恋愛物語としてシンプルに観た方が楽しめた気がする「THE LEGEND & BUTTERFLY(レジェンド&バタフライ)」。
今年の元日にお正月番組をダラダラゴロゴロ観ていたらCMが長尺……だから「(チカラ入ってるんだろうな~)」とは思った……で流れていた、東映70周年記念映画らしい「THE LEGEND & BUTTERFLY」。
早くもアマプラさんに来ていたので観てしまった。
それが先週の事だったかな。
結論から書いてしまうと、私自身は「途中までは面白く観られたけれど、中盤以降は失速。それに3時間弱の長尺だと観ていて疲れる」というのが正直な感想。
許してくれ! あんまりそこまでたくさん映画観てる自信もないから、こう、なんか上手い感じで作品評とか出来るタイプじゃあないんだよ私も!
それでも当然良かった点だってたくさんあったし、尺を整えて、観せたい部分を強調して……とかしたらもっと私でも楽しく観られる映画に化けたような気もする。前提として、私は中国史の三国志は好きだけれど日本の戦国時代史は詳しくないので……。
せいぜい桶狭間の戦いとか、長篠の戦いとか、父の墓前に位牌を投げつけた逸話とか、お料理に塩が足らなくて料理人を叱った逸話とか、そういう……なんだろう、社会の教科書とか資料集とかで読めるようなレベルの知識までしかないので。
まぁ、でも、そうだな。
今や大御所俳優の木村拓哉だったり、戦国時代モノ! 東映70周年記念作品! とか、大仰な肩書は一旦さておいて、もう少し肩のチカラを抜いて、一個の「恋愛物語」くらいのテンションで観た方が楽しめたのかも知れない。
そういう意味では私の見方にも少しピントのズレがあったのかも。
前述の通り、良い点だってたくさんあったので、せっかくならそういう部分を多めに書いて楽しく過ごそう。
なんといっても画作りは全編に渡って豪華だよ。
安土城のセットなんかも素人目に観て分かるマネーパワー感じちゃう。
特に詳しくない私でも戦国時代のセットや具足周りなんかの衣装が大変でお金がかかる事もさすがに理解できるので……それだけに合戦のシーンは殆どカットされて、せいぜい比叡山の焼き討ちのシーンくらいだろうか?
殺陣自体は中盤の京都の貧民街のシーンだったり、終盤の本能寺のシーンだったりで入ってはいたけれど、せっかくやるんなら三国志の赤壁の戦いを描いた「レッドクリフ」みたいに鎧甲冑に身を包んだ武士同士がぶつかり合う「合戦」シーンをもっとアノ予算度合いで観たかったなぁ~なんかは思ってしまう。
続けて、やっぱり綾瀬はるかさん演じる濃姫がズバ抜けてカッコイイ。
というか、全体的にキムタク演じる織田信長が見せかけばっかりこだわる、子供っぽい見栄っ張りみたいな側面が強調されて書かれているので、あの時代の女性とは思えない質実剛健! 強い! 濃姫の豪胆さに目が向いてしまうのだろうな。
脇を固める助演陣の演技も物凄く好みで、特に濃姫の侍女役の方の演技なんかは下手したらこの映画の中で一番好きかも知れない。エラそうに振る舞う信長に凛々しくバシッとモノを言う濃姫の後ろでハラハラしまくってる演技とか最高にそれっぽかった。
あとその2週間前とかに「KAPPEI」を観たせいで伊藤英明さんが映るたびに変な笑いが出そうになってた。
上洛してからはどうしても信長と濃姫の距離が遠くなっていくらしい(どうも史実でもそういうものなのかね?)ので、全編思い返してもやっぱり序盤が一番面白かったかなぁ……と思ってしまうのは、つまりこの濃姫のキャラクターと綾瀬はるかさんの演技がそれだけ物語を牽引するパワーを持ってたって事なんだろう。
桶狭間の戦いの前夜では今川義元の軍とどう戦うべきか? と延々悩んでしまって、せっかくの軍議でも打開策を見つけられない信長に、濃姫は二人きりになると地図を見ながら一緒に戦術を考え、敦盛なんか踊っちゃいながら方針を決めた後に
「殿は悠々と敦盛を踊っていたと部下たちに伝えよ」
みたいな事を言って自分は城で堂々と信長の凱旋を待つ訳だ。
これがまたカッコイイ……。
女性を評する言葉として適当か知らんが、渋い。
序盤は部下たちを引き連れながらもガキ大将であってお山の大将であってボンボン感が抜けない信長をビシッと”戦国群雄”に押し上げた内助の功感じてしまう。そういうの。
この「歴史上で語られる革新的かつ苛烈な『信長像』の陰には濃姫の助言があった」みたいな路線で続けたらムチャクチャ面白そうだなって思えるくらい。そういう路線一瞬期待しちゃったからこの辺りのシーンは画面から本気で目が離せなかった(過去形で書いているのはつまりそういう事です)。
というわけで中盤以降は私的には失速を感じてしまったんだよな。
京都に上洛を果たした後辺りから急に物語としては退屈になってしまった気がする。森蘭丸とか明智光秀とかあんまり詳しくないしな。「苛烈な覇道を突き進む魔王・織田信長」はもう散々色んな作品でも描かれてるんじゃないの、って思っちゃったのも大きい。
それだったらもっと濃姫との関係性とかに焦点を当てて……って思ってしまうんだけれど、もしかしたらあれでもしっかり当てた方だったのかも知れない。まぁ、いや、戦国群雄なんだからそんなポコポコ逸話が溢れてる訳でもないのかも知れないけど。
あと徳川家康役が斎藤工さんだったのはスタッフロール見た後に「そうだっけ?」と思ってもう一回見返した。特殊メイクが凄すぎて初見ではまず分からなかった。
中盤以降……特に終盤はキムタクが「○○じゃあ!!!!」って絶叫し続けていた印象。
終盤の信長と濃姫が渡航する夢のシーンは唐突感はあったけれど、いずれにせよ「織田信長の最期」って大体の人なら知ってる超ネタバレ済の展開なんで、ああいう変化球をギュンッと投げてくるのは逆に面白く感じた。
重ね重ね、私はそこまで日本の戦国時代には詳しくないからね。
それでも信長の自刃→スタッフロールのラストシーンの流れは良かった。
そこに来て急に余韻感じさせちゃうラスト持ってきちゃうのか……いやでも純粋に絵と演技が良いから良いな……パワーで押し切られるわ……ってなる。
総評めいたものを。
お金かかってるのも分かる。
演技凄いのも凄い分かる。
でもどこかバランス配分とか魅せたいであろう部分にチグハグなものを感じちゃって、3時間弱のインド映画かよって長尺が鑑賞後に疲れを産む。
そういう色々凄い映画だった。
このノリで「武士の一分」でも観ちゃう? それとも「ヤマト」?
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