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私が外を歩く時、必ず下を向いて歩く理由(わけ) #未来のためにできること

いつの頃からだろうか
外を歩く時、必ず私は下を向いて歩く
正確にいうと目線を歩く方向のほんの少し前に落とす
そうすると自然に顔が下を向く
これにはちゃんと理由(わけ)がある

以前はそうではなかった
顔を上げて前をまっすぐ見ながら歩いていた
靴のかかとがコツコツと響く音を聞きながら


その日は朝から気温が上がり息苦しいような空気の中
私は歩いていた
横断歩道の手前で信号が赤に変わった
照りつける太陽から逃れたくて下を向いた
その時、何かが動いているのが見えた
それは小さなアリだった
そのアリは自分と同じくらいの大きさのものを運んでいた

周りをみても近くには土らしきものはない
少し離れたところに植込みがあった
おそらくあのあたりに巣があるのだろう
コンクリートで塗装されている歩道はさぞかし熱いに違いない
それでも小さなアリは止まることなく動いていた
その姿を見ているとなぜか涙が出てきた

それ以来、私は外を歩く時、必ず下を見ながら歩くようになった
すると、様々な生き物がいることに気がつく
その小さな生き物たちは自分の命の長さなど知る由もないのだろう
ただただ、今を懸命に生きている
そう思うと誤って踏みつぶすことなどできないのだ
こうして私は下を向いて歩くのが当たり前になっていった

そんな様子を見た友人がある日、心配そうに聞いてきた
「いつも下を向いて歩いているけれど、何か悩みでもあるの?」
そうか、そんなふうに見えるのか・・と思いながら理由を説明をした
それを聞いた友人はどう感じたのだろうか

もしかしたら下を向いて歩くのは
悩みを抱えているように見えるのかもしれない
だとしたら私はいつも悩んでいる人だ
たとえ、そう思われたとしてもそれでもかまわない
そんなことよりも、私の前を横切る
その命を奪うことをしたくない


自然のバランスが崩れつつある今、何をすれば良いのか
あまりにも大きなテーマに戸惑う
私一人の力なんて自然の前では本当にちっぽけで取るに足らないものだ
それでもこの世に生を受けてそれぞれの場所で命を紡いでいる
そんな小さな生き物たちの邪魔をしないでいたいと思う


これが私が未来のためにできること

私の目線



だから私は今日も下を向いて歩く
私の足元にいる今を生きる小さきものたちの命を踏みつけないように

#未来のためにできること
#下を向いて歩く


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