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読書感想文

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読んだ本や文章の感想を書いたものです。
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#推薦図書

『数学文章作法 基礎編・推敲編』(結城浩 著 筑摩書房 2013・2014)読書感想文

論理的でかつ平易な文章を書きたい。いつもそう思う。それはつまり、自らの考えや伝えたい情報を、相手に正確にかつ分かり易く伝えたい、という願望だ。今回のnote記事では、そのための指針を与えてくれる書籍『数学文章作法』を紹介したい。 『数学文章作法』に通底するテーマ今回紹介する『数学文章作法』は基礎編と推敲編の2冊から成る。以下ではそれぞれを『基礎編』『推敲編』と表す。また、2冊を合わせて指す場合は『数学文章作法』とする。 さて、『数学文章作法』には通底するテーマがある。それ

『みな、やっとの思いで坂をのぼる』(永野三智 著 ころから株式会社 2018)読書感想文

今回は『みな、やっとの思いで坂をのぼる』という本を紹介したい。この本には副題がある。「水俣病患者相談のいま」だ。そう、この本には、水俣病の“今”が描かれている。 著者である永野三智氏は水俣で生まれ育ったが、水俣病のある生活から目を背けるために別の土地へ逃げ移った過去を持つ。水俣病患者の知人に心無い言葉をかけてしまった経験も持つ。しかし、恩師が関わる水俣病訴訟をきっかけに、改めて、水俣病と向き合い、現在は財団法人 相思社の水俣病相談窓口を担当されている。その法人は坂の上にある