば、チンレスト(顎乗せ)やお手
・カフェマットを敷けば、マットトレーニング
・箱を置けば、ステーショニング
・クレートを用意すれば、クレートトレーニング

設定によってトレーニング名が変わりますが、実はこれ、全てターゲットトレーニングなのです。

III. ターゲットトレーニングの始め方

通常はハンドターゲットから始めます。犬は手を見せられると、匂いをかぎに来ます。その行動を利用して、手のひらに鼻をつけてもらうことから始めます。成功報酬として、手のひらに鼻をつけたらマーキング(クリッカーを鳴らす)をしてトリーツをあげます。それによって「手のひらに鼻をつける」という行動は強化されていきます。

IV. 7つのバリエーション 

ハンドターゲットができるようになったら、ターゲットトレーニングが応用できるように、7つのターゲットトレーニングバリエーションを意識して練習してみましょう。

1. Basic Targeting 基本のターゲット
これは前項目で説明したハンドターゲットです。しっかりハンドターゲットができるように練習しておきましょう。

2. Objects Targeting 手以外のものへのターゲット
手以外のものならなんで構いません。おもちゃ、ターゲットスティック、爪切りやブラシなどのトリミング用道具、歯ブラシ、ありとあらゆるものでターゲットトレーニングをしてみましょう。保護犬等、手を怖がる犬には、この手以外のものへのターゲットから始めてもいいでしょう。手の時と同じく、匂いを嗅ぎにくるところをマークするとうまく導入できます。

3. Extended Target 延長ターゲット
ターゲットするモノに鼻を付けたままにする練習です。初めはほんの短い時間でも、次第に時間を伸ばして行き、最後は終了の合図が出るまでターゲットに留まるように練習します。ここでお分かりのように、ターゲットとはタッチするだけではなく、継続して接触することが基本です。

4. Use Different Body Parts 身体の異なる部位を使ったターゲット
お手やチンレストはこれに当たります。この練習は、トリミングや医療行為などヘルスケアに非常に役に立ち、ハズバンダリートレーニングの基礎となります。いろんなモノにターゲットする練習と合わせて、家庭で常に練習しておきたいものです。

5. Multiple Target 複数のターゲット
1箇所の身体の部分を確実に無理なくターゲットできるようになったら、それに加えてもう1箇所のターゲットを加えてみます。例えば、チンレストをしてそのまま目の周りを触る、お手をしヤスリを当てる等、もうお分かりのように、この練習は医療行為にとても役に立ちます。

6. Follow Target ターゲットを追跡
ターゲットを動かし、犬に追いかけてもらいます。手でもターゲットスティックでも構いません。手もしくはターゲットスティックが止まるまで、追いかけ続けます。これができると、スピンや足の間を八の字でくぐり抜けたりを簡単に教えることができます。

7. A to B Target AからBへのターゲット
ハンドラーから離れて少し離れたところにあるターゲットにタッチして戻ってくる、移動を組み込んだターゲットトレーニングです。何にターゲットするのか明確にするため、Object Targetingの練習で使ったものを使ってみるといいでしょう。

V. End Que 終わりの合図は?

ターゲットを終わらせるには、単純にターゲットしている手や物体を動かし、目の前から取り除きます。その時にクリッカーを鳴らすのもいいでしょう。クリッカーはいつでも終わりを告げるものであり、クリッカー音を聞いた犬は行動を解除してトリーツを食べていいということになります。

逆に、ターゲットの途中で複数の行動を盛り込んでいる時にある特定の行動を強化したい場合は、クリッカーを鳴らさずに強化子(トリーツ)だけ出します。そして全てが終わった時にクリッカーを鳴らし終わりを告げます。

VI. トレーニングチャレンジ

ここまで述べたことは、効果的にターゲットトレーニングを行い使いこなすためにKaren Pryer AcademyのトレーナーKen Ramirez氏があげているヒントであり、必ずしもこの通りにしなくてはいけないものではありません。

トレーニングは常に評価され更新されなければなりません。ここでご紹介したトレーニングにチャレンジした皆さんと、新しい発見や疑問を共有できればと思っています。

動画を撮り #トレーニングチャレンジ  のハッシュタグを付けてSNSに投稿してみてください。ここに紹介されなかった全く新しい方法でも構いません。うまくいかなくて助言を求めたものでも構いません。楽しくトレーニングチャレンジしてみませんか?

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