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東大を出たけれど71「不慮」

 不慮の事態の想定というのは、なかなか困難である。
 先日実家の母から連絡があり、どこか病院に行って検査をしなさい、と妙なことを言われた。
 何かと思えば、ずっと昔に私が手術をした病院で使用していた薬品に対し、薬害の恐れがあると発表されたのだという。
 まったく寝耳に水である。
 当然今のところ健康状態に異常は無く、病院など億劫なことこの上ないのだが、何が起こるか分からないのであるから一応行っておけと言う。
 薬害とはいえ、実際の発症は数%程度の確率である。もちろんそれでも病院に行って、何らかの対処をするべきなのだろうが、怠惰の虫がなかなか足を病院に向かわせないでいる。
 確かに――、様々な可能性のある未来を、指を咥えて何の気構えもなく迎えるというのも、愚鈍な話ではあるが。

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