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科学コミュニケーションを通じて姿を見せた「普通の研究者」たち

サイエン・スコミュニケーションの時代には、一握りのカリスマ的なリーダーではなく、ごく普通の研究プロセスに携わる、ごく普通の研究者たちが、科学研究の実態をコミュニケーションしていくことが、むしろ大きな力を発揮することになる。

田柳恵美子 博士論文「研究組織のサイエンス・コミュニケーション」(2008) 2.3.4節

上記の出典論文(田柳2008)には“限られた「姿の見える科学者」の時代”という表現がある。考えてみれば、一昔前までは、市民と繋がる機会がある科学者はごく一部に限られていた。講演会に登壇するような高名な科学者かマスメディアに登場するタレント科学者くらいだったろう。

しかし21世紀に入ると、日本においても科学コミュニケーションが広まり、科学関連のイベントが増えた。とりわけ、サイエンスカフェと呼ばれる小規模な対話イベントは各地で新たに広がった。科学コミュニケーションに興味を抱く若手研究者も増え、先述のイベントにも登壇するようになった。

言わば、“限られた「姿の見える科学者」の時代”は終わり、「普通の科学者たち」も姿を見せ始めた。科学コミュニケーションという言葉や理念の登場は「普通の研究者」たちに市民との対話の機会を与える役割を担ったとも理解できるのだろう。

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