復讐 消えない傷痕(1997)

黒沢清監督作品。

1作目『運命の訪問者』を見たのはそれこそ5年くらい前なので、話がつながってるのかつながってないのかもワカラン。

自分から運転すると言い出したくせに「いまどこ走ってんだ? ……ま、いいか」などとほざき、道端の段ボールゴミを車ではね飛ばすヤクザの組長(演:菅田俊)。よーするにそういう映画である。

ポイントは、この哀川翔も菅田俊も、目標達成へのプロセスどころか、脱線だの蛇行だの遅延だのすらをも特段何も楽しそうにはしていないところで、まあ何というか「ゴールに着くよりはまだマシか、でも楽しくねえなぁ」みたいな感じで気だるそうにしている。脱線すら虚無ということは、北野武より虚無という事であり、一般人向けの感性が絶滅した世界という事である。

この無気力2人組が、社会正義や敬老精神や立身出世を虚無パワーでもって頭から食っちまう話と解釈すれば、まあ結構におっかねえ話である。人生は闇なんじゃね、有為より無為の方が無限パワーなんじゃねと、そう信じて他人の話があんまり耳に入らない人が語る暗黒御伽話。

アパートの自室でもグラサン外さずに調べ物をしている哀川翔がバカバカしすぎる。こういうギャグをシレッとやるのがキヨシであり、無言でそれに耐えるのが哀川翔である。

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