自由な発想
今井むつみさんの『学力喪失』を読んでいます。
読んでいると,中学校の教育実習での授業について思い出しました。
中3の数学,根号の学習でした。
「√4を根号を使わずに表してみよう」と発問しました。
ある生徒が「先生できました!」と自信満々のニコニコで私を呼びました。
ノートには「ルート4」と書かれていました。
私は爆笑でした。
心の底から面白いと思いました。根号を使わずに表しているのですから大正解です。
「正解だけど,数学的にはペケ!でも消すなよ!」と言ったことを覚えています。
たまにこのエピソードを思い出すことがあります。そして,いつもなんと返すのが正解だったのかなと考えます。この時,彼は「えーー!だめなの!じゃあもう無理じゃーん!」とニコニコしていました。
自由な発想や考えは必死に考えたからこそ出るものであり,頭が柔らかいからこそだと思います。彼なりに根号を使わずに表すためにはどうしたらいいか考え閃いたのでしょう。
そしてなんと言ってもあのニコニコが忘れられません。あのニコニコからも必死に考えたことがビシビシと伝わってくるのです。
彼の自由な発想を押さえつけてしまったのではないか。私の一言で今後自由に発想できなくなってしまった可能性はないか。
そう考えると大人の一言は怖いです。
授業づくりと同時に授業では言葉をもっと大切にしなくてはいけないなと。いつも「あー,あの時こういう風に声をかけてあげればよかった...」と後悔ばかりです。
きっとあの時彼と出会わなかったら,数学の授業をしていなかったら,こんな風には考えなかったかもしれません。彼にとても感謝です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?