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グルノーブルの恋人たち - Yoshilogライブ Vol.5 の感想・空想

もわっと感想

Ubukata さんはとても気さくな人だった。ストレートというのとは少し違う。Ub ukataさんのまわりの空気は澄んでいると感じた。そういう気さくさ。こちらの言った言葉がそのまま向こうに届き、彼の言葉もそのままこちらに届く。当たり前のようだが、これが近頃なかなかないと思っている。

最近日本人と喋ることが多くなって、言葉の周りにもやがかかって何を言ってるのはさっぱり分からない人が多いと感じていたので、Ubukataさんと喋っておやっ?と思ったのだった。

但し、言葉の周りにもやどころか、身の回りに煙幕を張り巡らしているようなのは日本人に限ったことではなかった。そういうのはどこの国でも公務員に圧倒的に多いし、民間でも大企業になるほど多い傾向がある。

彼らには守るべき巨大組織がある。そして、それを守ることがそのまま自分を守ることになる。保身が大義に化けて彼らは自分の言葉を失う。僕はそういう人たちが何万人も集まった組織に長いこといたので、そういう専門知識はなかなか豊富だと思う。但し、もう何の役にも立たない。『妖怪人間ベム』が「早く人間になりた〜い!」と叫ぶ場面を思い出す。暗い話だ。

妖怪人間ベム

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イベント開始の30分くらい前に初めてUbukataさんと話した時、その独特の清々しさに直ぐ気がついた。いったいこれはどこから出てくるのだろうと考えていたのだが、日本から出てきた経緯を聞いて、あーなるほどと思った。さっぱりすっきり自分の好きなことを出来る地を見つけた人が清々しくないわけがない。

グルノーブルはあの「白い恋人たち」という映画になった場所ですと聞いて、あの映画の街か!と内心震えた。原題は、"13 Jours en France"(フランスの13日間) という1968年にグルノーブルで行われた第10回冬季オリンピックの記録映画なのだが、フランシス・レイが作曲したメインテーマ曲があまりに深く記憶に残っていたので驚いた。

ステレオというものがまだ一家の中心の家具であった昭和の時代、小学生の僕は父親が厳かに取り出す大きな円盤をじっと見ていた。その円盤がやがて回り始め、音が出てくる。それが「白い恋人たち」だった。その後数年で、自分がどうしてフランシス・レイからジミヘンに行ってしまったのかは分からない。さらに数年後、僕の髪はロバート・プラントになり、今やコロナのおかげで横山プリンへの道を歩んでいる。

グルノーブルは「白い恋人たち」かあ、ふむふむと思ううちに頭の中でいろんな空想が広がり、話と空想と行ったり来たりするようになってしまった。イベント本番中にヤバいなと思ったが、そういう性癖なのだから仕方がない。これはツネさんや螺子さんと話してる時も何度もあった。頭の中がどこか違うところを徘徊し始めてしまうのだ。

うちの子供は空想壁があってなかなか勉強に集中できないんですよ、なんて心配する親が世の中にはいるようだが、全然心配する必要はないと思う。ずっとそれで生きてこれましたよと証言してあげたい。全く何も打つ手がなくなり、途方に暮れることは今までに何度もあった。本当に何もかもダメな時は、空想の灯りを見つけて、ついていくしかない。だから、空想壁は悪くないと思う。

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話の途中で誰かがグルノーブルはトリノの近くだと言ったのを聞いて、またそっちの方の空想がぐるぐると回り始めた。グルノーブルへは行ったことないが、トリノには2回行ったことがある。そこにUnited Nations System Staff College というものがある。日本語的には分からないと思うけど、英語でStaff Collegeというと、とてもミリタリーな語感の言葉なのだ。例えば、ウィキペディアはこう説明する。

Staff colleges (also command and staff colleges and war colleges) train military officers in the administrative, staff and policy aspects of their profession. It is usual for such training to occur at several levels in a career.

軍は厳格な階級制度で成り立っている。階級を上昇するにつれ、必要な知識や技能を学ぶためにStaff Collegeに送られて学習し、また戻ってくる。それと国連がいったいどう関係あるのか?

United Nations は連合軍でもあったわけだから、おかしくもなんともないとも言える。もっと詳しく言えば、国連も軍と同じように厳格な階級制度で成り立っている、というよりも、全ての官僚制度は階級制度で成り立っている。そして、その官僚制度の元は軍の階級制度だった。現在の官僚制度の起源は、18世期のプロシアが軍の不効率を改善するために作った仕組にある。

だから、現在の国連職員もある階級から上に行くと、Leader としての訓練を受けるために階級ごとにUnited Nations System Staff Collegeに送られるのです。但し、そういうのとは別の階級に関係ないトピック別のコースもあるし、中堅階級くらいまでは分散化して、世界のいろんな地域で訓練が行われてもいる。

今、話があっちこっち行くようにイベント当日も頭の中が一人静かに錯乱していた。そんな時、突然記憶に蘇ってきたのがUnited Nations System Staff Collegeにいた女性だった。世界中から来ていた20人くらいの生徒(といってもかなり老けているが)に色々と指示をしたり、講義やディスカッションの準備をする人が何人かいて、その中の一人がなんかファンキーな雰囲気の女性だった。国連職員にも刺青だらけの人やパンクヘッドの人もいるから不思議ではないんだけど、その女性からは、言わば幹部候補生のダッサイおっさん・オバハン相手にやってられんわ的空気を感じたものだった。

ちょっと出席者の雰囲気を書いておかないとイメージがつかめないかもしれない。ほとんどの人は相当に生活環境も仕事も厳しいフィールドオフィスから来ている。彼らはやっと掴んだこのチャンスで高揚している。めったにない先進国で美味しいものを食べて帰るんだという興奮。現場で有能だから送られてきたのだろうと思うが、これからもっとシステムについての知識を増やして、リーダーシップを学んで、本部の各国外交団ともバリバリ交渉する術を身に付けて、上昇気流に乗って行くんだというやる気ではち切れてる。そんな集団なのだ。

ところが、僕一人だけNYから来て、ひっきりなしに連絡があって、もう疲れ切っている。なかなか彼らと一緒に興奮できない。相当に嫌な奴だったと思う。休憩時間に一人でタバコをすっていたら、さっきの彼女がタバコをすいにきた。

わい「珍しいな」
彼女「うん。すう人減った」
わい「仕事おもろい?」
彼女「ふふふ。I'm a singer」
わい「なんや、パンクか?」
彼女「ケラケラケラ。色々」
わい「どっかで聴ける?」
彼女「ライブハウスでやってるけど」
わい「近所?」
彼女「色々。いつ帰るん?」
わい「週末」
彼女「だったら、予定ない」
わい「残念」
彼女「YouTube見る?」
わい「あんのか?」
彼女「うん」
わい「はよ、言えや」
彼女「今、言うた」
わい「YouTube の名前は?」
彼女「本名」
わい「忘れたって意味や」
彼女「ケラケラケラ」

という会話の後、宿舎に帰って早速聞いた歌をUbukataさんとの会話をしながら思い出していた。次のYoshilogライブVol.6 の最初に、彼女の一曲ヒルズ氏にブチかましたろ。笑

アンケート結果

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Q.4 内容について感想や形式についてのご意見をお聞かせください。

2時間まったく退屈せずに熱中させてもらいました。Yoshilog師の力量の太さを感じた。
ユルい雰囲気の中に、玉のような情報が落ちていて、大変楽しい時間でした。
そのうちいつか、ヨシさんのお顔にライトが当たりますように🙏(どうでもいい希望)

グルノーブルの様々なお話かつ貴重なお話が聞けて興味深かったです。教育に関しては、もっと深くお話を伺いたかったので第二弾を希望します。
これからもお話楽しみにしております。
自然な流れで会話とQAが絡んでとても良かったです。
全く知らない土地の情報、一般的でない人生を送ってきた方のお話を聞けて、興味深かったです。ライブはやはりトークが盛り上がったほうが面白いので、話をグングン引っ張っていく人、ゲストに突っ込んで話題を掘り出してくれる人がいたほうがいいかもしれません。次回も都合が合えば参加したいと思います。ありがとうございました。
グルノーブルが多様性のある地域というお話が聞けて面白かったです。知事の権限が強いというシステムも興味深く思いました。日本から移住されたきっかけも、日本社会とそこで生きている、生きていくことについて考えずにはいられませんでした。貴重なお話ありがとうございました。
ヨーロッパ事情に疎い私は楽しく拝聴しました。この機会がなければゲルノーブルがどこにあって、どんなところか知ることはなかったと思います。事務的な煩雑な事も含め、時間とこういう場を用意して頂いたこと感謝します!
これまでとは趣向が変わってそれもまたよし、でしたが前半少し散漫な気がしました。最後の方は質問も集まり盛り上がってよかったと思います。
「やはり教育が重要」とおっしゃっていたので、具体的にどうすべきかという話をもっと聞きたかったです。もし可能なら教育、難民/移民、沖縄、BLMなどを一度テーマにしてほしいです。
あまり予備知識なく参加しましたが、海外に住む日本人や、ヨーロッパやフランス、グルノーブルから見た世界について自分なりに新しいものを得られてよかったです。知的刺激の機会、いつもありがとうございます。
2時間があっという間でした。グルノーブルでの生活や文化について、色々なお話が面白かったです。
世界を知ることによって、日本についてより深く考えることができると感じてます。

2時間あっという間でした!yoshiさんnoriさんありがとうございました。
日本の詰め込み教育の薄っぺらさに改めて危機感を感じました。
教育を変えるにはまずは政治から!頑張ります!

グルノーブル、行ってみたい!と思いました。
美しい景色、多人種、美味しい野菜・お肉、お安い食、家賃。
ニューヨークのようでフランス。
もっと掘り下げて聞いてみたい話題もありましたが
(自治体の権限の話や「日本のコンテンツ」だけ渡って「日本」そのものは渡らない・共感されないこと、教育など)、
のりさんが、幅広く!わ〜!っという喋り方をしてくださってたので、今回はそのスタイルで、様々な話題を楽しみました。
ラジオみたい、というコメントは的確な表現ですね😊
開催して下さり、ありがとうございました!

知的好奇心に直撃でした。まだ見ぬ世界へ思いを馳せながら、次回も参加したいなと待ち遠しく思いました。教育や格差社会、差別、イデオロギー等まだまだ知りたいことが沢山あります。ありがとうございました。
刺激をいただきました。
ありがとうございました。

内容、形式と共にこのような形の交流会としては理想形だったと思う
やっと参加出来ました。Yoshiさんのカブールノートを電子版で購入して、書籍でも欲しくなり実家に送ったところ両親も読んだようです。とても勉強になったと言っていました。あのような素晴らしい本を書いてくださり、ありがとうございます。Yoshiさんのツイートをきっかけに色々な本を読んだり、自分で調べたりすることも多く、本当に感謝しています。また、次回も是非参加したいと思います。これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
yoshiさんが途中で消えていくのが勿体無いです
時事問題の話が中心だったこれまでとはガラッと内容が変わりましたね。でも芸術の話、食の話も不可欠ですし、これからも色んなトピックを期待しています。
学園都市としてのグルノーブルのお話を伺いたかったのですが、概要と街の雰囲気で終わってしまった気がしました。1時間ではタイムオーバーしても短いのかもしれないと思いました。
今までと違って、芸術と、そしてヨーロッパの視点、さらにグルノーブルという恐らくさらに独自の文化がある環境の中で、Noriさんからのお話が伺えて、本当に興味深かったです。Yoshilogさんが、フラットにいろいろ興味を示して話を広げて下さるのも、参加者としてはとても面白かったです。奥ゆきがさらに深まってとても楽しかったです。どうもありがとうございました。
今回のYoshiLogライブはとても話が聞きやすく追いかけやすい展開でした。私の知らないフランスやNYの様子が聞けたり、教育や音楽についての持論展開など気が付いたらあっという間に時間が過ぎてました。今後、YoshilogライブをPODCASTにて配信していただける展開になったら嬉しいです。
まったりしてて、気楽に聴けたのが、良かった。
インターネット以前だと考えられないような方のお話を聞いて質問できるのはありがたいことで、このような場所を作っていただいたことに感謝します。
日本に住んでいると中々出会えそうにない経歴をお持ちの方のお話を聞けて面白かったです。私はフランスに留学経験があるのですが、現地の人の感じなどは人が違えばこうも違うのだなと改めて感じました。SNS等ではついつい主語が大きくなりがちですが、そこは忘れずにいたいです。また、人生はまさかの連続なのだからやりたい事や出会いを大切にして過ごしていこうと思いました。
カジュアルな会話形式が良かったです。でも出来ればもっとよしログさんの話もたっぷり聞きたかったです。聞き役に重きを置いてらっしゃったのでしょうが参加者はよしログさんの話を聞きたい人が多いと思います。軽い合いの手ぐらいでは物足りません。
今回で3度目の参加でしたが入室に非常に手間取り(登録済にも関わらず何度も入室を弾かれ再登録の画面に飛ばされました)1時間程遅れてしまい前半を聞き逃したのが残念です。フランスは地域によって大きく異なるカルチャーを持ってるんだなーと面白かったです。知事の権限が大きいことも初めて知りました。そして、マンガやアニメが人気あるのは知ってましたが日本の人気が高いと聞き衝撃を受けるほど驚きました。人種差別、教育、文化と多岐に渡りお話しを伺えた機会に感謝です。
今回初めてではないのですが、なぜか入室できなくて1時間近く無駄にしてしまったので半分以上聞き逃してしまい、残念でした…
入室前にアプリダウンロードが必要で少し戸惑いました。
スマホから入れなくて PCからダウンロードして入りなおして遅くなってしまいましたが、無事参加出来てヤレヤレです。お話がどんどん展開していくので あれよあれよという間に終わってしまいました。今まで知らなかった言葉や知識の片鱗があって やはり世界は広いなと思う一方 人のどうしょうも無さは通底してるなとも思いました。初回で緊張していたので 次にまた機会があればもっとゆっくりとした気持ちで参加したいと思いました。
入室トラブルがあり、前半半分くらい聞き逃してしまいました。後半だけでしたが、いままでのmeetupとは違うゆるいお話から深いお話まで伺えて非常に充実していました。ありがとうございました。
なお、システムに関してですが、私もzoom参加で何回かログイン出来ませんでした。私の場合はmacとzoomアプリの相性が悪く、他のMTGでも同じ現象が起こります。今回はアプリをアンインストールして、browserでログインしたら閲覧できました。(ただ、ログインは出来たものの最後の参加者アンケートのポップアップは出てきませんでした。当方マレーシア在住、30代、女性、参加は2回目になります。)

Yoshilog ライブ Zoom事故究明委員会

入室できなかった人がたくさんいることが分かり、本当に申し訳なく思います。当日の状況を教えていただいた方が70人いて、大変有り難いです。今その分析中ですが、複数の原因があるように見えます。何か分かれば改めてご連絡します。

入室状況

再演

理由はなんであれ、見逃したことには変わりないので、録画していたものを再演することにしました。ただ録画を流すだけではライブ性がなく面白くないので、チャットが使えるようにZoomかYouTubeで非公開でやります。僕も録画を見ながら追加質問があれば動画を止めて答えたりしながら進めるというのも新しいやり方かなと思って実験のつもりで臨みます。

予定日は7月18日(土)日本時間の午後10時からです。YoshilogライブVol.5に申し込みいただいた方とキャンセル待ちに申し込まれた方の全員に既に招待メールを送りましたが、まだ空きがあるので、参加ご希望の方はこちらかお申し込みして下さい。

では、また。

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