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米国発、前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
未だ暑い日が続きますが、確実に秋が近づいているのを感じます。
先週もいろんな出来事がありましたが、気になるとニュースをお伝えします。

さて、8月最終週のニュースレターをお送りいたします。
 
【株式市場の動き】
今日の株価は先週から引き続き値上がりしています。FRBのパウエル議長の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での発言に市場は関心を寄せていました。その内容は予想どおりのもので、去年と違ってサプライズが無かったので、市場に安心感が広がり、株価が上昇しました。そのないようは 適切ならば追加利上げの用意がある、今後の政策決定は経済データ次第で慎重に進めると言ったものでした。今のところの予想ではインフレは引き続き鎮静化する見込みが強く、相であれば利上げは停止、引き続き様子見との観測です。株価は、ダウ工業株30種平均、S&P500、ナスダックともに上昇しています。
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
先週のジャクソンホール会議の内容もさることながら、今後のインフレ率低下予想、金融当局者の利上げ停止観測などで、FRBのパウエル議長の『適切ならば追加利上げの用意上がる』との発言にもかかわらず、米国10年国債利回りが低下しています。通常ならば、今後の利上げがあり得るとの発言は、一層の金利高を予想して国債の利回りが上昇するのですが、今回は逆の動きを見せました。その理由としては、今後のインフレ率に関して大きな上昇理由であった家賃の下落が続いていること、中古車価格の下落も続いていること、収入の上昇率が低下していることなどです。インフレ率の一層の下落はほぼ確実との見通しが出てきたこと、また国債の高い利回りにより、一部ヘッジファンドは逆に動いていますが、大手金融機関などは、国債の利回りの上昇は最悪期を過ぎて、今後下がって行くとの予想が多く出てきたことなどです。 現在、利回りの高い国債は投資するのに割安で、安全、高利回りの投資商品であり、今が買い時と言う認識が広がっているので、国債の購入や保持が増えてきているのです。
国債の利回りは、買われるほど下がり、売られるほど上がります。人気があれば金利が下がり、人気がなければ金利が上がると覚えていると分かりやすいですね。特に10年国債の利回りは長期金利の指標となって今から、国債利回りが下がれば、長期ローンである住宅ローン金利は下がります。
確かに、添付の金利表を見てもわかる様に、金利上昇は頭を打って、若干下がり始めました。 
住宅市場における物件不足の問題は残るものの、これも頭打ち、金利が下がり始めると物件が出始めることは容易に想像できますので、今まで物件売却、購入を待っていた人たちがある時を境に売却、購入をはじめそうです。物件売却を躊躇している人たちは、買い替えをするのに今持っている金利よりも高い金利で新たな物件を購入するのでは、よりいい物件が購入できないと考えます。現在持っている住宅ローンの金利は6%以下の方が90%となっており、6%が一つの指標になるかもしれません。市場金利が6%を切る様になれば、かなりの売り物件が出てくるでしょう。また、買い替えを待っている多くの方たちはパンデミックのお陰で、家の含み益が大きく増えました。今物件価格が高い間に売却して、物件価格の低い場所に転居すれば、ローンをしないでも同等かそれ以上の家に住めると考える方も増えている様です。
実際、ロスアンジェルス近郊の一戸建ては$1ミリオン以上の価格で取引されています。例えば、$50万のローンが残っていても、テキサスに引っ越せば、清算後手元に$45万残ればキャッシュで家を購入できます。このような動きも増えつつあります。これらの動きを見てみると、今年の冬から、来年にかけて、売り物件が増えてくる一つの転換点になりそうです。
 
【経済の動き】
先週のニュースレターでBRICS会議、ジャクソンホールでのパウエル議長の発言内容によっては大きく金利、株価が悪い意味での変動がありそうだと言いましたが、予想は外れて、株高、金利下落となりました。先にも言いましたが、パウエル議長の発言はサプライズは無く、逆にこれからは金利引き上げをストップして、どれだけ長く高金利を維持するかと言う方向に話が移り始めています。米国金利の頭打ち、今後下落期待が高まり、同時に多くの指標がインフレ下落、景気後退を示唆している現状では、これ以上の利上げがないとの安心感が広がるのは当然でしょう。インフレが収まり始めると、時給もあまり上がらなくなります。景気後退するとレイオフや収入減、可処分所得の減少が始まってきます。それと同時に不動産物件が市場に増え始め、金利が下がり物件を買いやすくなります。しかし、その時には可処分所得が減っていたり、不景気による将来の不安が出てきます。結局高収入の方だけが物件をそれも今よりいい条件で購入できることになります。ますます、2極分化が進み、貧富の差が大きくなってゆきます。米国では今まで何十年も同じことを繰り返してきました。そのたびに中間層が少なくなり、一般庶民にとっては、住宅を購入が高根の花になってきました。その為、賃貸住宅の需要が大きくは落ちません。また、将来を見据えて、無理しても若い間に家を購入しておこうと考える人たちが多く居るのです。 世界経済や今後の米国景気にはある程度織り込み済みですので、大きく影響しないでしょうが、中国の不動産バブル崩壊による大きな景気後退、デフレ経済へ突入が明らかになってきました。米国のリーマンショックの様に中国国内ではかなり大きな影響が出るでしょう。リーマンショックの時に世界で一番影響を受けたのは日本でした。今回も、中国経済に依存する日本企業の多さから考えると、日本の景気に大きく影響することはある程度覚悟しておいた方がいいのではないでしょうか。
 
【国際ニュース】
先週開催されたブリックス会議ですが、共通通貨構想が発表されるのでは?世界の30か国以上の国がブリックスに加盟申請して、西側先進国に対抗する大きな勢力が出来るのではないか?と西側諸国では注目されていましたが、腰砕けの会議となった様です。共通通貨に関する発表はなく、加盟申請23か国の内、承認されたのはアルゼンチン、サウジアラビア、UAE,イラン、エジプト、エチオピアの6か国となりました。ここで大きなポイントは、ブリックスで経済規模が一番大きい中国ですが、習近平の基調演説がなかったことです。
ブリックスを纏めるためには、各国の経済成長が見込める経済的に強い国のリーダーシップが必要ですが、経済崩壊中の中国はそのまとめ役のなることが出来なかったようです。
経済的なメリットがないとなると、対、西側諸国同盟なるものを作っても意味がありません。また、政治体制、国の哲学などがバラバラで、大統領が変わるたびに方針が変わるような国が多い中、ブリックスが一つに纏まり、世界をリードしてゆくとは考えにくいですね。ただし、産油国、資源国が多くメンバーに入っていますので、ブリックス内での決済をドル以外の自国通貨、人民元などで行うと、世界的なドルの需要が減ってきます。その為、じりじりとドルが安くなるのは間違いないでしょう。しかし、ドル以外の通貨が基軸通貨となることは当分考えられないでしょう。世界が多極化してゆく流れが進むことにはなるでしょう。
 
 
【今週の???なニュース】
これからはEVだよといろんな方が言っていました。米国に住んでいると車での移動距離が日本とは比べものにならないほど長いです。特に街と街の距離が離れている中西部、南部諸州ではなおのことです。EVブームは内燃機関を一から開発できない中国が西欧諸国に対抗するために作り出したものであると言われています。それに乗っかって、環境問題、SDG’sなどと絡ませた利権獲得を目指す勢力がEVを推進しました。本当は庶民にとってメリットがあるものは政府が何もしないでも売れますね。EVは環境問題を謳い、政府の補助金など支援策で普及してきました。中国ではEVバブルが発生し、あっという間にそのバブルは崩壊してしまいました。EV大手のテスラはついこの前中国での価格を引き下げました。供給が過剰なEV市場で販売台数を伸ばすためです。今年7月にテスラと中国国内の他の自動車メーカーはEVの値下げ競争を止めることで合意しました。しかし、その数日後には独占禁止法上の政府の懸念を背景にこの合意を破棄しました。
中国の自動車メーカーは赤字を垂れ流し、破綻に向かっています。過去10年EVのスタートアップ企業が大量に誕生し、消費者向けの購入促進策や企業への直接融資と言った政府の支援策に後押しされ、その販売台数を伸ばしてきました。EVメーカーは補助金を得るためにEVを大量生産しました。政府がメーカーに対するEV生産義務を強化する一方で、補助金を減らしたことで、過去数年間に中国EVメーカー約400社が経営破綻に追い込まれました。中国の各地では時代遅れとなったEV車が廃棄物置き場に山積みされています。購入者の付かない建築途中のマンションと同じです。EVの普及策として、補助金を出して実用的でないEV車を推進しているカリフォルニア州も中国と同様です。カリフォルニア州を走る新車が全てEVになると誰が得をするのでしょう?補助金を捻出するために収税が上がり、EVを買えない貧困層に更なる重荷が掛かります。私の住んでいる地域ではEV車が増えるとガソリン税の徴収額が張るので、フリーウエイを有料にし始めました。これでは、ますますカリフォルニアから他州への流出が増えて、結局まだ税収が減るので、増税する悪循環に陥ります。政府補助金とは聞こえがいいですが、結局は国民の税金なんですね。一般庶民からお金をむしり取り、そのお金が関係者の利権になる。世界中がこの馬鹿げた仕組に気づくべきだと思います。
 
【豆知識】
日本において、各国の大使館と皇居との距離がその国と日本の繋がりの深さを測る指標と言われています。
さて、皇居に一番近い場所に大使館を構える国は?
 
答え:英国  (ほぼ同じ距離にあるのがインド)

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