ディシジョン・アット・サンダウン(1957)

バッド・ベティカー監督作品。

よくもまあこんなツマラン顔の俳優ばかりで映画を撮るもんだと変な感心をしてしまった、ラナウンサイクル7部作の3本目。グレン・フォードもリー・マーヴィンもココにはいないという諦念が我々に襲いかかる78分!

主演のランドルフ・スコットが、実際は大した顔をしていない事を白日の元に曝すようなベティカーのブッチャケぶりに、何だかちょっと引く。そりゃー随分とひねくれた脚本でありますから、いっそミジメを極めてくれいというご注文の意図は分かりますが、それにしたってランドルフ・スコットはよくコレに付き合うものであります。

序盤の馬車横転シーンの切れたナイフぶりはベティカーの面目躍如。あと民衆がぜんぜん善良に見えずむしろ相当不気味なのもベティカー印か。『平原の待伏せ』なんか、グレン・フォードをリンチ寸前のもみくちゃぶりで襲ってて怖かったですね。ともすればアカくさくなってきそうな脚本を、この不気味な民衆がそのえぐみで強引に脱臭しております。

最終的にサッパリした顔で町を去る、己を愛する女を横に置いた、悪の資本家ジョン・キャロル。かたや、みっともなく酔っ払ってトボトボ一人去るランドルフ・スコット。

ぜんぜんヒーロー譚になってない、というか、ジョン・キャロルは具体的に何ら悪事を働いてねえし、民衆はぐだぐだな事態にぐずぐず酒飲んでクダを巻き始めるし、オーラスの決闘も不発に終わるしで、ハッピーエンドではなく秩序が破壊されただけに見える。悪しき秩序よりはカオスの方がマシじゃいというアラン・ムーア先生の『ウォッチメン』的なクダ巻きですかコレは?

なんだか、黒沢清がVシネ撮りまくってるうちにどんどん暴走していったのと同じ現象だよなと思いました。どうせ常連俳優は付き合ってくれるし無茶苦茶やっちゃえ的な。

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