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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
 月曜日がMartin Luther King Jr. Dayでお休みだったこともあり、
今週のニュースレターは本日、水曜日にお送りいたします。 
今日の写真は、オフィスの近くにあるLong Beachのヨットハーバーの夕焼けです。

Long Beach Harbour 

さて、本日1月17日のニュースレターをお送りいたします。
 
【株式・為替市場の動き】
今日発表された小売売上高と鉱工業生産指数が市場予想より良かったことを受けて、米10年国債の利回り(長期金利)が上昇しました。
これらの統計は米国の景気が底固いと市場に受け止められて、3月の利下げ確率が下がり、それを嫌気して株価も下がっています。主要のダウ、S&P500,ナスダック全て値下がりです。
 
米国10年債の利回りの上昇と日本の10年債の利回りの差が広がったことも影響して、本日はドル高が進み、ドルに対して円は148.31となっています。 大きな震災が起こった後は通常円高に振れます。損害保険会社が海外資産を売って円に換えて保険の支払いに充てる動きが出るからです。しかし、今回は逆に円安に振れました。今回は震災の影響で日銀がマイナス金利の解除の時期を遅くするのではないかとの思惑で円が安くなりました。その後144円半ばまで円が上がりましたが、CPI、雇用統計などの発表や昨日のFRBの理事の利下げに慎重な発言などがあり、また円安に振れています。昨日は147.24円まで円安が進み、さらに、今日の小売売上高と鉱工業生産高の発表で円安が加速し148円台前半まで下がりました。しかしながら、表に出てこない米国経済の弱さを示すデータも(ハイテク関連、金融機関のレイオフなど)多々あり、今後暫くドル円は130円から150円の幅で大きく揺れ動くと思われます。日銀の政策金利、米国の利下げ、国債の利回りなどに影響されて大きく変動しそうですが、FRBの金利利下げ、米国債の利回り低下は市場は織り込み済みで、今年はその流れで進むでしょう。変動は大きいかもしれません。今年はアメリカの景気がじりじりと下がり続けるのか?そうなれば円高。もし、米国景気が悪くならなければドル円は当面140円台で推移してゆくでしょう。今まで言って来たように私はこれから未だ景気悪化してゆくと考えていますので、ドルは弱くなり、相対的に円が高くなってゆくと考えています。
 
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
米10年国債の利回りは現在4%前後で推移していますが、今日は4%を若干上回りましたので、ローン金利が若干上昇しました。この長期金利の4%が一つのポイントになっています。米10年国債の利回りが4%だとすると、住宅ローン金利は4%+2.5%―3%となります。市場では30年固定ローン金利は6.5%か7%の間で推移しています。昨年の最高金利の時と比べて1%以上下落しました。この1%はまたFRBの利下げ予想ともある程度リンクしています。今年は年4回の0.25%の利下げが見込まれているので、約1%の下落となりました。             この先、景気悪化であればさらに利下げの回数が増えて金利が下がりますが、そうでなければ今の金利水準が続くこともあり得ます。 ただし、この1%の金利の下落で、州によっては売り物件の供給がかなり増えてきています。ここ数カ月は米国の人の移動、不動産価格の推移などを報告してきました。2023年は総じて高い不動産価格を嫌がって、不動産価格、家賃が低い州、都市への人口の移動が起こりました。もう一つはあまり日本のマスコミでは言われていませんが、不法移民、ホームレス、麻薬の流入などにより治安が悪化している街が全米に多くあります。そのような街からの脱出する人も多く居ます。さらには教育問題でより自分たちの信条に合った教育をしてくれる場所で子供を育てたい人たちもそのような場所を求めて移動しています。これは米国内での左派と保守系の対立の激化があります。これらの動きによってマーケットが変化してきています。大都市から地方都市へ、生活費の低い都市へ、職が得やすい、治安の良い都市への移動はこれからも続くでしょう。IT関連で働いている人たちにとって職が得やすい場所トップ10が発表されました。San Francisco, San Joseなどは真っ先に思い浮かびますが、全米には意外に知られていないIT関連企業がたくさんある都市、今後発展してゆきそうな都市があります。例えば、生活費が安い、自然環境がいい、いい大学が近くにあるなど。具体的には以下の街です。Boulder, CO.  Huntsville, AL.  Durham, NC. Raleigh, NC.
Colorado Springs, CO.  Austin, TX. これらの都市は今後人口が増え、住宅需要も増え、家賃も高くなる可能性がある町ですね。
参考までに、2023年全米で不動産価格が最も上がった州トップ10は以下の様になっています。(全米平均3.31%の上昇)
全米平均はインフレ率とほぼ同じ数字になっていますね。
1.  Connecticut      9.56%
2.  Maine         8%
3.  New Hampshire    7.49%
4.  New Jersey      7.43%
5.  Rhode Island     7.1%
6.  Massachusetts     6.97%
7.  Wisconsin       6.09%
8.  Vermont       5.81%
9.  Ohio         5.53%
10.        Illinois       5.42%
 
【経済の動き】
例えば、CPI(消費者物価指数)が下落すると円高、逆に上昇するとインフレ懸念が上がり円安と動きます。た、前回発表された雇用統計に関しても表面的には雇用は強いが実際はそうでもないと言いました。 具体的にはフルタイムの雇用は減っているのですが、パートタイムが増えたので、雇用統計がよく見えたのです。さらに、この所いつも数カ月後に雇用統計の下方修正がありますので、今回も恐らく下方修正がされるでしょう。ですから、実際の雇用はそれほど強くないのです。ですから、統計発表直後はいつも大きく反応するのですが、その後収まってくる動きを繰り返しています。雇用が強いと言うのは政権にとっては経済が強いと強調できるので好ましいのです。しかし、実態はニュースで言われているよりは米国の雇用は強くなさそうです。ですから、大きな流れは、じりじりとインフレ低下、雇用も弱含みとなってくるでしょう。さらに、この動きを証明する一つの指標としてはISM非製造業景況指数の弱さです。本日発表の1月のニューヨーク連銀製造業景況指数も前月から大幅に低下して、2020年5月以来の低水準となりました。この流れでは、FRBの利下げは近いと思われます。恐らく3月でしょう。そうなれば、円が逆転して高くなるでしょう。世界の状況を見てみれば、景気を悪化させる出来事の方が多いと思います。ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争、EUの中心国であるドイツの経済不振、EV車の世界的な信頼性、効率性、経済性の優位性が無くなり衰退してゆく可能性が大きくなっています。その経済的な影響は大きく、また、SDG‘s投資も主要投資家が手を引き始めました。中東の不安定化による原油価格の上昇があるかもしれません。さらに、中国の経済不振は深刻です。米国経済が直接これらの影響を受けなくても、間接的には影響を受けるでしょう。
 
 
【今週の???な国際ニュース】
一昨日アイオワ州の共和党員集会でトランプ大統領が圧勝しました。また、全体としても、前回の支持層に加えて、今まで民主党支持者が多かった若者層、黒人やヒスパニック、有色人種がトランプ支持に回っています。私の子供たちも含めて、若者は現バイデン政権に極めて批判的です。
民主党はトランプを大統領候補にしたくないので、民主党員を共和党員集会に潜り込ませて、ニッキー・ヘイリー支持に動いているとされており、その為、彼女への支持が急増しています。日本の報道では、現政権がまともで、トランプ前大統領は戦争好きで差別主義者、暴言を吐いて、思い付きで政策立案している様に報道されていますが、実際、前政権時に戦争は一度も起こらず、政権公約はほぼ言葉通りに実現していました。それがベストの方法で、正しいかったかどうかは別ですが。また、これまでの演説やキャンペーンで今後やってゆきたい政策に国民が現政権よりも米国を良くしてくれると思い始めている様です。少なくとも現政権よりはまし、と考えている層が増えており、また、熱狂的に支持している層も健在です。現在の世界の混迷は現米政権に大きな責任があると考えている人たちが増えているのです。
しかし、トランプ大統領になれば、世界は一挙に平和になり、景気も良くなるかは???ですね。世界はもうそんな単純なものではなくなっています。以下トランプ氏が大統領になったら、どのような政策を打ち出すかの
予測です。日本にも多大な影響が及ぶと思われます。バイデン政権の指示に従って国を運営しているように見える岸田政権にとっては、180度政策を転換しなければならなくなるかもしれないからです。
 
1.    米国第一主義を掲げ、米国産業保護の為に輸入関税の10%引上げ。
2.    中国の最恵国待遇の撤回 米中デカップリングの推進。
3.    所得税減税の恒久化。
4.    大幅に移民を制限する大統領令を出して、不法移民を排斥する。
5.    外国支援、気候変動関連補助金、移民に対する過剰な支出を抑制。
6.    政府による規制を緩和してゆく。一つの規制案が可決されると2つの既存の規制を削減する。
7.    自動車の燃費、排ガス基準の撤廃とパリ協定からの離脱。
8.    FRBのパウエル議長の再任をしない。
9.    米国内の石油・天然ガスの掘削を大幅に拡大、シェールガスへのパイプラインの建設許可。
10.      電気自動車とクリーンエネルギーへの優遇措置を廃止。
 
 
【豆知識】
米国では日本でいうところのワンルームマンション(米国ではStudio)の家賃の都市別平均はびっくりするぐらいの差があります。
家賃の高いトップ5
1.     New York, NY — $3,550 per month
2.     Boston — $2,590 per month
3.     San Jose, CA — $2,328 per month
4.     San Francisco — $2,150 per month
5.     Miami — $2,089 per month
 
家賃の低いトップ5
1.     Memphis, TN — $650 per month
2.     St. Louis — $850 per month
3.     Oklahoma City — $895 per month
4.     Louisville, KY — $899 per month
5.     San Antonio — $908 per month
 

【本日の金利】

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