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東大を出たけれど75「授業」

「須田さん、また飛びですかぁ――」
 後ろで若い同僚がニヤニヤ笑っている。
 いやいや大丈夫、まあ見てなって。あ、はい飛び祝儀と赤々一発のチップですね――。
 2半荘連続の飛びでも、この道長い私は極めて冷静なものである。生意気な若僧の煽りなど、軽く流して大人の余裕だ。
 まあ確かにこの仕事をしていると、どうしても調子の悪い日は避けられない。そんなとき、やはり人は雑に打ったり、投げやりになってしまうものだ。しかしメンバーの麻雀というものは、極力丁寧な打牌を繰り返し行うことが肝要なのだ。
 自分に言い聞かせるようにつぶやいて、内心襟を正す。ここはひとつ、年季の入った落ち着いた麻雀を教授してやろう。いいかね後ろの君。

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