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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
LA界隈も朝夕は未だ、かなり寒くなりますが、日中は初夏の雰囲気が漂います。この写真はオフィスの玄関先に咲いた花で、これだけ見ればまるでハワイに来たようです。

さて、本日3月25日のニュースレターをお送りいたします。

【株式・為替市場の動き】
本日株価の主要指標であるダウ工業株、S&P500,ナスダックは欧州委員会がデジタル市場法(DMA)違反の疑いで、アップル、アルファベット、メタについて調査を始めたとのニュースが伝わり、株価が下落、先週、主要株価指数の最高値が更新されていたこともあり、今後の値下がりを警戒して、利益確定売りが進んだ様です。業界のそこかしこから米国株の上がり過ぎを警戒する声が高まってきている時期だけに、株価が敏感に変動している様です。為替は、1ドルが151.32円と前週より若干円安に振れています。日銀のゼロ金利解除後151.95ドルまで上昇しましたが、ここ数日は151円半ばで推移しています。この所、日米国債の利回りの差がハッキリとした正比例になっていませんが、米国債の利回り上昇と円安が整合的になっています。米国債の利回り上昇=米国の長期金利の上昇ですから、金利上昇がドル高に繋がり、円安に動きます。
FRBの利下げが発表されるまでは同レベルのドル円相場が続いてゆくと思います。ただし、CPI, PPI, PCE, 雇用統計などの発表で、一時的な変動が必ずおこります。今月末の29日にPCE(Personal Consumption Expenditure)個人消費支出の発表があります。この指標はFRBが、最も重要視するもので、今のところの予想ではインフレ率が高く出るとの予想が出ているため、そうなれば、金利上昇、円安へと動くことになるでしょう。
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
先週に引き続き、不動産の売り物件の在庫数が2023年5月以来の増加となり、新規で市場に出た物件数は2021年7月以来の増加となりました。いよいよ春の不動産シーズン直前ですから売り物件が増えて来たようです。物件が増えたことによって、購入を延期していた人たちがまた市場に戻って来そうです。それは不動産屋さんへ物件の内見依頼が対前月で9%もアップしていることから分かります。ただ、この程度の売り物件在庫数の上昇では、物件価格の下落には繋がらず、依然として対前年は5%以上の上昇となっています。これはインフレ率よりも、賃金上昇率よりも高いので、結局まだ不動産購入が楽になるところまでは改善してきていません。
更に、ローン金利も米国10年国債の利回りが、2月から若干の上昇で6%台にはいって、7%台に逆戻りとなかなか一本調子に下がって来てくれません。この理由はインフレの下落率が小さくなって、指数によっては逆戻りもあり、それでも雇用の底固さが、データで示されているので、10年国債の利回りが下がってきません。ただし、何度も言っている様に、長い目で見れば今年後半から来年にかけて金利は下がる方向を向いていますので、もう少しの我慢でしょう。今日の金利は7%台から、6%台へと戻ってきました。
連邦住宅抵当公社(Fannie Mae)は、今年の金利は6.6%、2025年は6.2%と予想しています。
また、2024年の不動産価格は3.2%の上昇と予想しています。私は市場の動きだけでなく、日常生活実感から金利はもう少し早く、大きく下がると見ています。現状、中古物件の在庫数が遅々として増えないのですが、需要は依然として高い為、新築物件の販売数が増えています。
勿論地域差があり、北東部、中西部で販売件数が減少していますが、南部では3.7%増加、西部では昨年7月以来の水準に増えています。
ただし、新築物件の販売価格は対前年同月比で7.6%下がっています。金利の高止まりにより、売れ行きが悪くなっているための値引きや、
居住面積が小さくなったことによる売り値の下落などの理由が考えられます。新築物件は日本の場合と違って、完成後に即入居が出来ません。 照明器具、カーテンなどの購入と取り付け、庭の整備、スプリンクラーの設定などなど中古物件の購入よりも費用が掛かるので、インフレによるそれらの費用の上昇も考量すると、販売価格を高くできないのでしょう。
 
一方で、インフレ率の上昇とコロナ支援金の枯渇などにより、住宅価格の上昇、レント価格の上昇が直接生活を脅かす低所得層、またここ3年で、1,200万人ともいわれる不法移民やホームレスの増加による住宅不足が深刻で、政府支援によるAffordable Housing の需要が急増しています。住宅価格の高い地域ではなおさら深刻です。
シアトル、オレゴンなどでも住宅不足が深刻な為、政府や各州政府は投資家を呼び込み、建築業者に建築許可申請を優遇して、出来るだけ早く、多くの家族が住める場所、所謂、マイクロ・アパートメントと言われる日本のワンルームマンション風のアパートなどの建築を促進しています。入居者の家賃は物件の所有者に政府が支払う方式で、家賃の取りはぐれを無くして魅力のある投資先としています。
政府が建築して安い家賃で入居させる日本の市営、県営住宅の様なものとは違い、民間の資本を使います。民間は儲からなければ前向きにこのような建築プロジェクトをしませんので、政府は民間投資家が儲かる仕組みを作って住宅不足を乗り切ろうとしています。
 
 
【経済の動き】
先週火曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは政策金利の維持を決定しました。金利の現状維持は織り込み済みですが、量的引き締め(Quantity Tightening)の縮小(テーパリング)が議題に載ってきました。政策金利の利下げと共に5月、6月頃にはテーパリングが始まる可能性があります。テーパリングとはFRB(中央銀行)が米国債やエージェンシー債権の償還に伴う保有債券減少を進めることです。
FRBはコロナ時に大量の債権を買い入れ、お金を市場に供給していました。市場にお金が溢れた状態ではインフレを減速させるのが難しいので、保有債券が償還されると、お金が市場からFRBに戻ってくることから、市場からお金の量が少なくなることを意味します。
国債は購入されるほど金利が下がります。購入量が多い=人気がある=利回りが低くても購入されると言う流れです。
テーパリングが始まると、今まで、購入されなかった債権が購入される逆の流れになりますので、国債の利回りが下がってくる可能性が高くなります。それは即ち、国債利回りの低下し、長期金利が下がり、ローン金利の下落が期待できます。
このまま量的引き締めを続けると、短期金融市場にお金が足りなくなる可能性が出てくるの為にFRBはテーパリングを考え始めました。
引き締めすぎるとインフレは低下するかもしれませんが、金融市場が混乱してしまう可能性も出てくるのです。
 
米国債利回りの下落は、政府の利払い負担が軽減されるので、米国の財政赤字改善には役立ちます。
前回の雇用統計では雇用は底固いと言われながら、失業率は3.4%から3.9%へと上昇しました。もし、3か月の移動平均が過去12カ月の最低水準を0.5%上回っていればそれは景気後退入りを意味します。その可能性は十分ありますし、そうなればFRBはもっと積極的に政策金利を下げたり、テーパリングを進めたりするでしょう。いつまでも金利を高止まりさせれば、何時かは景気が急減速し、慌てて金利を下げても景気は急回復出来なくなるため、タイミングを見計らっている状況ですね。
更に、米民主党政権は、選挙対策として景気を良くしておきたいので盛んに利下げをする様にFRBにプレッシャーを与えています。
これらのことより、もうすぐ利下げ、国債利回りの下落、金利の下落へと続いてゆくと考えられます。
 
この金利高止まりで一番つらい思いをしているのが低所得層、若年層です。クレジットカードや自動車ローンの支払いを3カ月延滞した人の割合は昨年、リーマンショック以来の高水準を記録しました。これらの層を主要顧客に持つ企業も苦労しています。所謂100均として有名なダラー・ツリーやダラー・ゼネラル、ファーストフード大手のマクドナルド、KFCなどです。
カリフォルニアでは追い打ちで4月1日から大手のファストフードのチェーン店従業員の最低時給が20ドルに上がります。パパママショップは対象外ですが、低所得層が多く利用するファストフードチェーンでは値上げや従業員の解雇、労働時間の短縮で対応するようです。
これはカリフォルニア州政府によって強制的に行われる為、逃れようがありません。利益確保できない店舗は閉鎖となるでしょう。      私の住んでいる隣町にあったKFCは閉鎖されました。 生活が苦しくなる低所得者層から、麻薬の売買、万引きなどの犯罪増加やホームレスの増加が起こらなければと祈るばかりです。でも恐らくそうなるでしょうね。カリフォルニアからの人口流出が加速しなければ良いのですが。 
数年前からワシントン州では時給が20ドルになり、マリファナなどの解禁も重なり、かなり治安が悪化しました。カリフォルニア州はその州を追っかけて同じ政策を採用しています。 従業員の最低賃金の引き上げが経済危機を招いた韓国の前例もあります。 
さて、カリフォルニアの景気は先行きどうなるでしょうか? カリフォルニア州だけでなく恐らく民主党主導の州では同じようなことが起こるでしょう。
 
【今週の???な国際ニュース】
 
米下院は13日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社である中国の字節跳動(バイトダンス)に約半年以内に同アプリの米国事業売却を求め、従わなければアプリの利用を禁止する法案を圧倒的多数で可決した。これは3月13日にロイターから出た記事です。 これを読むと、いかにもTikTokをターゲットにした法案が米国議会で通ったと読めます。しかし、本当はそうではありませんでした。
殆どのマスコミの報道は同様のものです。それは本当のことを報道しない偏向報道だったのです。トランプ大統領がこの法案に反対し、イーロン・マスクがトランプ大統領を支持すると発表したのは実はこの法案がTikTokだけに限定されたものではなかったからです。
本当の法案の内容はこうです。 “大統領が国家の脅威だと判断したものは、あらゆるアプリを潰すことが出来る”と言う法案です。
この法案を推進したのは共和党下院議員のDan Crenshaw議員(ネオコンで有名)で、さらに、司法省、FBI,国家情報長官が下院に働きかけて法案を通したことが分かりました。この法案の本当の意図は、保守系のSNS特にイーロンマスクのXなどをターゲットにして、現政権や民主党の批判や表に出ると都合の悪い事が広がらないようにする為でした。大統領選挙で都合の悪い情報が拡散しないようにする法案です。
何んと、米国は全く民主主義ではなく、中国やロシアを批判できないような国になってしまったようです。    
 
 
【豆知識】
米国人が住む場所として好む気候ベスト5

  1. 暖かくて、湿度のある夏と温暖な冬 53%

  2. 暖かいから涼しい夏ととても寒い冬 21%

  3. トロピカルな気候(熱く高湿度)  10%

  4. 乾燥気候              9%

  5. 極地                2%

 
【今日の金利】

3月25日の住宅ローン金利

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