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合気道雑感

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2018年5月の記事一覧

2センチ

2センチ

相手が「ここ」で取りたい、打ちたい、と思ったところから、2センチずらす。それで、相手は崩れ始める。崩れを拡大していって、必要なら投げるなり抑えるなりに結びつけるのだけど、それは、崩れが拡大している限り、ゆっくりでもいい。

相手に握られる瞬間、相手が打ち込んで最初に触れる瞬間に、当たり所を2センチずらす。手でずらすと、悟られる。ハラで、足で、さりげなくずらす。さりげなく、最大限の集中力を使って。

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看取り稽古と先輩後輩

看取り稽古と先輩後輩

見る、看る、観る・・・「みる」にもいろいろある。
「看破する」と、「看護する」って、根っこは同じかもしれないが、受けるニュアンスはだいぶ違うので、漢字をわりあてて分類するのは、整理するうえでは有用かもしれないが、それで分かった気になるのもちょっと危ないように思う。
LOOK、SEE、WATCH、OBSERVEなど、英語でもいろいろあって、それぞれの文化の中で「見る」という行為をさまざまな切り口で語

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あれれっと思う動き

あれれっと思う動き

高段者に技をかけてもらったときに、
「何されたかわからないうちに崩されてた」
という感覚を味わうことが、多々ある。

たぶん、コツはこれだけではないのだけど、剣の使い方で教わったことが一つのヒントになるのじゃないかと、今考えている。

とある高段者曰く、「剣の重心を意識する」。

つまり、我々はついつい手首を中心に剣を振ってしまうのだけど、剣自体の重心を中心にして剣を扱った方が、楽に鋭く振れる、と

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腕立て伏せで休む肘

腕立て伏せで休む肘

強いパンチを出すために繰り返しサンドバッグをたたく、というアプローチを、合気道の稽古ではあまりやらない。おおむね、以下のような理由によるものと思う。

・みんなで集まって稽古するので、自分の体作りよりも人との関わりを優先して稽古しよう
・そもそもみんな忙しいので、持ち前の体力で何とかする技術を優先して稽古しよう
・で、あわよくば、人と関わる技術の稽古の中で、ついでに体作りもしていこう
・だから、ト

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動き続ける=ちょびっとずつ先を行く

動き続ける=ちょびっとずつ先を行く

稽古の中で「ぶつからないように」と、よく言われる。
高段者の方から、「転換すれば相手はついていけない」と言われたこともある。
先日の鎌倉八幡宮の稽古では、相手を重みで落とそうとしてこらえられ、「自分の方へ吸い込むとよいよ」と教えていただいた。

相手がついていこうと思える範囲で、先を行く。相手にとって気持ちいいのはどちらかを感じながら(論理的に考えてると、遅れる)導いてあげる。
そういう動きを実現

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エンジンとタイヤ

エンジンとタイヤ

腸腰筋をメインにお尻の回りの関節群を動かしている筋肉は、意識しにくいけれどたぶん人体で最も頼りになる。普段姿勢を支えるために黙々と働き続けている人たちで、強力で疲れにくく、年をとって新陳代謝が落ちてきても比較的フレッシュな血流が届きやすいので疲労回復も早い(ように思う)。

普段裏方で働き続けているこれらの人たちに、表に出てきて活躍してもらうというのが、合気道の大きなテーマの一つ。
だから、姿勢を

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