渡邉大輔

批評家・映画史研究者。1982年生まれ。著作に『イメージの進行形』(人文書院)、『明る…

渡邉大輔

批評家・映画史研究者。1982年生まれ。著作に『イメージの進行形』(人文書院)、『明るい映画、暗い映画』(blueprint)、『新映画論 ポストシネマ』(ゲンロン)、『謎解きはどこにある』(南雲堂)。

最近の記事

『トラペジウム』『関心領域』雑感(今日の3年ゼミで取り上げるので…)

 今日(18日)の私のゼミで、5月10日から劇場公開中のClover Works制作のアニメ映画『トラペジウム』と、5月24日から劇場公開中のジョナサン・グレイザー監督の映画『関心領域』について、ゼミ生たちが書いたレビューの合評をすることになった。両作とも、私が鑑賞したのはだいぶ前だが、その関連で、私なりの感想を、簡単にしたためておきたいと思った。レビュー以前の文章の、さらにその下書きみたいな感じなので、とりあえずnoteに上げておく。 『トラペジウム』雑感 まず、5月1

    • 『悪は存在しない』と対称性の論理――下書きめいた小論

      Ⅰ濱口竜介の監督最新作『悪は存在しない』(2023)は、すでにその特殊な製作の経緯が明かされているように、長編の前作『ドライブ・マイ・カー』(2021)で音楽を担当した石橋英子のソロライブパフォーマンスのための映像(こちらは『GIFT』というもっと尺の短いサイレント映像となった)が元になって、またそれと並行して制作された。そして、劇映画としての本作の物語は、信州の奥深い集落「水挽町」で暮らす父娘を主人公に、その集落に東京の芸能事務所が「グランピング」(ホテル施設を備えるキャン

    『トラペジウム』『関心領域』雑感(今日の3年ゼミで取り上げるので…)