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米国発前川のニュースレター

いつも前川のニュース・レターを読んで頂き、ありがとうございます。
今日の写真は、私が住んでいる街Seal Beachの海岸にある桟橋を海の方から見た写真です。星条旗が見える方向にダウンタウンの商店街が続いています。小さな町のの昔ながらの何の変哲もない商店街ですが、白人にはとても人気があるそうです。

本日10月30日のニュースレターをお送りいたします。
 
【株式・為替市場の動き】
今日のダウ工業株は先週から続落していた株価が4日ぶりに反発して先週末の金曜日から511.37ドル上昇して終えました。それでも直近の2週間で1,200 ドル以上下がったので、ダウは以前32,928.96ドルとなっています。水曜日の連邦公開市場委員会の会合で利上げはしないとの観測や、全米自動車労組(UAW)のスト終結、株価下げ止まりを予測しての買いなどが今日の上昇の理由と思われます。ナスダック、S&P500も大きく値を上げています。しかし、ここに来て米国の企業利益見通しが悪化していることやドイツの景気後退、イスラエルとハマスの戦争がエスカレートしている状況で、7-9月の決算と比べて10-12月の決算予想が悪い為、株価は下げ止まりとはならないと思われます。 また、日銀の政策金利決定会合で10年金利上限を緩め、今後は1%の上限越えを容認するとの見方から、10年国債利回りが上がり、それに伴い、日米金利差が縮小してゆくとの予想から円が上がり、1ドル148円台に突入しそうなところまで円高が進みました。
【不動産・住宅ローン金利動向】
不動産市場は相変わらず物件不足が続いており、特にカリフォルニアは2022年と比較すると売りに出ている物件の数が減っています。その為、金利上昇が引き続いており、ベストのシナリオ(頭金40%以上、ローン金額$726,200以下、30年固定)のケースでも7.5%を超えてきています。高金利ではありますが、物件不足の為に、2023年は物件価格が上昇しました。しかし、来年にかけても価格が上昇し続ければ、金利が高止まりするとますます物件購入者が減ってくるでしょうから、値上がりは止まってくるでしょう。最新のデータからは、物件によって直ぐ売れるものもありますが、市場に出てもなかなか売れない物件が徐々に多くなって来ている様です。 物件購入者が減っているのは確かなので、その分レントの需要が強くなっています。
リーマンショック以後かなり低水準だったアパート建築、新築戸建てが増えてきており、レント需要に追いつきつつある為、場所によってはレントも下がっています。  米国東部、中西部はレント需要がかなり強いです。
以下が中西部でレントの強い街トップ10です。
Overland Pak, KS, Kansas City, MO, Minneapolis, MS, Cincinnati, OH, Columbus, OH, Omaha, NE, St. Paul, MN, Cleveland, OH, Madison, WI, Detroit, MI. となります。オハイオ州は強いですね。中西部のレントが強いのは雇用機会の多さと家賃の安さが魅力になっています。 レントの強い街トップ30の中ではほぼ半数は中西部の街、その他は東部となっており、西部地区はアリゾナ、コロラドの街が続いており、カリフォルニアはTop30には入っていません。
カリフォルニアは家の値段、家賃の高さ、治安の悪化、教育の左傾化、生活費の高騰などから人口流出が止まりません。2021年と2022年で81万8,000人流出しています。人口増を計算すると差し引き34万2,000人の減少となっています。カリフォルニアから移住者が一番多い州はテキサス(10万2千人)、次は アリゾナ(7万4千人)、フロリダ(5万1千人)、ネバダ(4万9千人)となっています。
カリフォルニア内部でも都市部から地方都市への人口移動が続いています。
 

【経済の動き】
米国では右肩上がりの成長、底固い労働市場、GDPの上昇など景気に対する明るいデータの発表が続いていますが、1年前に比べて経済情勢を悲観する中間層が増えています。生活実感としてはそれが正しい認識だと私も思います。この所、中国経済悪化のニュースが毎日の様に届きます。中国経済悪化は石油消費の減少を予想させ、原油価格の下落につながっているので、ここ数週間ガソリン価格が1ガロン1ドルぐらい下がってきています。ガソリン価格の下落はインフレを止めて景気を底支えしてくれますが、
経済の動きはやはり不景気へ向けて進んでいる様です。2023年の急速なFRBによる利上げの影響が今になって徐々に出てきました。
米消費者金融保護局(CFPB)によると、米国の消費者は昨年クレジットカードの金利と手数料だけで過去最高の1,300億ドル(約19兆4,800万円)を支払っています。家計の出費が増えているという事で、預金残高が減少してきており、昨年から物価が上昇している今年は、それ以上になるのは確実でしょう。自動車ローンの金利も上昇し、自動車ローンの延滞、滞納が急増していますので、自動車の売れ行きも来年に向けて悪化してくるでしょう。
自動車メーカーとしてはUAW(全米自動車労組)とのストを含む長い交渉を経てやっと妥結しましたが、人件費の高騰、売り上げ減少、利益の縮小など来年はかなりつらい状況になると予想されます。今まで何度か言いましたが、予約の取れなかったレストランが予約不要になり、新車購入を控え、家賃が下落し始め、消費者が消費をへらし始めている状況で今後も強気の経済予想をすることが出来るのは富裕層相手のビジネスマンだけでしょう。 過去のデータに基づいてインフレ率2%に達するまでは金融引き締めを止めないとするFRBのポリシーは正しいのかどうかが疑問です。種々の状況を考慮するとインフレ率2%を切ることは難しいだろうとの意見も多く、相であれば余程の景気後退が来ない限りFRBは利下げ、金融緩和に舵を切らない可能性があり、FRBが政策転換を決定した時点では既に遅すぎる状況になっているという事態になりかねません。金利がかなり長い間高止まりし、大きく景気後退し、FRBの金融政策だけでは簡単に景気回復できない状況になるのではないかとの心配です。FRBの理事たちの何人かはそれが心配で、もう利上げは必要ないとの発言が出始めています。中国の経済崩壊、イスラエルと中東諸国の戦争激化が重なればかなり大きな景気後退が起こりかねませんね。EUでもドイツは既に景気後退に入っている様です。
過去のデータを見てみると、FRBが利上げを始めると家の価格は上昇し、その後大きく下落を繰り返しています。ITバブルの崩壊の時、リーマンショックの時が典型的な例です。利上げを続けても暫くは住宅価格が上がり続けました。その後、誰の目にも明らかに不景気が来たとの認識が広まると、投資家は、物件価格が高いうちに売って現金に換えて、不動産から、国債、金、MMFなどの安全資産への資金移動を始めます。
また、一般の不動産オーナも不景気で家のローンが支払えなくなると、フォークローズ(差し押さえ)やショートセール(物件を売ってもローン残高を支払切れない)になる前に物件を売って、しばらくはレントに切り替えて、再度物件が購入できるまで一時避難をする人たちが増えてきます。そういう理由で不動産市場に売りが広まって、物件が市場に沢山供給されて、価格が下がってきます。それが何時来るかを予想するのは難しいですが、株価と共に、米国債の利回りが一本調子で下がり始めた時が指標となるでしょう。
 
  
【今週の???な国際ニュース】
この所イスラエルとハマスの戦争のニュースで影が薄いウクライナ戦争ですが、米国に続き、或いは米国の指示?でEU理事会はウクライナ支援追加援助500億ユーロを提案しました。しかし、ハンガリー、スロバキアの反対で決定できない状態になっています。ちなにEUはこれまで830億ユーロを支援しています。ハンガリーのオルバン首相は、“キエフがモスクワに勝てないのは明白で、ハンガリーはEUの500億ユーロのウクライナ支援に反対する”と主張しています。また、彼は反対の理由をラジオで、“EUの提案は適切に練られておらず、真剣な交渉の基礎としてふさわしくない為”と言っています。支援の使い途、その確認など米国もEUもその詳細を発表していませんし、マスコミも教えてくれません。戦況は双方意見が180度違っています。また、スロバキアのフィツオ首相はウクライナ軍支援停止、対ロシア制裁に加わらないとはっきり表明しています。 ウクライナの英字新聞である『キエフ・ポスト』の報道によると、ウクライナ税関の報告では西側からの人道援助物資の3分の1が消えているとの記事が掲載されるなど援助金の使途が不明なことが自国の報道機関からも漏れだしています。それや、これやでぜレンスキー大統領の支持率は89%から44%への急落しており、このまま戦争継続が難しくなってきています。戦況悪化や西側からの援助がストップする可能性が出てきたところへ持ってきてロシアが停戦の話し合いを前向きに行う旨の発言をしていますので、恐らくウクライナ戦争はそろそろ終わりに近づいている様で、次はイスラエル、ハマス戦争へ世界の支援が向かうのでしょう。いずれにしても巨額な支援は各国の財政赤字を拡大させ、今回は石油供給基地としてのアラブがハマス支援をしそうですから、石油供給をアラブ諸国はパレスチナ支援策の一つとして、武器に使う可能性があります。石油をアラブ諸国に頼っている国(米国も含めて)は原油を止められると、1973年、1979年のオイルショックと同様に世界中が大問題になるでしょう。一番困るのは日本ですね。イスラエルが米国の軍事力よりもアラブ諸国、ロシアの資源の方が強力な武器になりそうです。
 
【豆知識】
タクシーを呼ぶを英語でなんという? 
Hail a rideと言います。
Hail a taxi / Cabとも言います。

【今日の金利表】

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