①アナリストレポートの顔である「株価レーティング」
「株価レーティング」は個別株レポートで最も重要な箇所です。
注目するのは、「株価レーティング」が前回のレポートと比べてどう変化したのかです。
アナリストの調査対象に採用された「新規」、評価に変化があった「引き上げ・引き下げ」、据え置きである「継続」の3パターンがあります。
詳しくは後で説明しますが、それぞれのパターンによって、株価へのインパクトも異なります。
「株価レーティング」の表記は証券会社によって様々です。株価の上昇を予想する場合は、「強気」、「買い」、「A」、「1」、「Buy」、「Outperform」、「Overweight」などと表記されます。
逆に株価の下落を予想する場合は、「売り」、「弱気」、「C」、「5」、「Sell」、「Underperform」、「Underweight」などです。
具体的には、岩井コスモ証券では、買い(強気)→弱気(売り)の順に「A」、「B+」、「B」、「B-」、「C」の5段階としており、半年以内にTOPIXを何%上回る(下回る)かが基準となっています。
東海東京調査センターでは、買い(強気)の順から「Outperform」、「Neutral」、「Underperform」の3段階に設定されています。基準は、岩井コスモ証券と同様に半年以内にTOPIXを何%上回る(下回る)かです。
三菱UFJMS証券では、買い(強気)の順から「Overweight」、「Neutral」、「Underweight」の3段階。
サブセクター内におけるパフォーマンスが基準となっています。
ただし、中小型株については、「Buy」、「Hold」、「Sell」とアナリストの株価予想が基になっています。
いちよし経済研究所では、「A(買い)」、「B(中立)」、「C(売り)」の3段階。
アナリストが試算するフェアバリューに対して、どの程度株価が割安(割高)かが基準となっています。
このように各証券会社で定義や基準があるものの、基本的には「売り」「中立」「買い」、「弱気」「中立」「強気」の3段階や、「やや弱気」、「やや強気」を加えた5段階で定義されることが多いようです。
アナリストレポートでは、弱気のレーティングが付与されている割合は全体の10%にも満たないのです。
ネガティブなレポートをリリースすると、アナリストは当該銘柄の会社訪問を断られてしまうケースがあるなど、今後の企業分析に支障をきたしてしまうからです。
そのため、本当は「売り」、「弱気」などのレーティングを付与したい場合でも、当たり障りのない「中立」のままにしておくこともあったりするようです。
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