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オンライン授業の皆さんの疑問をまとめました「配信サポート質疑応答編」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全小中高の休校要請を受け、オンライン授業を実施したいと考えている教員の皆さまに向けて、学習コンテンツの配信ノウハウのレクチャやアドバイスなどを行う「オンライン授業 配信サポート」を5月13日(水)にYouTube Liveで配信しました。

前半にオンライン配信の手順を説明し、後半に私たちがオンライン授業で気をつけていることや失敗例を紹介しました。ここでは、配信内で行った「オンライン授業で意識していることと質疑応答」を抜粋して紹介します(記事は配信内容をまとめ、リライトしています)。

なお、詳しい配信内容についてはYouTubeのアーカイブ動画をご覧ください。
https://youtu.be/8mTVERQ49hU

動画前半に行った「YouTube LiVe配信手順」に関する資料はこちら
https://speakerdeck.com/nyobikou/youtubelivepei-xin-shou-shun

オンライン授業で意識をしている3つのこと
私がオンライン授業を配信するときに意識している3つのことについて説明します。

1つめ
無音の世界を味方につけること」を意識し授業することです。
オンライン授業では、話者の「えー」や「あー」という間を埋める言葉が聞き手側にとって耳障りになりやすいので、このような言葉を言いそうなときには一瞬でもいいので話を止めています。また、オンライン授業ははどうしてもタイムラグが出るので、その点でも”黙って待つ”ことが大事になります。
また、オンライン授業は多くの場合ひとりで配信しているので、相手からの反応がありません。そのためとても不安になり、早口になります。そうなってしまうと話はとても聞きづらく感じられてしまいます。そんなとき、無音の世界(自分が一瞬無言になる空白の間)があると、落ち着いた感じになるだけではなく、生徒たちは「何だ?」と気になり、モニターに視線を惹きつけられたりもします。無音の世界が授業にメリハリをつけてくれるのです。なので、あえて黙りの演出をすることもあります。

2つめ
カメラのレンズをしっかり見ながら、笑顔でいること」です。
目線は生徒にとって気になるものですので、できるだけカメラに向かって授業をするようにします。また無音の中、ひとりでしゃべっていると、生徒からの反応がないため、自然と顔がどんどん険しくなってしまいます。だからこそ、笑顔を絶やさず授業するようにしています。

3つめ
動くときは「意図的にゆっくり、大きく動く」です。また、左右の動きでだけではなく、カメラに向かって前に踏み出す前後の動きを取り入れますと、見ている人に強い印象を与えられると思います。指示棒などを使用しているときは、細かく動かさずにバシっと止めることが大切だと思います。

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視聴者様からいただいた質疑応答のまとめ(一部抜粋)

YouTube Liveでは、視聴者様からチャット機能を使い質問をいただきましたので、以下に内容をまとめました。ここで紹介しているものは配信内容を抜粋したものです。

1 授業についての質疑応答(Q1~Q8)

Q1.
授業時間は、どれくらいがベスト?

A1.
収録の動画授業は10分未満を心がけています。ライブ配信を学校で行う場合は、双方向性ということから40分前後がいいのではと考えています。N予備校では90分授業を行っていますが、その場合には、授業の転換などを考えて30分の休憩時間をとっています。

Q2.
生徒からのコメントを見ながら授業をしている?

A2.
見ています。しかし、横目でコメントを追うことは、なれるまでは難しいのではと感じています。はじめは無理にコメントを追うのではなく、カメラをまっすぐ見て話し、ときどき見るでも良いと思います。

Q3.
コメントで授業が荒れないか心配

A3.
ハンドルネームで参加できる授業の場合は、生徒の心の声がコメントとなって届きます。さまざまな声と向き合いながら授業を進行すると、意外と荒れません。また良くないコメントに対しては本気で叱る(感情的に怒るではないです)ことを心がけています。コメントは生徒との関係性をつくる手法のひとつだと思います。

Q4.
スマートフォンで授業を受ける生徒に対する、授業構成は?

A4.
スマートフォンは全画面にしても、低解像度の画質でもあまり気にならないと思います。生徒の感覚としては、パソコンとスマートフォンで大きな違いはないと思います。ただ、パソコンでは画面を分割して、メモを取ることができますが、スマートフォンでは難しいです。そんなときは、ノートを取る感覚で、モニターをスクリーンショットしてもらっています。

Q5.
生徒に積極的に意見を出させるコツは?

A5.
生徒からの質問がコメントで表示されたときに、先生自身がYes/Noで回答するのではなく、「そういう意見もあるよね」「他の人はどう思う?」と、授業を受けている生徒たちにコメントを促すことで生徒の意見を引き出しています。

Q6.
Zoomを用いた授業で生徒に画面共有してもらうことはある?

A6.
あります。生徒が画面共有をするときは、Zoomの設定で「複数の参加者が同時に共有可能」を選んでください。ただし、通常はホストである先生のみが画面共有できるという設定がおすすめです。

Q7.
Zoomでグループごとに話し合いし、発表することはできる?

A7.
Zoomの機能である「ブレイクアウトセッション」を使えば可能です。グループを作って振り分け、話し合いのあとに戻せます。ブレイクアウトセッションのときに、すべてのグループに一斉にファシリテーターが入室することができないため、グループにあわせてファシリテーターは随時入るようにします。

Q8.
授業前に資料を共有しても、画面共有は必要?

A8.
私たちは、事前に資料共有したうえで、画面共有をしています。もし画面共有ができない場合は、プロジェクターで表示し共有することもできると思います。

2 電子黒板・機材設定についての質疑応答(Q9~13)

Q9.
電子黒板を使った授業で気をつけることは?

A9.
背景の色です。モニターの背景として表示されるスライドが白色だと、長時間スマートフォンやパソコン画面を見たとき目が疲れてしまうので、クリーム色にしています。また、文字の大きさはタイトルが24pt、そのほかは20pt。必ず太字(ボールド)にして見やすくしています。

Q10.
電子黒板と黒板の違いは?

A10.
オンライン配信では、黒板に書いた文字は細く見えます。色チョークも配信だと見えにくい色があります。とくに紫色はカメラが寄っても見えずらいので、黄色やオレンジ色を意識して使っています。

Q11.
Zoomを用いた授業では、生徒のカメラはオン? オフ?

A11.
Zoomの魅力は対面で生徒の表情を見ながら授業を進められることだと感じるので、カメラをオンにしたいです。とはいえ、なかなか難しいので難しい場合は、「バーチャル背景でもいいよ」などの声かけをしています。顔を出したくない生徒がいる場合は、無理せず顔を出しても安心だと感じてもらう雰囲気づくりを心がけています。


Q12.
Zoomを用いた授業では、生徒の音声をミュートにするべき?

A12.
ハウリングが起きたり雑音が入るため、発言者以外はミュートがおすすめです。なお、マイクをオンにしてしまう生徒がいたら、ホストの先生が自分以外を一斉にミュートにすることもできます。

Q13.
ディスカッション授業の場合、ZoomとYouTube Liveどちらが向いていますか?

A13.
Zoomだと思います。名前と顔がでるので、関係構築話しながらディスカッションできます。


3 その他の質疑応答(Q14~Q18)

Q14.
映像が止まってしまったときは?

A14.
チャットで状況を説明します。それすらも止まってしまった場合、N高等学校ではSlackやGoogle ハングアウトを使っています。あらかじめ、何かあったときのためにいろんなツールを準備しています。

Q15.
エアコンやチョークの音など、周囲の音は気になる?

A15.
私はあまり気にならないと感じています。ただ、どうしても気になる場合はヘッドセットや指向性のあるマイク、ガンマイクを使うといいと思います。チャイムが鳴ったり、救急車が通ってしまったときは「チャイムが鳴ったね!」などあえて口にだすことで、場を和ませています。

Q16.
生徒全員がカメラをつけても通信環境は大丈夫?

A16.
生徒の人数や通信環境によって変わりますが、大丈夫だと思います。Zoomのアプリを立ち上げて設定を開き、統計情報を事前に調べ、CPUを常時7〜8割使用している場合は、何か対策を立てたほうがいいかもしれません。

Q17.
授業を録画して共有することはできる?

A17.
できます。YouTube Liveは配信後に動画が自動でアーカイブ化されます。Zoomの場合は、オンライン授業を「録画」し、その後、Googleドライブなどで動画を共有して生徒がいつでも見られる状態にしておきます。

Q18.
オンライン授業にどうしても消極的になってしまいます。

A18.
オンラインとオフラインはぶつかり合うものでも、対局にあるものでもなく“補い合うもの”だと思っています。オンラインを活用することでリアルが充実すると思います。

まとめ

オンラインの授業は、使い方によってはリアルの授業を際立たせてくれるものだと感じています。私たちは、手探り状態ではじめ、さまざま失敗を繰り返し、改善しながら今日にいたっています。そして、まだまだ改善の必要があると感じています。

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