キートンの化物屋敷(1921)

バスター・キートン&エディ・フランシス・クライン監督作品。

あらすじ。

さる銀行の窓口係のキートン。ひょんな事から強盗と間違われ、とある屋敷に逃げ込むのだが、そこは銀行の頭取が裏で行なっている紙幣偽造を隠す為、「化物屋敷」だと噂を立てさせたギミック屋敷にして悪党どものアジトで……。

まずもってキートンが銀行に勤めているという時点で「終わった……」感がハンパなくて笑う。不条理の申し子みたいな奴に資本主義の番人をさせるんじゃないよ。崩壊が目に見えているだろ。

案の定、たった一瓶のノリのせいで無数の紙幣が一瞬で紙クズと化してゆくのである。世界恐慌を待たずにこの有様。不条理の申し子の持つパワーは恐ろしい。

この化物屋敷は一応フェイクという事になっているのだろうが、明らかに幽霊の数が増えているのと、何をどう考えても人類の力では不可能な死者蘇生が行われていたので(バラバラ死体をノリでくっつけると復活する)、普通に超常存在も混ざっていたのだと思われる。

強盗の冤罪で死ぬ気のダッシュをするキートンと並行して、ポンコツ演劇を披露したせいで大衆の逆鱗に触れ、必死に逃げる劇団の方々も化物屋敷に逃げ込んでくるのだが、その追ってくる大衆の殺気がガチすぎて笑った。完全に殺しにきている。

屋敷のギミックは仕掛け階段と落とし穴、あとは回転する床板くらいで、キートン自身が『文化生活一週間』で設定した高すぎるハードルを超えられてはいない。まああれは凄すぎるからな。

オチでは『警官騒動』と違ってきちんと復活できて良かったねキートン。

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