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大学教育

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大学教育に関わるテーマについて考えたり、学んだことを書いた記事をまとめています。
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2022年1月の記事一覧

物理学徒はどのような人材か ~参照基準を参考に~

大学の数は増え、大学生の数も増えている。それに伴い、「量」は増えたが「質」はどうなのか、という議論が続いてる。2008年に文部科学省中央教育審議会が出した答申「学士課程教育の構築に向けて」では、大学における教育内容や学修評価を通した「質」の管理が指摘された。そこでは例えば、授業時間外の学修を含めた単位制の徹底などが議論されている。 2010年には日本学術会議から「大学教育の分野別質保証の在り方について(←pdfファイル)」が発表され、各分野の「参照基準」が策定されることにな

大学における合理的配慮に関するメモ

九州大学に勤めていた頃、合理的配慮に関するセミナーを企画したり、関連セミナーに参加したりしていた。今回のnote記事はそれらで学んだことに関するメモだ。 合理的配慮(reasonable accommodation)の広がりは、2006年の「障害者権利条約」で取り上げられた「障害の社会モデル」に端を発する。これは障害の原因は、個人の機能障害や能力障害ではなく、「社会的障壁」の存在にあるという考え方である。 そして、社会的障壁を除去するための適当な変更や調整(=合理的配慮)

言い伝えだった学習ピラミッド

学習指導要領や大学教育(特に初年次教育)において「アクティブラーニング」「能動的な学習」「主体的な学び」「深い学び」といった言葉が良く使われる。そして、それらと共に登場する図に「学習ピラミッド(Learning Pyramid)」がある。その図については以下の文献[1,2]が参考になる。 [1] 松下佳代「『主体的な学び』の原点 -学習論の視座から-」大学教育学会誌 31 (1) p14-p18 (2009) [2] 山本富美子「明快で論理的な談話に見られる具体化・抽象化