東大を出たけれど77「メッセージ」
「お帰りなさい――」
会社員のAさんが訪れると、私はからかい半分にこう言って迎えていた。
Aさんは、夕方過ぎに店に現れて夜半過ぎまで打ち、店の奥で寝泊りをする生活をずっと続けていた。
もともと週2、3回の来店だったのが、いつの間にか連日訪れる一番の常連客になっていたのである。
麻雀の腕も達者なもので、こういう人は日々仕事に追われながらも牌の感触を忘れられないのだろうな、と共感を抱いていた。私もAさんと真剣に麻雀を打つのは楽しかった。
明け方のある半荘のことである。
北8①白九⑧
二①
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