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ノニーン。


正確にはNo niin. ノ ニーンなんですけど。
先週いただいた超特急依頼の翻訳を進めています。水曜日から土曜日までぶっ通しで進め、日曜日に限界がきて一時休憩。今日からまたアセアセ・・。フィンランド語の動画を観ながら日本語で打ち出すという作業なのですが、流れ自体はとても好きです。動画自体に興味があるからだと思うのですが、ツッコミを入れたり驚いたりしながら日本語を考えるのは結構楽しい。(コンピューターに向かってヘッドホン装着で一人でケラケラ喋りながらキーボードをバシバシ叩いているのは、側から見ていると多分気持ち悪い。)

ただ唯一苦しいのが、↑の一言です。ノニーン。
控えめに言って、フィンランド人はノニーンに頼り過ぎです。なんでもかんでもノニーンで済ませる。あれもノニーン。これもノニーン。困ったらノニーン。隙間を埋める you know のような言葉ならフィンランド語にも別にあります。でもノニーンはもう少し意味があるので、文脈や話している人や状況によって意味がどんどん変わるのですね。嬉しいノニーン。怒っているノニーン。泣きそうなノニーン。もはやノニーンと私が言いたいだけ。

I am a cat. の訳

高校生の時に、英語の先生に言われたのです。「I am a cat. を『我輩は猫である。』以外に100通りの日本語で表現できて初めて、翻訳家のスタートラインに立てるんだよ。」と。翻訳家になりたかった訳でもない私は、「ふうん」と思いながら頭の中で7通りくらい絞り出したところで飽きたのを覚えています。そのブーメランが今、ノニーンに姿を変えて私の元へすごい勢いで飛んできているような気がします。「100通り!いけるのか!お前は!いや1000通りは必要だぞ!ノニーンだからな!覚悟しとけ!」とノニーンに言われている気がします。(意識朦朧)

握手までが仕事

私の理解する限り、翻訳は言葉を入れ替えても完成しません。言葉を発する人と受け取る人の間を取り持つ作業全てが業務。立ってる高さがそもそも違うなら間に階段をかけて行き来できるように。間に穴が空いているなら両者が底を通る前に穴を必死で埋めて。雨風で余計なものが飛んできそうになったら跳ね除けて。無事に両者がたどり着いて握手できるように頭をフル回転。だからノニーン地獄。つくづく面白いお仕事です。

発見

締め切りまでにこの作業を終えられるか、もはや時間との戦いになっていますが大丈夫。絶対に大丈夫な気がします。何より面白いので気持ちはとても元気です。言葉に向き合うのは面白い、ということを発見しました。フィンランド語は面白い。そして日本語を磨きたい。生きた言葉に触れていたい。もっと言葉を増やしたい。もっともっと日本語の本も読もう。その前に作業を終わらせよう。汗。ノニーン!


(写真)
頭の中が翻訳でいっぱいで時計をデスクに忘れて帰ったんです。翌日別の時計をつけて出社して、帰り道の信号で自分の腕を見てギョッ。すぐ1本をカバンにしまいました。照笑。


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