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J1リーグ15節 京都サンガVS浦和レッズ

4連敗中のサンガとアジア王者レッズ。
注目は、6月シリーズ日本代表に選出されたサンガのキャプテン川崎

昨年は開幕戦を1-0でホームチームのサンガが勝利した、同カードだが、
苦境に立たされるチームを、”日本代表”川崎颯太が救えるか。
一方、浦和は昨年まで京都に在籍した荻原に注目。

目次

  • スタメンの変更

  • 武田がいないビルドアップ

  • プレス


スタメン変更

京都のフォーメーションは4-3-3といつも通りだが、
ポイントは左SBに麻田が配置されているところか。
実は麻田の左SB起用は、去年の浦和対策でも用いられていた。

サンガはハイプレスが武器である。通常ハイプレスの回避方法で見られるのは、後方からのロングボールでセカンドボールを拾い、前進するパターンだ。その為、サンガのハイプレスをロングボールで回避し、レッズの右SB酒井、鬼のフィジカルを持つ彼に競らせることが考えられる。

実際、去年のゲームでもそのシーンはいくつか見られた。今節でも、チョウ監督はそれを意図したはずだ。

また、浦和GK西川のキックの精度は化け物クラスであるため、できるだけ左足で蹴らさない事も重要であるので、3トップ(特にパトリックと豊川)のプレスも重要だ。

結果的にそのプレスはある程度浦和を苦しめ、決定機につながるカウンターを生んだ。
しかし、同時に副作用も見られた。


京都の保持 (武田がいないビルドアップ 答えは?)

京都はポゼッション重視では全くないチームだが、中盤三人のクオリティは高く、サイドバックが高い位置をとると積極的にポケットを狙う。
これはJ2時代から継続してきたやり方だが、その時にインパクトを放っていたのが、当時のサイドバック現レッズの荻原と、現在怪我で離脱中の武田だ。

とりわけ武田はチームの中でビルドアップ能力は抜きんでている。サンガのサイドバックは自陣ではやや低めの位置で張る傾向にあり、サイドではめられることが多いが、武田がいるとサイドバックは高い位置をとり、サイドバックのスペースにセンターバックを斜めの角度でサポートする。個人的には、ACミランのトナーリとテオエルナンデスの関係を見ているようだった。

チームとして特定の原則がなくとも、武田がいれば全体がスムーズに動く。良くも悪くも。

彼が怪我で離脱した後、中盤の構成に頭を悩ませていたチョウ監督だが、この試合で一つ答えが出たかもしれない。

谷内田と平戸、川崎の三人は常に斜めパスコースを作る事を意識していた。
とりわけ後半は平戸がセンターバック脇に降り、左SB麻田を高い位置に押し上げ、2CB+1の状態を作り出し、前進の糸口をつかもうとしていた。

さらに、川崎は2CBの間に落ちてきすぎず、相手の1トップとトップ下の距離感を閉じさせたり、ボランチを誘うことによって谷内田や平戸にスペースができた。

しかし、酒井対策で起用した麻田SB起用が、このビルドアップに問題を生じさせる。高い位置でプレーさせるには、適正がないからだ。
幅をとったところで、選択肢を持てない。
しかも、LWG木下は純粋なサイドアタッカーではないため、やや内に絞る。

選手の特徴が適材適所に配置されていないため、中盤三枚が気を利かせたところで、浦和に対して優位性を作ることはできず、
毎度お決まりの終盤フルスロットルカオス攻めでしかゴールを脅かせない。

ビックチャンスは常にハイプレスからのショートカウンターであった。


結局武器はハイプレス

やはり京都の最大の特徴はそのハイプレスにある。

浦和キーパー西川の左足を豊川がきり、ロングボールを麻田が競り、セカンドボールを中盤のトランジションで制す。
浦和のCBに持ち運ばれたり、逆サイドに振られても、インサイドハーフがプレスをかけ、ディフェンスラインもラインを上げコンパクトネスを保つ。

京都の2CB、イヨハとアピの身体能力、川崎のトランジションとインテンシティの高さも活かされる。
やはりチョウ監督は守備のコンセプトは細かく指定しており、J1のレベルでも相手の長所を自分たちのプレスによって消す事に強く拘りを持ち、ある程度上手くいっている。

実際前半の浦和はかなり苦しめられていた。

しかし、ホセカンテやダビドを投入し、よりシンプルに攻めることで個人の優位性を上手く活用しだし、京都のプレスに付き合わなくなった。
それが結果的に浦和の勝利をもたらした。


まとめ

京都のやり方は悪くない。特に守備戦術は。
(セットプレーのつめの悪さは、このレベルでは通じないが)

J2時代からやはりビルドアップに関しては課題が多い。
攻めるスペースの共通認識はできており、パトリックが加入したことで最後のターゲットも明確になったが、プロセスに問題がある。

特に、ディフェンスラインから二列目付近までのつなぎ方で、もう少しオートマチックにスペースを作り合えば相手の配置もずれ、WGに前向きにボールが渡るはずだが、、、

しかし、今日の中盤の配置はそれのヒントになるはずで、あとは要所のクオリティだろう。

解決策として、パウリーニョのようなキープ力と個人の打開ができる選手が必要ではないか?彼のプレーは相手を引き付け、1つ先、2つ先の選手が楽にプレーできる。「あとちょっと」のシーンが目立つので、パウリーニョのような選手に時間を与えると状況は変わるはずだ。

そして、チョウ監督がビルドアップの課題のプライオリティをどのレベルに設定しているのか、ここもポイントである。

何度も言うが、選手を入れ替えても、スタイルは変わらずカップ戦も勝てているのは賞賛に値する。戦力的にも恵まれているわけでもなく、経験値も浅い。スタジアムも満員になるわけではない。そのなかで本当に粘り強い戦いをしている。

しかし、サッカーは点を取らねば勝てないし、点をとらねばファンはスタジアムに来ない。あれだけの熱量の内容は、もっとサポーターに見てもらうべきだ。

プレッシングだけでなく、シュートに歓声があがるサンガスタジアムを見たい。








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