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読書感想文

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読んだ本や文章の感想を書いたものです。
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#物理がすき

『探求する精神』(大栗博司 著 幻冬舎 2021)読書感想文

大栗博司氏の著書は、『強い力と弱い力』や『大栗先生の超弦理論入門』など、これまでにも何冊か読んだことがあった。その度にいつも「なるほどなぁ」と学びながら、「学界をリードする研究者であり、かつ、こんな文章を書けるなんて、スーパーマンだな」などと思っていた。そんな大栗氏の新刊ということで、本書を手に取った。 本書は、大栗氏が半生を振り返りながら、研究や科学、大学や教育などについて自身の考えを記したものである。なので本書は大栗氏の回顧録のようなものでもある。バリバリ現役の彼がなぜ

『物理学者のすごい思考法』(橋本幸士 著 集英社 2021)読書感想文

本書は理論物理学者である橋本幸士氏によるエッセイ集である。彼の日常、そして、その日常を彼がどんな視点で見ているのかが記されている。それぞれのエッセイからは、彼が理論物理学者の眼で世界をどう捉えているのかが垣間見られる。 本書に描かれている橋本氏の日常には、大きく二つあると感じた。 まず一つは、家庭での日常。つまりは、夫や父親としての橋本氏の日常。もう一つは研究者コミュニティでの日常。つまりは、物理学者としての橋本氏の日常だ。 家庭での日常に関わる話題では、ギョーザの皮が